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「第17回 木の建築賞」表彰式レポート

2023年6月25日(日)14:30~、東京大学農学部アネックス セイホクギャラリーにて、「第17回 木の建築賞」表彰式が行われました。

選考委員特別賞を受賞した「ダイダン北陸支店」のクライアントご担当者様、当社設計担当者2名とともに私も広報担当として同席しました。

木の建築賞とは、「いま、求められる木の建築、活動とは」をテーマとし、木造文化の向上に寄与することを目的としたアワードで、全国を7つの地域に分割し、いずれかの地域で年1回開催されます。
第17回となる2022年度は東海・北陸地区の作品・活動を対象に行われ、応募総数43作品、そのうち20作品が2次選考へ進み、11作品が受賞しました。

表彰式の開催場所は、東京大学 農学部の敷地内にあるセイホクギャラリー
農学部は東京大学全体の南側に位置しています。
門を入ると新緑が美しい木々の中、セイホクギャラリーが左手に見えます。

左が入口門、中央奥がアネックス セイホクギャラリー(奥の樹木の中にあります)
ギャラリーアプローチよりいざ会場へ

ギャラリーに入り受付をして中に進むと、木とガラスで構成された大きな吹き抜け空間が広がります。

受付
木とガラスに囲まれた会場

ん!?表彰状の前になにやら見慣れない積み木のようなものが?

並んでいます

さて、受賞11作品の表彰が始まります。

第17回木の建築賞【受賞作品一覧】

◆木の建築大賞
星野神社 覆殿+本殿(本殿:愛知県豊川市市指定文化財)/望月成高(株式会社望月工務店、望月建築設計室)
◆選考委員特別賞・メンバーズチョイス賞
魚津市立星の杜小学校/久保久志(株式会社東畑建築事務所)
◆選考委員特別賞
ダイダン株式会社北陸支店/清水亮太(株式会社プランテック)
◆木の活動賞
飛騨高山の山林資源活用による、循環経済モデルの実践/澤秀俊(澤秀俊設計環境、NPO法人活エネルギーアカデミー)
◆木の建築賞(木の住宅賞)
志摩の小庭 いかだ丸太の家/六浦 基晴(m5_architecte一級建築士事務所)
◆木の建築賞(ムクファースト崇秀記念賞)
morinos/辻充孝(岐阜県立森林文化アカデミー)
◆木の建築賞(キノチカラ賞)
笹島高架下オフィス/高野洋平(MARU。architecture)
◆木の建築賞(建築士会 東海北陸ブロック会賞)
国立工芸館/山岸敬広(株式会社山岸建築設計事務所)
◆木の建築賞 <3作品>
・AND PLUS ‘SHARE’ OFFICE+COFFEE/竹原義二(無有建築工房)
・不惑の一棟/望月成高(株式会社望月工務店、望月建築設計室)
・“手で考えて身体でつくる”―地元材を用いたデザイン/ビルド建築教育の試み―/萩野紀一郎(富山大学芸術文化学部、萩野アトリエ)

この中で私たちが設計監理業務として携わった「ダイダン北陸支店」は、選考委員特別賞を受賞しました。

ダイダン北陸支店の表彰
表彰状授与
木のトロフィー授与

ダイダン北陸支店に対しての​​​​審査員と設計者のコメントです。
【審査員コメント】
建築単体でなく、まち並みに配慮して一体で計画しているところを評価
【設計者コメント】
本格的に木を取り入れたプロジェクトでこのような素晴らしい賞を受賞できたことを励みにして、さらに地域やまちを活かす建築設計をしていきたい 

木のトロフィーに釘付け
おめでとうございます!

次に、上位4作品のプレゼンテーションです。
各作品ともに、プロジェクトへの熱い想いが伝わる素晴らしいプレゼンテーションでした。
木といえば、大工(だいく)さんが思い浮かびます。
設計(計画を図面などで具体化する)と大工さん(図面を基に実際に作る)が手を携えることで、幾通りもの空間が無限大に生まれてくるのだなと改めて感じました。

ダイダン北陸支店についてプレゼンテーション

4作品のプレゼンが終わり、最後に全員集合して記念撮影です。

最後に受賞者全員で記念撮影

表彰式は滞りなく終了しました。

後日、オフィスに戻り、木のトロフィーを愛写!
正式名称は「つみきトロフィー」
<人と木は寄り添ってくらしを作ってきました。
 積み重ねてきた人と木の関係がこれからも続いていきますように。>
という制作者のコメントを読み、心が温かくなりました。

木のトロフィ(正面)
木のトロフィ(違う角度)
木のトロフィの説明書

日本の文化である木造建築はいままさに再注目されています。
この度の表彰式は、大工などの技術者の後継者問題、CADで設計するだけでなく実際それを手で描き組み立てていける技術者の教育、伝統の発展的な継承など・・・様々な課題が浮き彫りになり、またその課題に一つ一つ向き合う方々の熱い想いを感じた時間でした。

木に関係するという点で、西岡常一棟梁の言葉を思い返しました。
<木の癖組は人組みなり。人組は人の癖組みなり>

最後に、「ダイダン北陸支店」をご紹介します。

ダイダン北陸支店

木の建築賞 選考委員特別賞 受賞

<伝統と革新の融合>地域に調和する次世代オフィス
百万石通りに面するダイダン北陸支店の老朽化に伴うレジリエンス対応としての建替プロジェクト。

外観(夜景)

行灯をイメージした調光式の照明計画により夜間の景観形成に寄与。室内の木格子が美しく映し出されています。

外観(昼間)

伝統的建造物群保存地区に近いため、建物高さや外装材の明度・彩度を抑えてまちなみに配慮。カーテンウォールには熱処理木製フィンを組み合せ、ガラスを通して内部で使われる木の繊細さと奥行きを感じるファサードを構築しています。

縁側(2階)

通風や日射などの自然エネルギーを調整する緩衝帯として、執務室の外周に吹抜けの縁側を設け、職員の交流促進の場としています。

フレッシュスペース(2階)
オフィス(3階)

構造体の一部にCLTや集成材を採用して建設におけるCO2貯蔵量を増加させ、エネルギーの効果的な運用によりZEB Readyを実現。CASBEE SWOも取得しており、自然と共に多様な働き方ができるオフィスを目指しています。

撮影:株式会社エスエス北陸支店