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第21回 「空間認知能力」

今回は「空間認知能力」についてお話ししたいと思います。

●空間認知能力とは

空間認知能力とは、読んで字のごとく空間を正しく認識できる能力のこと。
学術雑誌『研究報告数理モデル化と問題解決』(第33号、2012年)に掲載された論文「ARを用いた空間認識能力向上のための学習方法」によると、空間認知能力は「3次元空間上において、物体の位置や形状・方向・大きさなどの状態や位置関係を素早く正確に認識する能力」
空間認識能力によって、人間は目の前にないものでも脳内でイメージできるということです。

また、空間認知能力は、IQ(Intelligence Quotient、知能指数)と関係があると学術雑誌『図学研究』(第34巻2000年)に掲載された論文でこう述べています。
「MCTによって評価される空間認識力と一般知能との関係」において、IQテストと高い相関性があるとされるAPM(漸進行列)テストと空間認識能力を測るMCT(切断面実形視テスト)の結果を比較したところ、それぞれの得点に「比較的高い相関」が確認できた。二次元の図を見て三次元の立体物を想像するには、「推論などのより高次の機能」が必要とされるためです。つまり、空間認識能力が高い人は、IQも高いだろうと推測されることになります。

●空間認知能力が低い人

幼少期から成長期にかけてこの能力が養われないと「運動神経」の発達に伸び悩みが出てきてしまいます。
例えば「運動神経悪い芸人」でよく見られる光景で

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上空に上がったボールをキャッチするだけなのですが、ここで自分の立ってる位置とボールとの距離感がわからない。
これも「空間認知能力」が低いということになります。

日常で見られる光景として
・ゴミ箱にゴミを投げるときに全く入らない
・地図が読めない
・車を駐車する際に何度も切り返す(運転が下手というのもありますが・・)
・ものを書くと偏って書いてしまう
・模様替えが下手
など生活の中でも「空間認知能力」の低さがわかります。

●空間認知能力の重要性

運動・スポーツにおいては必須の能力。
その中でも球技においては非常に重要な能力となります。
野球とラグビー選手が一般人と比べて高いスコアを出したという研究結果もあるそうです。

2016年のリオデジャネイロ五輪で男子サッカー日本代表手倉森誠監督も、
「ヘディングがうまくできるのは背が高い人ではなく空間認識能力の高い人」
だと話しています。
空間認識能力が優れたスポーツ選手としては、サッカーの中田英寿選手、野球のイチロー選手、バスケットボールのマイケル・ジョーダン選手など一流選手の名前が挙げられます。

フィールド上に散らばる多くのプレイヤーの動きを把握しつつ、ボールの速度や軌道を見極め自分もそれに合わせて行動する。
球技には「非常に高度な空間認識能力を要求される」ことが想像できますね。

●「空間認知能力」はどう鍛えられる?

心理学者のデイビッド・ルビンスキー氏によると、空間認識能力は
「人間のなかで眠っている潜在能力のうち、最大の部分かもしれない」とのこと。
空間認識能力は創造力やイノベーションと関連して、主要な役割を果たしている。空間を立体的・包括的に捉えるのが「空間認識能力」
親としては「子どもの能力を養い最高のポテンシャル」を引き出してあげたいですね。

また人類学者のグウェン・デワー氏はこのようにも話しています。
「トレーニングによって空間認識能力を向上させられるだけでなく、性別による差さえも縮まるか消滅する」と。

●「空間認知能力」はどう鍛える?

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