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【エッセイ】紅茶について語らせろ

にわかですが、紅茶が好きです。

平日一杯、休日5杯飲む程度。

別に農園なんて気にしたことは(一応)ない。

別にミネラルウォーターをシェイカーに淹れ、振って空気含ませて飲むんじゃなく勢いよく流しいれた水道水でええやんけと思うにわかです。

しかし、紅茶が切れるとマジで禁断症状を起こしかねないのです。

というわけで、一応語ってみようと思います。ワイン片手に(エッ)

・遍歴

紅茶、と言って未だに思い出す、中学生の時に突撃したカラオケのアイスティー。

お金がないから、食事は頼まず、命綱のフリードリンクを頼んで歌いまくったあの時代の象徴。

のっぺりして、「何か原液がありそう」な味がして、あれはあれで未だに好き。そう、私は節操なしなのだ。

最近のアイスティーは、流行なのか、アールグレイな味がする。

そういうわけで、私は決して「お茶好き」ではなかった。ただ、当時から活字狂いの読書好きではあった。

その中で、「私を紅茶好きにした作品」が何作かある。

・都会のトム&ソーヤ はやみねかおる

徹頭徹尾、主人公の内藤内人(ないと)と竜王創也(そうや)と一緒に活字を通して冒険を繰り広げる不朽の名作。近々映画化するとか。

なので、あらすじをものすごく省くが、どこまでも「普通」のはずなのに「全然普通じゃない」内人を冒険へいざなう、イケメンで変人で相棒で天才少年、創也。その二人が「とある目的」を達成するための物語。

彼らが出会った一話で、創也が冒険を終えた内人を労う時、一杯のダージリンティーが出てくる。

「飲んでみたまえ、おいしいから」
優雅なしぐさでカップを持つ創也。
「レモンやさとうは?」
ぼくの要求に、創也はあきらかに不愉快な顔をする。
「ひと口飲んで、この味が気に入らなかったら、レモンでもミルクでも、好きなだけぶち込みたまえ」
ぼくは首をすくめて、おそるおそるカップに口をつけた。
「……創也」
「なんだい?」
「さっき、きみはうそをつかないっていったろ」
「ああ、たまにしかね」
「信用するよ」
たしかに、創也はうそをいってない。だって、すごくおいしいダージリンティーだったからだ。

まだお互いをよく知らない二人を「友達」に押し上げた、おいしい紅茶。

たぶん、私のお茶狂い(母談)は、この作品がきっかけだったのだろう。

ちなみに、創也は天才なのでがらくたから何でも作ってしまう。

二人だけのの秘密基地、「砦」には茶葉用の棚があるのだが、そこは「茶葉の酸化防止」の棚だという。

……ねぇ創也、頼むからその棚、作ってくれないかな……?


・薬屋探偵妖綺譚・銀の檻を溶かして(第一巻)(高里椎奈)

初めて茶葉専門店・ルピシアを知ったのが、この作品だ。

主役である謎の美少年・秋。彼の同居人である落ち着いた青年、座木と人見知りだけど頑張り屋の少年、リベザルと一緒に、摩訶不思議な事件に挑む物語だが、ほっとする日常シーンで出てくる紅茶が、なんともおいしそう。

「兄貴、これなんですか?」
「当ててごらん」
深い考えもなしに訊いたお茶の種類だったが、座木にそう言われて改めて色や匂いに注意した。が、普段はそんなこと気にもしていないので、判別出来ようはずもない。
「わかりません」
「レピシエのミックスクラシック、セレモニー」
「……わかりません」
中略
「これくらいの銀色の、薄い円筒形の缶に入っている葉っぱだよ?」
「あ! あの、喉飴みたいな缶のヤツですね!?」
「ハッ、アハハハハ。お前の認識ってその程度のもんだよな」
笑い上戸の秋は腹筋を抑えて、ソファの上に倒れ込んだ。彼はちょっとしたことにも敏感で、かつ笑い出すと止まらない。笑われる方としてはありがたくない性質の持ち主である。

「喉飴の缶」をヒントにして、そこからルピシアを探りあてた時、何だか自分自身が憧れの探偵になれた気がしたけど、それは残念ながら気のせいだった。

・バジル氏の優雅な生活 坂田靖子

生まれる前から、家にあった漫画。いやホントに。

元は母の持ち物であり、それを物心つく前から(文字が読めない頃から)読んでいたらしい。そりゃ、いろいろと刷り込まれるよね。

さすがに紅茶よりもお酒の方が描写は多い(コニャックとか、昔は本気でコンニャクだと思ってたの。コンニャク畑みたいな甘いのを想像してたの)。しかし、そんな作中で一つ、印象的な話がある。

それは、とある新婚の夫婦で、夫の健康を気にする妻が作る朝食がいつも同じ。豪華な朝食に憧れていた夫は、それに不満を持ち……という、ラストは思わずにっこりしてしまう話。

そして、その朝食のメニューは、一つのリンゴ・半焼けのトースト・ぬるい紅茶なのである。

……実際に食べるとなると、確かに不満が出てしまうかもしれないが、その絵がとても可愛らしいのだ。

我が家にあるのは「花とゆめ」版だが、文庫版もあるので、ぜひ読んでみてほしい。

・魔法使いの嫁 ヤマザキコレ

現代に生きる人外の魔法使いと、孤独な少女のお話。

作中ではイギリス・コッツウォルズ地方らしき美しく自然あふれる風景が描かれ、ケルト音楽調で演奏されるアニメのBGMも素晴らしい。

私の勝手な持論で「おいしそうなものが出てくる作品は絶対に面白い」というのがあるのだが、この作品も、その持論を確信させたものの一つ。

初めて主人公・チセが人外の魔法使い・エリアスの家に来たとき、食事が用意されているのだが……。

そこで、主人公の戸惑いをよそに一読者である私が目を瞠ったのは、ドドンとマグカップに入った、たっぷりの紅茶だった。

ううん、すごい。こんなマグカップにたっぷり……。いやいや、それはやっぱり紅茶大国だからでしょう。

などと弱々しく自分をなだめたものの、しばらくの間、どの店に行っても大きなマグカップに目が行くようになり、結局買った。

一応、我が家にはちゃんとソーサー&カップもあるのだけれど、もっぱらマグカップで大量に淹れまくっている。

もっと色々な本があるはずなのだが、自分に「影響した」と断言できる作品は以上4つ。

では、結果として本に育まれてお茶狂いになった私が現在、愛飲しているお茶をご紹介しよう。


・ただいまのラインナップ

・ロンドンティールーム ダージリンティー

前回、大阪に行ったとき、それこそマグカップにたっぷり入ったダージリンティーが現れた。

それは、どこで飲む紅茶よりも薫り高く、濃く、熱く、美味しかった。

多分、『都会のトムソーヤ』で創也が淹れた紅茶に一番近いんじゃなかろうか。ちなみに、ロンドンティールームではそのマグカップの他、ポットも販売している。今まで使用した中で一番安定した味を出せるし、持ちやすいのでおすすめです。

・ロンドンティールーム ルフナティー

勝手な我流で、ダージリンにはミルクを入れない。ルフナティーの味わいは万能型で、ミルクでもストレートでも飲むことができる。ちなみにミルクティーは我が家ではコーヒー用の砂糖を使ってほんのり甘くしている。おいしいよ。

……実をいうと、後半に書くが、とある紅茶のチャレンジをしたいので、この葉っぱで少し試してみようと思っている。

・MUSICA TEA

今回初めて買ってみた紅茶。

ダージリンセカンドフラッシュと堂島ブレンド。

まだ休日ではないので、飲んだときに追記しようと思うが、絶対間違いないとは確信している。

・フォートナムアンドメイソン スモーキーアールグレイ

正直、これを飲む以前はルピシアの「アールグレイ グランドクラシック」を飲み続けていた。

が、スモーキーアールグレイにハマってしまったので現在は自粛中。

こちらとロンドンティールームのダージリンは、私の中で無いと本当に禁断症状を起こす。

ただ、コロナのせいなのかネット販売してくれていない……。

ご自宅の近くに直営店がある方、ぜひ飲んでみて。


・やってみたい淹れ方

ここまで来たらもう突き詰めるっきゃない。

今、影響を受けている作品、アニメ「銀河英雄伝説」に出てくる主人公、ヤン・ウェンリーもガッツリ紅茶好きだった。ただ、ブランデーを紅茶に突っ込む男だった。ううん? 合うの、それ。本気?

よし、やってみよう。

……と、思いつつ、敗北三回目を、この間喫した。

「これでもコニャックの中では手ごろだよ(BY弟)」

ぐわぁ、大将め。

ブランデーの比率、葉っぱの香りの強さ、アルコールが飛ぶか飛ばない程度の熱さ……何度か研究しているのに、負けている。さすが不敗の魔術師(チガウダロ)。

これは、成功したら絶対に比率をクックパッドに乗っけてやろうと思っている。(半分本気)

・実は……な話

ここらへんで私の「にわか」っぷりが発揮されるのだが、紅茶の聖地に数えられている、宇都宮。

宇都宮の皆様ごめんなさい。知りませんでした……。

紅茶を扱う喫茶店が多いと聞き、是非とも行きたいのだが、ここで皆様ご存知例の感染症が来やがった。

ぐぅぅぅ、解除されてワクチン打ったら行ってやるぅぅぅ。

それに、まだ「和紅茶」に手を出していない。

あとは以前来館したお客様から「中国の紅茶は美味しい」と聞いている。「え、インド方面が産地なのでは?」「ふふふふ、まだまだ甘いねぇ」「す、すみません師匠!」という会話があったとかなかったとか。

ちなみに、これもまだ、試していない。

あぁ、道のりは険しいなぁ~。

そうして、千羽はるの紅茶道は、まだ続く――――。



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