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うしろ姿が語るもの【3月のゆりうララ】

ゆりうララ3月最後の活動は「架空の人のエピソードを語る」でした。
「なってみたい人になってそれらしいふるまいをしてみたり、
その人になってインタビューを受けてみましょう。」
的なことを考えていましたが、ウララとオンラインで打ち合わせをしていて突然ひらめきました!
そうだ!せっかくならばオンラインでできることをやってみよう!

自分の後ろ姿を見てもらい、その後ろ姿から彷彿とされる人物像やストーリーを他者に紡いでもらいましょうとなりました!!
自分の後ろ姿、これはもうどうにもコントロールできません。せいぜい姿勢を正すことくらいでしょうか。
目の前で打ち合わせしていましたが、互いにZOOMを立ち上げて実際に画像に自分の後ろ姿を映してみました。
当然ながら前を向いて打ち合わせをしていた人の後ろ姿を突然まじまじと見ることなどなかったこと。互いの後ろ姿を見てやってみることにしました。

まずはわたしの後ろ姿を見て、ウララが浮かんできた人物像を3人書いてもらうことにしました。

「小学生と幼稚園児の子供がいるお母さん。これから子供を自転車で迎えに行って、夕飯の買い物もして急いで帰るところ」
「女子プロの選手。コインランドリーで出来上がるのを待っている」
「スーパーの広告の安売りをしげしげと見つめるおばちゃん」

うーん。そっかー、そっかー!これみんなおばちゃんてことだよね?
そっかー。そっかー。後ろ姿、そう見えてるのかー。軽くショック。
いやいや、人から見たらおばちゃんなんだから、当たり前です。と自分に言い聞かせました。



ちなみにウララの後ろ姿を見て私が感じた人物像は

「漫画家。今ちょっとスランプ気味。SF大河ロマンを描き始めたが、次の展開に悩んでいる。」
「ヨージ・ヤマモトの片腕だった人。ヨージが死んでこれからのブランドの方向性について孤独に悩んでいる」
「イヴ・サン・ローラン専用のお針子。レースを使った新しいデザインが上がってきて、それをどう形にするか考え中」


あれれ?ウララの後ろ姿におばちゃんは感じないぞ。むしろある種の専門性を持っている人が滲み出ているのはなぜだろう。
ひとつは、髪の毛の感じだということがわかりました。ウララの後ろの髪の毛がとても素敵でカットの技術を感じたから。
そしてほっそりとした首からもそれを感じたかもしれないな。

うーむ。それにくらべて今回の私の服装は前を見ると、逆さ眼鏡をしたデヴィッド・ボウイのけっこうアナーキーなTシャツを着ているのだけど、後ろから見るとただの白いTシャツ。そして、髪は引っ詰め。これはそう言われても仕方あるまい。うららの感想は「なんだか全体的に疲れている感じがしました」とのこと。確かに、その日は久しぶりに東京に来てとても疲れていたのでした。後ろ姿はそんなことも出るのだね。



さて、当日。
みなさんにもお一人ずつ後ろを向いていただきました。時間は3分。
3分間は何も思わずにただただ後ろを向くだけなのですが、これが、超!チョウ!おもしろかった!!
後ろを向いてる人は全員「3分は長い!!!」と言い、後ろ姿を見ながら人物像を考えている人は「3分は短い!!!」と言いました。
どうやら人はその後ろ姿を見ているだけでいろいろなことを思い出すようです。


今回、初っ端に行ったウララの後ろ姿を見て出てきた人物像はこれでした。

・誰かを待ってる
・悲しみを抱えてボーッとしている
・これからオーディションの現場に向かうため電車を待っている。これに落ちたらもうあとがない。なんとか受かりたい。受かるんだろうか
・海を見ている
・誰かを待っている。でも待ち人は来ないだろうと思っている

すごい…。
共通しているのは、ぼんやりとしている。待っている。なにか哀しみを感じている。

他の方の後ろ姿からも

・コンビニのオーナー
・校長先生
・オリンピック水泳選手強化合宿のコーチ
・初孫誕生を義理の息子と待っている
・初恋の人と50年以上ぶりに会う。お互いがわかるかしら…。
・お花が大好きな山に住んでいる作家
・毎月第三金曜日は宇宙と交信する日なの
・明日はどんな楽しいことをしようかな〜
・瞑想している

ここからたくさんのドラマが生まれそうな設定ばかりです!おもしろい!!



ちなみに今回の私の後ろ姿はこれ。


ここから出てきたのはこんな人物でした。

・朝ドラの舞ちゃんのその後
・なりふり構わず奔走する女性記者
・冒険家。結構無茶もする
・次の日、滝行をする予定
・実は猫好き
・ひとりキャンパー。夜、焚き火を見つめる
・パンダが居なくなって呆然としてる人
・疲れた~と言いながら一休みしても頭の中は思考を巡らせて休んではいない人


あれ?この間と違う!!
みんなに共通して感じられているのは、どうやらしゃかりきに我が道を行こうとする人の後ろ姿のようです。

この日は、実はわたしは大きな決断をした日なのでした。
長年懸案していたひいじいちゃんの家、50年以上空き家です。けれど、ここにはへっついさんと言われるかまどや、五右衛門風呂があって、昔の日本家屋の名残があり好きなお家でした。このお家をお掃除して、みなさんをお呼びできる家にしていく!!と決めて動き出した日でした。(研究所でもこのお家を使ってワークをすることになりました。詳細はホームページにて


なんかすごいなあ。
今回の参加者が特別受信能力が高いのかしら、と思われるかもしれませんが、いえいえ、違います。
もちろん、今回の参加者の方々はゆりうららに3回とも来てくれて我々の無茶振りにとまどいながらもそれ以上に楽しんでいただいたみなさんは3回目ということや、それ以上に前の関係性もそれぞれあるので、気心が知れて楽しめたということもたしかにあります。

時々わたしは自分のワークショップの中でも、後ろ姿を見てその人の物語を考える、というワークを行います。そんなこと初めてします!できるでしょうか?とみなさん最初はざわざわされますが、やってみると驚くほどたくさんの言葉が出ます。背中から醸し出されるものは一人一人違っているということがわかってとても驚かれるのです。
正面で話しているときは、そんなふうに感じなかったのに、後ろ姿を見ていると
とても力強いものを感じたり、繊細なものを感じたり、女性らしさを感じたり。
そしてそれらは表現の仕方は様々ですが、何か共通のものを感じていることが多いです。
これらは年齢を重ねた大人にしか行っていないワークですが、子どもたちとやってもおもしろいのかもしれません。



とにかく!後ろ姿はおもしろい!ということがオンラインでも、いやむしろオンラインだからこそとてもよくわかるワークショップでした!!



ゆりうらら、3ヶ月お休みして次回は7月から3ヶ月行う予定です。
日常の「べき」を外して、みんなで冒険してみる時間、あそんでみる時間をこれからも作っていこうと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。


今後の研究所の活動はこちら


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