【一首一句 その四十三】山の端の明き朝日

【本日の一首】
春立つといふばかりにやみ吉野の山も霞みて今朝は見ゆらむ(拾遺集、巻一、1、壬生忠岑)

(鑑賞)
藤原定家の『近代秀歌』に収められた一首です。
今はもう夏の気配が漂ってきていますが、侘しさから長閑さが感じられる季節感を詠んだ秀歌ということです。
「自分の心の要求から出発してその要求の答えを自分で悟り知るべきもの。古典的歌語を尊重し、表現内容は未だ読まれていない世界を捉えようとして卓越した理想的表現を求めるべきだ。」というのが定家の考え。
個人的にこの歌は叙景詩の要素が強いながら、吉野の山の様子を感じさせながら感慨を表している良い歌ではないかなと思います。

【本日の一句】
山の端の明き朝日や春惜しむ

立春を歌ったのが本日の一首なら、本日の一句のほうは春の終わりを読んだ一句です。
山の端が明るい明るくなってくるのは太陽の角度からして夏が近づいてきた兆し。
そこに春を惜しむということで締めさせていただきました。
でもやっぱりおそまつな句です。

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