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1Day プレイバック・シアター(研究生日誌たか)

2024/6/2(日)

今日は羽地さんによるプレイバック・シアター 1 Day ワークショップ。スタッフ合わせて16名が集い、始まる前から会場は熱気であふれている。羽地さんも由梨さんも参加者のみなさんと楽しそうにおしゃべり。場づくりはもう始まっているのだろうな。

自己紹介

サークルになって、呼んでほしい名前と何か一言を順番に話す。初めましての方、最近よく来てくださる常連さん、20年前からの参加者で久しぶりに来られた方など、プレイバック・シアター経験も様々。お一人お一人の顔ぶれを見ながら、羽地さんが積み重ねてきた年月の厚みと歴史を感じる。

共通点探し・グループで劇づくり

まずは共通点探しゲームでなごやかにスタート。
その後、誕生日順に並んで近くの人と4人グループになり、自分はどんな子どもだったかを話す。その中から一つのエピソードを選んで、4人で即席の劇を作って、全員の前で披露した。わたしもいたずらっ子になって、一緒に遊び、ワクワクの冒険をした。

プレイバック・シアター

短い休憩を挟んで、メインワークのプレイバック・シアターへ。たまたまテラー席に座っていた人に、そのままテラーになってもらうことに。自由で楽しい場所と、きっちりが求められる場所との間を行ったり来たりする世界をみんなで観る。みんなそれぞれの自分の日常の中にある行ったり来たりに思いを馳せる。テラーも、アクターも、観客も、目の前の劇が自分ごとになっていく。
わたし自身は、このプレイバック・シアターを観ながら、場所によって引き出される自分は全然違うけど、その人がまとっている存在感のあたたかさや誠実さはどこにいてもそこはかとなく滲み出るものなのかもしれないなぁと思った。

お昼休み

わたしは近くのカフェでキーマカレーを買ってきて、会場でみんなと一緒に食べた。今日は沢山人がいるからテーブルを5つも出して、つめつめで座った。

隣にいたJちゃんから、ラボラジオ聴いてますと言ってもらってすごく嬉しかった〜。わたしが、毎回ラジオの出だしを間違えちゃうんだけどとか、途中で長い沈黙があったりするんだけどと言ったら、それも含めて楽しんでくれているようだった。ほっ。聴いている人がいると知ると、また収録してUPするぞ〜という気持ちになる。本当にありがたい。

研究生による今後のワークショップのご案内

今後開催予定のワークショップを一つ一つ説明してみると、ラボは本当に沢山のワークショップをやってるんだなぁと実感する。どれもこれもとっても素敵な場だから、みなさんに届くように伝えていきたいなぁ。

午前中の感想

サークルになって午前中の感想を一人ずつ話す。今日は人数が多いからこれだけでも結構なボリュームだ。

由梨さんの体ほぐし

サークルになったまま、下半身から上半身へと各部位をゆっくり伸ばしたり回したり。上に上にぐーっと伸びて「ハァ〜」と全身脱力〜。目に見えないボールを遠くに投げる。今度は声もつけて「えーい」とか「おー」とか言いながら投げる投げる。最後は”ハイ回し”というゲームで盛り上がったところで羽地さんへバトンタッチ。

気持ちを動きと声で表すウォーミングアップ

羽地さんは”ハイ回し”を応用した身体表現のウォーミングアップにつなげていく。最初は気持ちを表す言葉を一人ずつ順番に言う。次に、ある気持ちを体の動きで表して、その動きを次の人へ”ハイ回し”と同じ要領で渡していく。そうやって、気持ちと動きがサークルを次々と巡っていく。お次は気持ちを表す体の動きに声もつける。段々動きもエネルギーも大きく速くなっていく。

このアクティビティで印象的だったのは、「怒り」という気持ちを次の人に渡すたびに10%ずつボルテージを上げる、というバリエーションでやっていた時だった。わたしから一番遠くにいた研究生仲間のゆきのさんの突き抜けるようなひときわ大きな強い声には、確かに怒りが乗っていた。その声の輪郭が目に見えるようだった。きっとゆきのさんは今気持ちいいだろうなぁと、ゆきのさんの楽しそうな姿を遠くから眺めながらふと思った。

わたしは大声は出すし、顔もしかめるんだけど、その瞬間に自分の内側に怒りは感じない。だから多分、わたしの大声には怒りは乗ってないんじゃないかな?怒りが発散される感覚もない。もちろん楽しいし、多分ウォーミングアップとしてはこれでいいんだと思う。いいと思うんだけど、パッと言われた感情をその場ですぐに身体と声で表すってどういうことだろう?と、ちょっと思った。

動く彫刻

アクター3人が前に出て、フロアにいる観客3人の気持ちを動く彫刻で表す、というのをアクターを交代しながら何回か繰り返した。どんな気持ちも動く彫刻で表してもらうと、クスッと笑えたり、満たされたりする。

わたしもアクターとして出た。いつも羽地さんは、上手下手じゃない、考えないでその場で思いついたことをやる、誠実にやる、とおっしゃる。わたしも、そうしているつもりだ。だけどアクターをしている時、一抹の不安が頭の後の右上方にかすかにピッと点滅する。「これで、いいのかな?」

別に「これでいいのかな?」と頭で考えながら動いているということではない。考えずに思いつきでパッと動いてるのは本当だ。だけど、動いている最中に、ピッとかすかに点滅するものを頭の後の右上のあたりに感じる。その点滅に言葉で名づけるならば、「これで、いいのかな?」になるという感じ。

動く彫刻は、一瞬の気持ちを身体の動きと声で表す。わたしもテラーになって、自分が語った気持ちを誰かに動く彫刻で表してもらうのは大好き。でも自分がアクターをするときは、一生懸命やっているんだけど、本当に誠実にやろうとしているんだけど、自分の内側にその感情が湧いていないことの方が多い。多分それで点滅が生じるんじゃないかな。

ストーリーのある劇でアクターをするときは、他のアクターとのやりとりがあるから、そのやりとりの中で自然に色々な感情が湧いてくる。その気持ちに従って演じていけばいいので、あまりそういう内側が空白になるようなことは心配しないで済む。だけど、動く彫刻は、短い説明を聞いてすぐにパッと動き始めるから、わたしもパッと動いてみるものの、何も感じないまま一生懸命やってるとなるのかもしれない。

ワークショップ後にスタッフで晩御飯を食べていた時にこの話をしたら、研究生仲間のゆきのさんは、動く彫刻の時は何かが降りてくるのを待つのだそうだ。そして降りてきたら動き始めるのだそうだ。いいなぁ、うらやましいぜ。わたしは、待っても何かが降りてくるなんて思えないなぁ。ただただ立ち尽くしてしまいそうだ。

そしたら羽地さんや由梨さんが「他のアクターの動きと全く同じ動きをしてみたら?」と提案してくれた。そうか、それでもいいのか。「早くパッと動かなきゃ」ってわたしは焦っていたのかもしれない。他のアクターが動き出すのを待って、同じ動きをするだけでいいなら安心だ。

普段わたしは、自分の内側で感じていることや考えていることと、自分の声や言葉がなるべくぴったりくるように話そうとする。それはもうほとんど癖みたいなものだ。同時に自分が発した声が耳に入ってくるから、その声の感じから、今の自分の状態や気持ちを感じ取ったりもする。自分が口にした言葉が本当に自分が思っていることなのか、ムキになって言っていることなのか、知ったかぶりしてるのか、静かな確信があることなのかも、その瞬間の自分の声のトーンや身体の感じから確認したり判断したりしている。常に自分の内側と発した言葉や声の間で、その瞬間瞬間の往還がある。

でも、動く彫刻をしながら自分の内側にその気持ちを感じられない時、内と外の擦り合わせはできない。そのことに不安を感じるのかもしれない。これは、朗読劇でも時々経験する。曽根崎心中をやった時も、恋人と一緒に心中に向かう男の気持ちが自分の中に全然起きてない中で、その男役としてセリフを言ったり演じたりすることにものすごく戸惑いを感じた。

自分の中に何も感じてないのに、それを表現するなんてできない。

そうか、書きながらだんだんわかってきた。羽地さんや由梨さんが言ってくださったように、他のアクターの動きをなぞるように同じ動きをしてみると、もしかしたらその動きに触発される形でわたしの中にその感情が芽生えてくるのかもしれない。それなら自分の中に何もなくてもできる。まず動きから入る、というのをしばらく試してみよう。

もしかすると一番大事なことは、安心すること、なのかもしれない。

プレイバック・シアター

ある夫婦の会話をプレイバック・シアターで観た。その後2つの動く彫刻を観て、最後にその夫婦の未来での会話をプレイバック・シアターで観た。

わたし自身すっかり夢中になって観ていたので他の人の様子に気づかなかったのだけど、他の皆さんもそれぞれに自分ごととして大きく心を揺らしていたのだそうだ。語ってくれたテラーには心から感謝している。

プレイバック・シアター後は、4人グループになって感想を語り合った。いい時間だった。

グループごとにプレイバック・シアター

なんと今回は、4人グループになって、各グループで自分たちでプレイバックをした。つまり、グループメンバーが、コンダクター、テラー、アクターをやったのだ。

わたしはコンダクターをした。役不足なので、アクターの人が「本当は言っちゃいけないんだろうけど、テラーの人に質問していい?」と本来はコンダクターが質問しないといけないことを聞いてくれた。すごく助かった。みんなそれぞれの役割や持ち場を超えて、協力し合って一つのプレイバック・シアターを作り上げている感じがして、とても楽しかった。これはこれでいいな。こういう成立の仕方もあるんだな。

わたしのグループのテラーは男性で、彼のこんな夫婦関係がいいなぁという願望を語ってくれた。とても新鮮だった。女性側の願望は聞く機会が多いが、男性側の願望を聞ける機会はなかなかない。彼はとても素直に語ってくれるから、なるほどねぇ〜、そうなんだねぇ〜、面白いねぇ〜、とお互いに素直に聞くことができて、色々と発見があって面白かった。

クロージング

サークルになって一言ずつ順番に今日の感想を話して、今日のワークショップは終了となった。

Lプロ(プレイバック・シアターのコンダクタートレーニング)のお誘い

24年8月31日から、羽地さんによるプレイバック・シアターのコンダクターのトレーニングが始まります。一緒に学びませんか?

ピンと来た方、ぜひお申し込みをお待ちしています!

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