【一首一句 その二十八】いたづらに過ぐす月日と花

【本日の一首】
いたづらに過ぐす月日は多かれど花見て暮らす春ぞ少なき(和漢朗詠集、巻上、春、49)

(鑑賞)
桜の花びらを見る時間を大切にしたいのに、それが一年のうちの僅かであることに思いを馳せた一首。
いたづらな日々が、むなしくただ過ぎていくだけの日々であるなら、花を見る時間は心躍るものであるはずなのかもしれません。
逆に花を見る時間の短さが、花を見る僅かな時間を大切なものにしているのかもしれません。
花ばかり見ていたいのに、そうもいかないことを嘆いているのかもしれません。

【本日の一句】
花見れば身のいたづらを忘れをり

本歌の多義的な世界観は表せませんでしたが、それなりにまとめてみました。
私なんか一日桜を見ただけで、もうそれだけで哀しい気持ちになってしまうので、花見はちょっと物悲しいですねれどもね、おそまつ。

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