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じかに見る(研究生日誌たか)

5月19日に、画家の田島環さんのアートワークショップが開催された。


田島環アートワークショップ「イメージをプリズムに。光を、そしてバラバラに」
第1回 5/19(日)13:30~16:30「なやましげなツインズ 〜糸版画より」
第2回 6/30(日)13:30~16:30「あるメタモルフォーゼ 〜平面の視覚から」
第3回 8/04(日)13:30~16:30「あるメタモルフォーゼ 〜球の記憶から」or「テクスチャーをつかまえる 〜フロッタージュ+α」


今回は第1回目。わたしは小6になる息子と一緒に参加した。最初に「これ、一緒に行かない?」と息子にフライヤーを見せた時は、あんまり関心がなさそうだった。でも特段嫌がる風でもない。そこで「行ってみてやりたくないなって思ったら、無理にやらなくてもいいからさ。本読んで待っててもいいからさ。一緒に行こうよ〜」と再び誘ってみた。すると、オレはそんなに興味ないけど、ま、別にいいよ、みたいな低温な感じでOKしてくれた。

会場に着くと、GWの和歌山合宿で一緒だった参加者が何人もいた。息子も合宿に参加していたので、すでに顔馴染みだ。みんなが息子に気軽に挨拶をしてくれる。羽地さんはりんご飴を息子にくれた。(息子は後で大事そうに食べていた。)息子は上がりも下がりもしないテンションで普通に返事をしている。

小学生にとって、親や先生やコーチでもない大人と出会える機会、しかもどちらかといえば”遊び友達”のような存在の大人と出会える機会は、日常生活の中にほぼない。わたしは息子がこの空間にいるだけで、ここに来れてよかった、ありがたいなぁ、と思うのだった。

最初にやり方を教えてもらう

ワークショップが始まると、まず環さんが糸版画のやり方を見せてくれた。やり方は簡単。少量の水でのばした絵の具に、紐を浸す。色のついた紐を紙で挟む。挟んだ紙を上から手で押さえながら紐を引き抜く。すると、様々な図柄が現れる。

紙を開くたびに、不思議な模様が出現する

息子もすんなり作業にとりかかる。黙々と、そして次々と、糸版画を作っていった。紐が吸い込んだ絵の具の水分量を新聞紙を使って調節するなど、息子も自分なりに工夫しながら製作していたようだ。なかなかやるな〜。

新聞紙にも面白い模様ができている

大人たちも、それぞれに糸版画を楽しむ。

だんだん夢中になってくる
じっと眺める

しばらくしてから他の人が作ったものを見て回ったら、自分とは違う発想に出会えて面白かった。

黒かぁ。黒色を使うという考えはわたしにはなかったなぁ。でもこうして見てみると、黒もいいかも。インパクトがあるし、なんかかっこいい。なんかキレイな気もする。わたしもやってみよう。

へぇ、こんなに何重にも色を重ねるんだ〜。えぇ〜、でも、なんかそれちょっと勇気いるなぁ。せっかく作ったのに、色を重ねて台無しになっちゃったら嫌だな〜。うーん、けど、わたしもやってみよっかな。

え?!ジャンプしながら紐を引くの?これはもう糸版画パフォーマンスだ。ジャンピング姿がカッコイイ。
と思っていたら、え?!!今度は目をつぶって紐を紙の上に置くの?斬新〜!

なんとなくその人が出てるような・・・

息子は次々と糸版画を作ると、気が済んだのか「オレ、終わるね」と言って隅っこへ移動し、持ってきていた本を読み始めた。のびのび作って、満足したらやめられる。そんな時間を過ごせることがありがたかった。

帰り道、今日どうだった?と聞くと、息子は「よかった」と即答した。何がよかったの?と尋ねると、「全部よかった」とこれまた即答。
そっか、よかったか。それはよかった。
また行こうね。

ひとつとして同じものはない

家に帰ってから、久しぶりにvoicyを流していたら、柳宗悦の言葉が紹介されていた。ぼんやり聞きながら、あ、これって環さんのワークショップかも、と思った。

どう見たのか。直(じか)に見たのである。直にということが、他の見方とは違う。直に物が目にうつれば、素晴らしいのである。大方の人は、何かを通して眺めてしまう。いつも目と物との間に一物を入れる。あるものは思想を入れ、あるものを思考を交え、あるものは習慣で眺める。

柳宗悦『茶道を想う』
(「若松英輔の「読むと書く」ラジオ」からの書き起こし)

【お知らせ】第2回「イメージをプリズムに。光を、そしてバラバラに」

「あるメタモルフォーゼ 〜平面の視覚から」
6/30(日)13:30~16:30(@中目黒)

粘土を使うそうです。小学生高学年から参加できます。
お申し込みはこちらから↓


【お知らせ】「 田島 環 展 初夏の絵展 vol.15」 開催中

会期:2024年5月1日(火)〜6月1日(日)
時間:9時30分〜18時30分(月休,但し5/6祝日は営業)
会場:矢野園 喫茶有鄰(桐生市本町2-6-30)

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