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「家で出来る演劇と岸田國士」終演に寄せて


#家で出来る演劇 ディレクターの日野あかりです。

2020年8月8日(土)・9日(日)「家で出来る演劇と岸田國士」の上演をひとまずは無事に終了することができました。
ご来場いただいた65名のお客様、家で応援してくださったお客様、快く会場環境を整えてくださった健康古民家かのう様、事前から当日までサポートしてくれたスタッフ、そして出演した俳優たちへ、心からの感謝を申し上げます。
本当にありがとうございます。

新型コロナウィルス感染拡大防止策として、お客様には諸々ご協力をいただきました。こちらについても、本当にありがとうございます。
出演者・スタッフは今後2週間体調管理につとめ、8月23日にはその時点での経過をお伝えいたします。

当日は晴天に恵まれすぎまして、大変な酷暑のなか窓を開けて上演するという非常に過酷な環境。コロナ対策と熱中症対策を同時に成立させるために、みんなで知恵を絞り、前日にサーキュレーターの追加・冷えピタの大量購入など、普通演劇の公演で用意しないような備品がそろいました。
お客様にも水分の持参などで対策をお願いすることとなり、恐れ入ります。。
また出演者・スタッフもスーパータイトなスケジュール(終演から次の開場前集合まで約45分)のなかで、本当に体力の限りを尽くしてくれたこと、もはや何も言えないくらいありがたいことです。

公演直前に、お世話になっている演出家さんから「じぶんひとり、だけでは、いま演劇公演は本番まで持ち込めないので、気をつけて」という言葉をもらいました。
駆け抜けているときにも感じていたことですが、上演が終わった今、改めてその言葉を重く受け止めています。
誰ひとり欠けても最後まで続けることはできなかったですし、お客様のひとりでも体調不良で倒れるようなことがあれば、「無事に終演」とは言えませんでした。
未熟なわたしですが、今回この気持ちを実感できたことは今後に大きくつながると思います。


まじめな話ばかりになってしまいましたが、中身の話も少々。

どの作品にも共通して、「古民家・ロケーションとの相性が抜群」というお声をたくさんいただきました。
最初に下見させていただいた6月、まだ庭の紫陽花がきれいに咲いていて涼しい風が通る古民家は、絶対に作品の味方になってくれると確信しました。実はいままで演劇で使用されたことのない会場とのことで、入念な事前打ち合わせを重ねて、今回の企画は実現しました。


特に『ここに弟あり』では、戯曲を読みながらあの家で演じるイメージがどんどん湧いてくるほどぴったりの間取りで、勝手口や茶の間横の縁側、廊下にある水道など家の各所を使い、まさに「生活を覗き見る」ように体感していただけたのではないかな、と思います。

A場当たり_200811

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西洋人の彼(といえるのかな)が突然いなくなった後の部屋で一人想いにふける『モノロオグ』は、まったくの一人芝居ということで、出演した大塚さんも「家から『なにか』をもらって演じる!」とおっしゃっていましたが、他の作品でも共通するはずの家財道具が、彼女が触れるだけで思い出の品に見えてくるような印象がありました。最後の庭に回って縁側に麦わら帽子を置き去っていくシーンは、家の静けさと相まってとても切なく感じられました。

C場当たり

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『クロニック・モノロゲ』は、俳優・佛淵和哉の怪演という感じでしたが、古民家を縦横無尽に使い、躍動感のある作品になりました。あまりの勢いに、何度もふすまや壁の心配をしたくらいです。笑 作品の時間帯が深夜ということもあり、特に夕方の公演では徐々に日が落ちていく様子と男の精神が内に入っていく様子が重なり、とても劇的な空間になっていました。

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(写真はすべて場当たり稽古より。)


今回挑戦した「演出家をおかないで俳優だけで作品をつくる」というコンセプトは、本番に入るとますます「どう見えているんだろう…?」という不安もありましたが、1回1回自分たちの芝居に対して「主観的に演じ」「客観的に捉える」という繰り返しをすることによってブラッシュアップができていったように思います。
なかなか難しい取り組みでしたが、俳優力をあげるためにはかなり有効な手段だったようにも思えます。こんな実験にお付き合いいただいた俳優のみなさん、お客様、本当にありがとうございます。。

(Twitterでいただいた感想をモーメントにまとめました)


さて今後ですが、まずこの公演に関しては
・アーカイブ映像の配信
・物販(今回使用した戯曲、舞台写真の詰め合わせ本)

を予定しており、こちらのサイトからご購入が可能です。
なんと4K画質での収録ですので、短編映画のような雰囲気でご覧いただけるのではと思います。
投げ銭チケットもご用意しておりますので、もしできれば、是非によろしくお願いします。
物販は、保坂萌氏による舞台写真・フライヤー撮影時のピンショットなど詰め合わせてありますので、それだけで見ごたえがあるのではと思います。わたしも欲しいです。

また、コロナ禍での上演に対して知見を貯めていくことが演劇界に必要になると考え、
・対策したこと(上演前・中・後)
・実際にかかった予算(コロナ対策費含む公演の全経費表)

をnoteの記事で公開します。
こちらは少し時間がかかるかもしれませんが、遅くとも今月中には公開できるようにしたいと思います。
少しでも今後の演劇界が灯を絶やさずに進んでいけるように、微力ですが頑張ります。


最後に、今後の #家で出来る演劇 の活動はまたオンラインに戻り、本読みのほか、オンライン稽古場公開もまたやりたいと思っています。
こちらのnoteにも随時情報・動画はアップしていきますが、よろしければYouTubeのチャンネル登録もぜひぜひ。

参加ご希望の俳優さん向けに LINE@ でご連絡をしておりますので、ご興味ある方は登録してみてください!(俳優さんでなくても戯曲を読んでみたい!という方であれば大歓迎です)


大変長くなってしまいましたが、最後に改めて、この企画にかかわってくれたすべての皆様に感謝申し上げます。

これからも #家で出来る演劇 をよろしくお願いします。


日野あかり

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