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【ぶれる境界】四方山話そのよん(終演によせて)

こんにちは、#家で出来る演劇 ディレクターの日野あかりです。

10月1日~3日で上演しておりました、#家で出来る演劇 at 北千住BUoY「ぶれる境界」無事に全ての公演を終えることが出来ました。

ご来場いただきましたお客様、気にかけていただいた方、今回の座組の全てのメンバー、そして今回のチャレンジを温かく見守ってくれた北千住BUoYに、多大なる感謝をお伝えしたいです。本当にありがとうございます。

また、感染症対策についてもお客様にご協力をいただきまして、誠にありがとうございます。俳優・スタッフは体調の経過観察を続けており、10/17にご来場いただいたお客様への報告を予定しております。

以下、公演の簡単な振り返りを記録として残しておきます。

タイトルの話

今回のタイトル、#家で出来る演劇 at 北千住BUoY「ぶれる境界」について。
脚本の善雄さんからプロットと共にいくつか案を頂き、それをベースに企画の二人で唸っていたところに、会場に隣接するBUoYカフェのコンセプトの文章を発見しました。

「ぶれる」というと、なんだかネガティブなイメージがあるようです。人生の軸がぶれないことがカッコイイと言われているし、カメラがぶれるなんて聞かなくなりました。そんな時代に、BUoY Café は、あえて「ぶれる」という実験をしてみたいと思っています。(中略)カフェは異なる分野や社会の間をぶれつづける存在でありたいと思います。たどりつく結論やゴールというのは、そもそもないのかもしれません。ただ、ぶれつづける間、作り出せるもの、発見できることがあると信じています。少し先の未来すらふたしかな世界で、BUoY Café から起こす微振動が伝わって共振してくれる人がいたらと願っています。
https://buoy.or.jp/cafe/ より引用)

作品のプロットや公演スタイルのなかで、「世界の境界線をぶれさせること」、「あるイメージがいつの間にか定着した言葉を捉えなおすこと」は大きな要素でしたので、まさにこのコンセプト文からインスピレーションを得て「ぶれる境界」と名付けました。
ついでの話ですが、今回の公演はあくまで「カフェ公演」ではありません。「カフェを借景としたギャラリー公演」です。カフェと演劇空間という二つのエリアの境界をぶれさせ、融合している瞬間・分離している瞬間の隙間を縫うような観劇体験をお届けしたいと考えていました。視覚だけでなく、耳や鼻でもBUoYカフェという借景をお楽しみいただけていたら嬉しいです。

【6】物撮り

脚本の話

善雄さんがつけてくれた「目の前の男がめんどくさい。」というリード文。フライヤーデザインの今治さんのセンスのおかげもあり、かなりお客様の興味をひくフックになったように思っています。
その「めんどくささ」を持つ男を、佛淵くんが演じました。彼を取り巻く様々なエピソードを中心に物語が展開していきます。例えば「食べるのに便利すぎるバナナが怖い」「ひっくり返して掛けるだけの分数の割り算法が納得できない」といった、自分に都合の良いことへの恐怖を抱いているというとても生きづらい男。幸せなことがあっても、本当に自分がこの幸せを享受していいのか?と悩んでしまうような人物です。
脚本にはこういった細かいエピソードがちりばめられており、お客様の心で「あ、それわかるかも」と思う瞬間がどこかしらあったのではないかな、と思います。
詳細は伏せておくとして、何となくこの「めんどくささ」に思い当たる節がある方はぜひ配信映像や戯曲写真集に触れてみてください。

【15_スチール3】ブレる境界

稽古の話

コロナ対策のため、俳優二人と演出の小崎さんだけの稽古場で、短時間の稽古を積み重ねました。二人芝居ゆえの膨大な台詞量に立ち向かうため、俳優陣は稽古前に近隣公園での自主稽古を日々行っていました。マスク姿に黒っぽい恰好の男女がブツブツうろうろと公園にいる姿は、傍から見ると売れないYouTuberのようだったでしょう…笑
展開の多い脚本に対して、交通整理しながら更に想像力膨らむ形に演出をつけていただいた小崎さん。脳内にあるたくさんの引き出しに感動しっぱなしでした。不器用な俳優たちにお付き合いいただき、感謝です…。

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ということで、ここまで公演を振り返る文章をお送りしました。
本公演は配信映像と戯曲写真集の販売を引き続き行います。

配信映像は10/12~12/31まで視聴いただけます。→10/14〜に変更させていただきます。配信予告映像はこちらから!

購入は10/31で一旦締め切らせていただきますので、ご検討いただいている方におかれましてはご了承ください。
下記URLより購入いただいた後、視聴URLをお送りいたします。
https://playathome.base.shop/items/52262204

【3_スチール2】ブレる境界

戯曲写真集は10月下旬にお手元にお届けできるよう鋭意制作中です。少部数の作成となりますので、売切れの際はご容赦ください。
(編集中ですが、こんな感じで写真が度々差し込まれたカラーの冊子となります)
https://playathome.base.shop/items/53129404

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コロナ禍が謎に収まりつつあるかのように見えていますが、まだまだどうなるかわかりません。
#家で出来る演劇 という企画は、最初は「コロナ禍で自宅で出来る演劇活動」というスタート地点から、「家を使った演劇上演活動」へ移り、今回「劇場ではない日常的な場での演劇上演活動」へとまた変化しました。
これからもどんどん変わっていく可能性を秘めていますが、ディレクターである私としてはポジティブな変化だと思っています。やりたいことを、やれる形で実行していく。そこに枷を作るのは無意味かなと(大きな口を叩きますが)思ったり。ただ、借景も含めてその空間に沿った演劇活動をしていくことへ、今後も挑戦していきたいと考えています。

引き続き活動を見守っていただければ嬉しいです。
この度の公演に関わってくださった全ての方に感謝申し上げます。

ぶれる境界-表

ぶれる境界-裏


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