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1分間の愛のエール 「#代官山クラップ」で見えたこと

こんにちは。
渋谷区観光協会の杉山と申します。

私は、普段、「渋谷のラジオ」という渋谷のコミュニティFMで
働いています。
日々、渋谷の街の人たちと触れ合う中で感じたこと、伝えたいなと思ったことを、これから私の目線でお伝えできたらと思っています。

今回は、コロナ禍で実施されたイベント
「#代官山クラップ 代官山からすべての人に愛のエールを!!」を通じて
出会った人、感じたことをお伝えします。


2021年1月7日、二度目の緊急事態宣言が発出。


新型コロナウイルス感染症が猛威を振るい、
一年で一番の稼ぎ時である12月1月が自粛で完全にストップ。
年が明けたばかりだというのに、
夜20時には、いつもなら賑わうお店も電気が消され、
入り口には「休業」の貼り紙も。
スクランブル交差点のビジョンから流れる音がいつもより大きく聞こえ、
渋谷の夜の街からは、いつもと違う雰囲気を感じました。

「前回の緊急事態宣言のときに比べて、
昼間は普通にみんな働いているし、
コロナが何者かがわかるようにもなって、
お店を応援しようという風潮が前よりはそんなにない」
「店は開けてはみたけど人が来ないから、
気持ちが落ちてしまって、やっぱり休むことにした」
「飲食店はテイクアウトやデリバリーができるからいいけど、
雑貨店は、商店街に人が来てこその商売だから意外と知られてないけど厳しい」
「俺たちより、おしぼりや酒屋さんなんかの卸業者さんの方が大変。
大きいお店と取引しているところは、大打撃を食らっている」


夜間の飲食や会話を含めた感染リスクを防ぐため、
20時以降の不要不急の外出が自粛となったことで、
飲食店やライブハウスなどが大きな制約を受け、
渋谷の街の店で働く人たちからは、私の耳にもいろんな声が聞こえてきました。

感染者数が増え、不安な気持ちが宿るなか、
こんなときだからこそ、助け合おう、できることをしよう、
と立ち上がる人たちが渋谷の街にはたくさんいました。

今回、中でも私が多くの方に知ってほしいと思った取り組みが、
代官山商店会主催の『#代官山クラップ』です。

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「#代官山クラップ 代官山からすべての人に愛のエールを!!」 

代官山商店会が、「今自分がやれることは何か」を考え、参加される方々の安全を第一に、【Clap for Carers】の理念のもと、行われた取り組みです。
2月14日(日)バレンタインデーのお昼12時に、それぞれがそれぞれの場所で
1分間、医療従事者のみなさんをはじめ、コロナ禍でがんばるすべてのみなさん、そして自分たちに、思いを馳せながら拍手を送るというもの。

八幡通り沿いのガードレールに横断幕を飾る企画は、81の団体が参加し、
2月12日(金)午後から14日(日)の午後まで、八幡通り沿いが、個性豊かなカラフルな横断幕で、愛溢れる、華やかな雰囲気に包まれました。

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この企画の立ち上げから実行まで、率先して準備をされていた、渋谷区区議会議員の森田由紀さんに、このイベント実施の経緯と、感想を伺いました。

「コロナ禍で自粛が続いているけど、何か代官山から応援する企画ができないかということで、1ヶ月前から相談を受けていました。
そこで、渋谷区の八幡通りの道路を使って、みんなに伝えていくことができないかなということで、ガードレールに横断幕を飾ろうということになりました。
すぐ土木部に相談して許可を取り、警察に相談して話が進みました。

ガードレールを活用するというのは盲点でした。

公共空間の道路をどう活用できるかっていうところは、今までになかったアクションだったけれど、代官山から始まることで、渋谷区の他の区道でも、何かみんなの思いとか活動を発信するような地域活性につながる提案ができればと思います。
予想以上に地域が一つになり、この1年間の節目になりました。


告知動画制作への想い


この当日のクラップに向けて動いたのは、横断幕の制作だけではありませんでした。
スクランブル交差点のビジョンでも放映されたこちらの告知の動画。


こちらは、この「#代官山クラップ」の取り組みに賛同した企業さんのご協力のもと、制作されました。

私は、どんな方が作られたのかお会いしてみたい!と森田さんにお願いして、彼らの活動拠点となっている渋谷スクランブルスクエアの15階にある、 会員制の産業交流施設「SHIBUYA QWS(渋谷キューズ)」に伺い、動画を制作された株式会社変幻自在のみなさんとお会いすることができました。


出迎えてくださったのは、代表取締役の中西健輔さん、馬場亮祐さん、鈴木GOさん、高野洋さん、松原将貴さん。

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「変幻自在」という会社は、去年の緊急事態宣言の前日に作った会社だといいます。

中西さん「このタイミングで、今までの社会のあり方とか、働き方、会社の  仕組み、経済の仕組みとか、全部変わっていくんじゃないかなと思いました。
これから変わっていくことが求められる世の中で、変わっていくことの支援をしたり、ある業界に対して新しい仕組みを作ったり、次の時代のための新しい仕組み、新しい在り方みたいなものを、実践していく何かをつくりたいと思って、会社を作りました。
ただ、今、世の中の経済の最小単位というのは会社で動いているので、会社っぽい仕組みを作ったら、新しいことができないんじゃないかなって思って、会社というより“コミュニティ”として新しく何かを仕掛ける、みたいなやり方ができないかな、と模索して動いている感じです。」
高野さん「それぞれが実現したい社会とか、やりたいことを形にするためにみんなが集まっています。
映像や、映画祭を作るプロジェクトもあるし、広告事業を作るプロジェクトもあります。」


まさに、“変幻自在”という言葉がぴったり…。
変わるということに抵抗がある人が多いイメージがありますが、
新しい風を吹かせること、新しいことをやっていくことは、
私自身もとても大事だと思うので共感しました。


そして、今回の「#代官山クラップ」に映像制作として参加するに至った経緯については…

中西さん「SHIBUYA QWSというスペースはとても面白くて、いろんなプロジェクトをされている方がたくさんいて、人と人との交流が強い場所です。
コミュニケーターの方が紹介してくれたりもします。
その中で、渋谷区とお仕事をされている方がいて、森田由紀さんとお話をする中で、「#代官山クラップ」の映像を作ってくれる人を探しているんだけど、納期も予算もない、どうしよう!?というお話をたまたま聞いて、
ぜひやりましょう!となりました。
渋谷という街自体、自分たちがいるコミュニティだし、その渋谷に対して何かしたいという想いがあったので、やらせていただきました。
馬場さん「制作時間は5時間くらいです。
他の仕事も詰まっている中で、1日半後に納品してくださいと言われたので…。普通の会社だと無理だと思います(笑)
でもそれが渋谷スクランブル交差点のビジョンで放映されたというのはとても嬉しかったです。」

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(※スクランブル交差点ビジョン画像提供:株式会社変幻自在)

実は、私の元にも、実際にビジョンでご覧になった方が撮影された動画が、
代官山商店会の矢野会長から送られてきました。
きっと、思わずシェアしたい!と思ったほど、
商店会のみなさんは、とても嬉しかったんだと思います。
「自分たちがいる居場所に対して何かがしたい」という、変幻自在のみなさんの想いが、しっかり地元の人に届いているなと感じた瞬間でした。

そんな変幻自在のみなさんは、今、渋谷の街を舞台にした、アニメーションのプロジェクトに特に力を入れているそうです。
アニメーションに出てくるお店と同じお店を渋谷に出して、物語と実際の渋谷の街がリンクする、というもの。
今後の展開が楽しみです!

「#代官山クラップ」をふりかえって

今回、「#代官山クラップ」に参加した人の中には、「コロナ禍で、いつもお世話になっている病院など、医療従事者の方に感謝の気持ちを届けたかったから、クラップすることに参加させてもらいます」という81歳の方や、「気持ちだけど寄付させてもらいます」と寄付をされた方。
「楽しかった、この気持ちが届くといいなー」と横断幕を作成された方。
数々の声が寄せられたそうです。

“1分間、同じ時間に、思いを馳せて愛とエール、感謝を込めて拍手をする”。
森田さんの元に届いた動画には、たくさんの笑顔がありました。

ライブや、スポーツ観戦で、一斉に声を出して盛り上がって感動を体感することすらも難しい状況が続いていますが、参加した人たちが気持ちひとつに、明るく前を見て感動を味わうことができたこの「#代官山クラップ」の取り組みでは、少しそれに近い感覚を体感できた気がします。


今回、変幻自在のみなさんにお会いするにあたり、「SHIBUYA QWS」に小一時間ほどお邪魔しましたが、次から次へとたくさんの方をご紹介いただきました。
渋谷で出会う人との繋がりから生まれるものから目が離せない!
可能性しか感じられない!という空間でした。
また、お邪魔させていただきたいです。

渋谷の街には、この街と人を愛する気持ちで動く、
おもしろいアクションが、まだまだ待っているような気がします。

杉山


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