うつくしいもの(5)「自分の言葉を語る美しさ」【岩橋由莉連載エッセイ】
私は小さい頃、石を裏返すことが好きな子どもでした。
小学校は和歌山城の近くにあって、バスで帰る子どもたちは天気がよければ帰り道に二つ先の停留所を目指して、和歌山城の中を通り抜けていきます。
そこでは、鳩を追いかけたり、虫を取ったりとそれぞれ好きなことをして道草をしていきます。
私は時々ひとりで石を裏返すあそびを好んでやっていました。
道の端っこや人の通りそうもない場所の石を裏返すのです。
ここで裏返さなければ、石はまた何百年もこのままかもしれない、とか
この石は百年ぶりに裏返