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第2回演劇無料塾 参加者感想

先月終了した演劇無料塾2期のメンバー達から感想を頂きました。

俳優・山本美佳

演出家と俳優、指導者と受講生、師弟関係の間にはどうしてもパワーバランスが生まれてしまう。でも演劇無料塾では「私は村八分にされませんか?」という私の問いに「ええ、しないです」と答えてくれる、そんな空間でした
忍翔さんのWSでは一貫してNOが出されず小さなアイディアやヒントから伸ばして既に自分が持っている個性から創作を手助けしてくれます。インプロといってもいきなり即興で放り出されるわけではなく、ルコック、ラバン、スタニスラフスキー等のシステムを扱い、マスクやクラウンなど多くの体験しました。日本には海外のシステムを安全に学べる場所は少ないです。現地で学んだ指導者も多くはありません。
無料塾はWSの内容とそこで出会う人がとても魅力的です。

俳優・柄谷英明

忍翔さんのSilent improを観て言葉を使わず身体だけで物語を紡げるんだ…!と感動し応募を決意。
安全に芝居にだけ集中できる稽古場で素晴らしいメンバーと4ヶ月学び合えたことはとても良い経験になりました。
数多くのワークをこの100時間でやりましたが中でもクラウンはとても興味深い内容でした!
最高の自分で舞台に立つ。これは初めの顔合わせからずっと目標でしたが一番近づけたのがクラウンのワークをした時だと思います。
大人になればなるほど身についていく社会性という殻を破って、影響を直に受けて、与えていく。上手くいかない時のパターンがだんだんわかってきて、これはテキストを使った芝居でも同じことが言えるかもしれません。
僕はミュージカル俳優を目指していますが、演劇無料塾はそんな歌をやる人にも是非お勧めしたいです!

俳優・吉村加菜実

笑いあり涙ありの100時間という時間は、長いようで本当にあっという間でした。
「舞台に立つ」という意味の考え方から教わり、より個々人に合ったアプローチで見事にメンバー全員を変化させてくださいました。
またそれらのアプローチは必ずしもやらなくていい、トライしてみて自分が合わないと思ったら捨てていい、という理念で紹介してくださるので、本当に自分に合ったメソッドというものが見つけやすかったです。のちにその取捨選択行為が自分への正直さに繋がり、よりリアルな私として役を生きることができるようになりました。自分の実体験としても役と自分がマッチした時の感動がありましたが、他のメンバーも同様に、それぞれの個性が光り、役として、役者としてもどんどん魅力的になっていく姿を見られたことも大収穫でした。
どれもこれも忍翔さんの人を見る目と研ぎ澄まされた感覚があってこその指導のおかげだと思っています。何かに行き詰まった時、立ち止まった時は、個々人の色々な経験や環境によって自分を拘束していた枷を外していく作業が必要なんだと知りました。
そして忍翔さんはその作業のお手伝いをしてくれました。決して否定したり強制することなく、私たちのペースとタイプに合わせてくれました。どんどん自由になりました。発想も身体も自由になることで、演じることが楽しくて仕方がなくなりました!そんな貴重な時間を過ごさせていただきました。
誰一人欠けることなく100時間を走り切り、今ではお互いを尊敬しあい高めあえる仲間と出会えたことにも感謝しています。100時間本当にありがとうございました!今後ともよろしくお願いします!!

俳優・江藤みなみ

100時間の俳優修業を終えて
「私たちは既にenough。必要なものはすべて持っているからね」
私はこの言葉でかなり芝居に対する姿勢が変わったなと思います。
クラウンから始まり、 様々なメソッドにこの100時間で触れて、様々なテクニックやアプローチを得ることができました。
そして最終的にはすべてを手放して舞台に立つ。1度やったことは身体が覚えている。後は自分自身を信頼して委ねるだけ。
後半に取り組んだ『かもめ』『モノローグ集 穴』でその実感が強くあり、これまでにない没入、没頭、ゾーンに入ったような感覚を得ることができました。
何より芝居をする恐怖心から解放されました。
それはこの稽古場で心の安全が保障されていたからこそだと思います。
以前の私は、オーディション、WS、稽古、本番といかなる時にも「うまくできなかったらどうしよう」「下手と思われたらどうしよう」という恐怖心が多かれ少なかれ心の中にありました。今考えると「うまくやるってなんやねん!!上手い下手ってなんやねん!!それがどうした!!」て気持ちなのですが。笑
無料塾の稽古場は「失敗しても大丈夫、むしろ失敗して自分を未知の世界へ連れて行こう。というかもはや失敗ではない!」という空気感で、俳優が安心して未知の領域に足を踏み入れていける場所でした。
そして自分のプレーをジャッジしない(良い悪いという判断を下すのではなく、ただ事実として認識するだけでいい)というインナーゲームの考え方でかなりパフォーマンスが向上しました。
おかげで、オーディションやWSでの恐怖心が減り、いいねと言ってもらえることが増えたと思います。
養成所や様々な現場で、あなた自身であなたの魅力でやってほしい、と言われ続けてきました。そういう状態でいられる時もあれば、うまくいかない、萎縮してしまうという時もあり、「常にいい状態でいるためにはどうすんの?! わからん!!」と、自分自身でいるための方法というのがずっとわからずにいました。
しかし、この無料塾でのクラウンやインプロなどを通じて自分自身の魅力でやるという感覚がつかめたと思います。
特にクラウンでは何かをやっている時ではなく、何かを手放した時にお客さんが愛し、笑ってくれるというのが分かり、これが私たちは既に持っているということなのかと実感しました。
何よりこの100時間は、演劇と自分と皆を愛し、愛にあふれた素晴らしい時間でした。
もともと私は負けず嫌いなので、人と比べて落ち込んでしまい劣等感に苛まれることが多くありましたが、
皆の良いパフォーマンスを見て劣等感で苦しくなることもなくなり、純粋にみんなのプレーを楽しめるようになってきました。
人と比べるのではなく、違いを受け入れ、世界で唯一の自分を認めることができるようになりました。自己肯定感爆上がりの100時間です。
この経験を糧に、演劇も実生活も楽しく伸び伸びやって行こうと思います。ありがとうございました。

俳優・宇都有里紗

100時間ありがとうございました。
忍翔さんは今までご自身で学んできたことを本当に惜しみなく教えてくださいました。スキルだけでなくマインドでも大切な考え方をたくさんもらい、(むしろこっちが土台として一番大事な気がする)「必要なものは既に持っている」という言葉は本気でど真ん中に据えて演劇やっていきたいな、と思っています。だから、自分には足りないことだらけだ、と思って必死になっている人にオススメです。
また、個人的には身体に対するアプローチがとても興味深かったです!どうしても演技=内面(感情的な)に陥って抜け出せなくなることってあると思うのですが、身体のワークを通して役になってゆくこと、身体感覚を探り、深めてゆく楽しさなど、身体が連れていってくれる感覚はこれからも追求したいです。(身体って底知れない!)
あと、忍翔さんのそばにいることで海外のWSも受けてみたいなーと思うようになりましたし、海外行くって思っているより大ごとじゃないのかも?と思うようにもなりました。この願望もいつか叶えたい!
一旦区切りではありますが、これからもWSなど受けたいと思っておりますのでぜひこれからもよろしくお願いいたします!

俳優・草野明華

本当にあっという間の100時間でした。
忍翔さんがつくる稽古場は安心安全で、この場所とこのメンバーなら失敗してもみんな受け入れてくれるから大丈夫、と失敗を恐れずに挑戦することが出来ました。特に稽古の初めの方でクラウンに挑戦し、笑われることは愛されること、失敗をお客さんは楽しんでくれる、ということを体感出来たのは自信に繋がりました。
また、ワークの度に、演技の癖や心理的なブロックとなっているもの、とりがちな行動などを丁寧に指摘して気付かせてもらえたこともとても有難かったです。「次はこんなふうにやってみて」という指示を受けて自分もみんなも演技が変化してどんどん良くなっていくのを何度も目の当たりにしました。私たちは「既に持っている」から、それをどのように自分で引き出しすのか、ヒントを沢山頂きました。そして忍翔さんは個人に合った演技の引き出し方を見抜いて伝えてくれました。その人にあった芝居の上達方法がある、ということをこの無料塾ではとても強く感じました。
私がこれまで受けてきた演技指導は「こういうふうに見える」と見え方の指摘はあるし、「こんなふうにして欲しい」という理想の提示はあってもそこに行き着くためのヒントが私には合わないことが多く、なんで自分は出来ないんだろうと思い悩むことが多かったです。時には「なんで出来ないんだ!」「いい加減分かれよ!」などの言葉をもらうこともありました。それはそれで、強くなれたから良い経験だと思っているのですが、演劇というものは「苦しい」「しんどい」経験をしなければ上達しないものだと、どこかで思うようになっていた、ということにも気付けました。そしてそれは違うな、と今は思います。
無料塾で演劇が上手くなるための技術やヒントは沢山あるし、それぞれに絶対に良さがあるということに確信を持てるようになりました。
特に印象に残っている回のことを書きます!
1番悔しかったのはかもめの4幕のシーンワーク1回目です。すごくびびって動けなくて何も出来ませんでした。そのとき忍翔さんに言われた「まず行動しないと伝わらないよ」という言葉は今後ずっと肝に銘じていくだろうなと思っています。オーディションで内実はあって何もしない人よりもまだ内実はないけど行動できる人を選ぶ、という話がすごく刺さりました。私は役の「内実」に囚われすぎて演技に整合性をとろうとしていたのかもしれないなと思いました。動いてみると見えてくるものがあるし、役の目的からまず行動にする、という大切な視点を具体的に教えてもらえたのが本当に良かったなと思います。
そして1番楽しくて、役としてその場にいる喜びのようなものを感じたのもかもめのシーンワークでした。けんしんトリゴーリンとやった2幕のシーンは役としての思考が出来たと思います!はじめての感覚で、何より本当に楽しかったです。
クラウンをやってからシーンワークをした回も衝撃を受けました。みーちゃんのアルカージナ、たっきーのドールンはとても素敵であの場にいれて幸せでした、同時に悔しかったです。友人がみーちゃんのアルカージナの映像を見てくれていて、あの場にいれるのって幸せだよね、と言ってくれました。本当にその通りだな、と思います。
私は舞台でお客さんに笑われるとつられてしまう、集中が切れてしまうことが多いです。でも、クラウンは相手に集中しているので笑われても笑われなくても、全然気になってない、ということに気付けました。「相手を笑わせる」という明確な目的、相手への集中、とても理想的な状態だったような気がします。クラウンの状態で舞台にいる、ということの意味が腑に落ちました。
また、ワークの前に自分の状態と目標、ワークの後には「どうだった?」と確認してもらえることが有難かったです。俳優として向き合って頂けていることを感じたし、自分が何を感じたかにこれまでより意識的になりました。自分のジャッジにも気付きやすくなったと思います。
無料塾で出会った人達は本当に素敵で魅力的で真摯で、これからも切磋琢磨していきたいなと思える人たちです。自分にはないものを沢山もっていて、同じ時間を共有出来て幸せでした。演劇は1人では出来ないからこそ魅力的だな、と思いました。魅力的な役者になるために今後も楽しく精進していきます!
忍翔さん、本当に100時間ありがとうございました!素敵な役者になります!そしてこれからもよろしくお願いします!!

俳優・滝本圭

僕が無料塾に参加して得たものは数多くありますが、なかでも一番大きなものは「恐れのない状態」です。
僕はこれまで舞台に立つ、表現するということに大きな「恐れ」を抱いていました。過去に演技を学んだ場や、ある程度のキャリアによってそうなっていたんだと思います。演技とは、表現とは、命を懸けて、畏怖の念を持って行うことであると。そういう意識を持つことはある面ではプロとして大事かもしれませんが、それで表現や発想の自由さが狭められていたとしたら元も子もありません。過去の場では、そうならないように「演者は楽しんで演じるものだ」と教えられたりもしました。しかし頭でわかっていても、技術や経験で誤魔化しているだけだったのです。
忍翔さんの提供する空間では、クラウンやインプロ、マスクのワークを通してそういう「恐れ」に気づかせてくれ、参加者個人個人に合わせて丁寧に取り除いてくれます。演者が本当に楽しんで演じている状態に、上手い具合に導いてくれるのです。これまで数々のワークショップやレッスンに参加してきたつもりですが、他では体験したことのない感覚を得られました。
素敵な仲間たちと出会えると共に、表現を純粋に楽しんでいる自分を発見できる。もちろん人間ですから、今後も様々な事情で表現の場を恐れてしまうことはあるかもしれません。しかし、表現を心から楽しんでいる自分の発見と、その感覚が身体に残ったことに大きな意味があると思います。
正直、この場が無料というのは破格すぎます。演技経験はないけどこれからお芝居を始めてみたいと思っている人。なかなか次のステージに進めず道半ばで迷っている人。表現系大学歴、養成所歴、出演経験など、ある程度キャリアはあるが何か新しいものを得たいという人。もしこの企画が続いてくのならば、そんな方々にぜひ参加を検討してみてほしいと思います。

俳優・佐竹謙伸

僕たちの変化を誰よりもポジティブに、前のめりに受け取ってくれるのが忍翔さんでした。場の雰囲気作りが本当に上手くて、変化することへの恐れや、自由になることへの不安を一緒に背負ってくれて、演劇の楽しさを改めて実感できました。
様々なメソッドやジャンルに通じてる忍翔さんから、いろんなワークや役者としてのアプローチの仕方を教えていただき、「演劇」自体への解像度の深まりや、視野の広がりを感じました。たくさん遊び道具をもらった感覚で、演劇無料塾を経て、今まで以上に「演劇」を追求していきたい、遊んでいきたい欲が高まっています。


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