鉄は国家なり

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https://news.yahoo.co.jp/pickup/6373630

日本製鉄 海外拠点の再編加速 - Yahoo!ニュース
日本製鉄が、海外生産拠点の再編を加速させるという。米国で、老朽化している自動車向け鋼材工場を売却し、二酸化炭素の排出量が少ない電炉建設プロジェクトに参加する方向。経済産業省の発表では、2020年粗鋼生産は17%減の8218万トン。

news.yahoo.co.jp


自分は60年代に生をうけ、70年代に育った。何となれば高度成長期もオイルショックも公害も、経験はしておる。
日本の基幹産業は戦後まず繊維に始まり ー これは戦前から一番の輸出品だったが ー 次いで石油精製。そして官営八幡製鉄所以来の鉄。つまり素材産業製造業である。
いずれも順に「入社するのが難しい」会社であった。通産省より東レに丸善石油、そして新日鐵。

鉄は中国から持ってきた鉄鉱石を筑豊炭田の石炭で溶かし、鉄道や工場、そして軍艦。川路利長(としよし)以来の明治官憲国家がそのインフラを作った。鉄は国家なり。

折尾から八幡、戸畑に小倉・・・北九州市を列車で往くと、空は常に曇っており工場からオレンジ色の煙が上がっていた。洞海湾はヘドロで真っ黒。おお、これぞロックンロールシティ。
※ヤクザ的には工藤會が隆盛したのもこの頃。

しかし新日鐵はUSスティールに抜かれ、いま世界一は、はあ。印度の何とか言う会社。

さて先日、俺は維新を批判した。それは連中が詐欺師なだけじゃない。

ブロ友さん曰く

「維新はなぜ、大阪の製造業に言及しないんでしょう」

然り。で、まずは大阪市の産業統計を見てみた。

https://www.city.osaka.lg.jp/keizaisenryaku/cmsfiles/contents/0000003/3793/02-2019-1.pdf

最も多いのが卸売小売業。商都大阪、宜なるかな。
が、存外製造業の生産面積比(?)は川崎市に次ぐ。大阪「府」なら泉州の湾岸部 ー 野茂がいた新日鐵堺あるいは三井東圧 ー や、ロケット飛ばす東大阪があるから分からなくもないけど、大阪「市」で。

神戸は観光のイメージ強いけど、実は川崎グループに神鋼、製造業の街なのですね。港湾と相まって。また、京都の一番も実は製造業である。
同様に、維新はこの「実は」を敢えてか馬鹿かは知らないが、無視している。そもそも統計読めないんだろうけど。

これは連中の感性にも明らかで、儲けるにあたり喧伝しているのはカジノと万博。つまり、一発勝負。
ある意味現今を先取りしてはいますな。
企業でもなんでも

「今すぐ成果を出せ。あ、大至急な」

という。

※余談だが、こんな風潮のA級戦犯を俺は、80年代終わり頃から始まった株主至上主義と見ている。本来ステークホルダーは株主だけじゃないんだが、新自由主義的にはそうなんでしょうね。

これが一旦政治に転化したら、ポピュリズムになります。

一般に「男役10年」という。製造業を立たせるには少なくとも10年はかかる。これは俳優や歌手、そして新入社員を育てるのと同じ。学術研究基礎研究も、これと同じ。
基礎体力がなければならんが、不況が続くこの30年、そげな余裕は無かですばいというのも分かる。
しかしそれなら取り急ぎ。「取り急ぎ」の観光業や小売、サービス業で金を貯め、それを足腰たる製造業に投入すれば良いのではないか。つまり、短期的と中長期的のミックス作戦。

のべつまくなし製造業というわけではない。商都大阪なら小売重視でも良いとは思う。そこはほれ、魚心あれば水心。意味が全然違うわけだが。

しかしもの作りできなくなったら、足腰立たんでしょう。
鉄は国家なり。何が「価値観の多様化」だ、馬鹿。

重厚長大こそ正しい。反逆は、常に正しい。
◆Fire(レア)
https://youtu.be/d5PoIrcyd34


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