見出し画像

日歿堂霊怪目録

"【人と世の中に投資する】視界をよぎった太文字に、ふとページをめくる手を止める。最後のページに書かれたそのフレーズは、日歿堂の社是だという。言葉の意味を理解しかね、首をかしげた。遺品整理の会社が何故『投資』なのか。"2019発刊の本書は霊感体質の主人公が死者の想いを丁寧に叶えていく一冊。

個人的には、関わらせていただいている【読者による文学賞】の選考作品として手にとらせていただきました。

さて、そんな本書は生まれもっての霊感体質を理由に霊障専門の遺品整理会社『日歿堂』にスカウトされた主人公が章ごとに、死者や守り神、生霊といった出会った人?たちの願いを叶えていくのですが。

主人公も含め、謎の美女に執事といった登場人物のキャラ設定に関しては【漫画やアニメの定番パターンを踏襲している】気がしていて、確かにわかりやすくはありますが、残念ながら【『魅力的』とは言い難い】様に感じました。

一方で、それとは別に【高齢化や孤独死といった社会問題を背景に】ますます注目を浴びていくであろう『遺品整理』を題材に妖モノを絡めていく【内容自体は割と新鮮な印象】で。各章ごとに資料に基づき披露される遺品整理事情や言葉の説明も加えて、最後まで楽しませていただきました。

妖モノ好き、あるいは遺品整理士に関心ある方へ。また、テンポよく読める作品を探す人にもオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?