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タテ書きはことばの景色をつくる

"タテ書きとヨコ書きにはそれぞれ長所があるので、私は一方を排除しようとする立場ではない。しかし、タテ書きの優れたところが、最後のタテ書き大国である日本国民にあまりにも認識されていないと思うのである。"2013年発刊の本書は様々な視点からタテ書き、そして【タテヨコ併存するからこそ成り立つ】日本語魅力を再発見した一冊。

個人的には、ビブリオバトルで学生さんが紹介していて、そう言えば【タテ書きの魅力やヨコ書きとの違いを明確に意識したことはなかったな?】と興味を持って手にとりました。

さて、そんな本書は中国や韓国でタテ書きが消えた中【なぜ日本(と台湾)では、タテ書きが生き残っているのか?】をヨコ書きとの比較で、視界で捉えた時の違いや、日本語が言語として文脈共有言語であること、または『読み』『書き』での違いなどを直感的、実験や調査により客観的に分析していくのですが。

まず何より圧倒されるのは著者の【タテ書きに対して捧げる熱量か】わずか約160ページの本書ですが。芭蕉に宮沢賢治の作品を題材にしたり、アイカメラを使用して"これでもか!これでもか!"とタテ書き(著者自身の立場はタテ書きヨコ書き並存らしいが)の魅力を【あらゆる角度から伝えてきて】圧倒されるばかりでした。

また、技術の発達。巻物から製本へ、グーテンベルクによる活版印刷やタイプライターの発明、現在だとWEBやブログ(SNS)といったサービスやそれに対応したスマホやタブレットの普及により【ヨコ書き文化がグローバル化してきた、している】との指摘は新鮮で、あらためて【タテ書き文化を日本が保持している大切さ】について考える良い機会となりました。

本(やブログ)を日本語で書くなら、タテ書きでないと嫌だ!な方とか、タテ書きとヨコ書きで読む文書の違いに漠然と違和感を覚えている方へオススメ。

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