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ベトナムの風に吹かれて

"私は自分に宿題を課した『この老いた母を幸せにしよう』母とのベトナム暮らしは、今までの人生の中で一番真剣に、でも気を抜いて柔らかく自然に生きているような気がする"2007年初版の本書は映画化もされた等身大の海外介護エッセイ。ユーモアと感動に満ちた良書。

個人的にベトナムについて関心があるので本書を手にとりました。

さて、そんな本書は日本語教師としてベトナム・ハノイで暮らしていた著者が、新潟に住む母の認知症がひどくなり介護の必要性が増したことから『それしか方法がなかった』と一緒に同居を決めて出発する第一章『雪国発南国行き』から始まり、第六章まで。転倒による大怪我や失踪事件などのトラブルがあっても【ベトナムの異文化をめげずに楽しむ母】そして、そんな母の様子に認知症を【病ではなく、異文化としてとらえはじめる著者】の心境の変化。5年半の記録が収録されているのですが。

執筆当時の著者と同じく、母親の介護について考える年齢ということもあり『海外介護』またベトナムへの『移住生活』の実例として、著者視点を通じて追体験するかのように楽しませていただきました。

また、ベトナムという南国、(経済成長で今はわかりませんが)2000年代の人間関係の濃い様子には何だかホッと。介護は自分一人で抱え込むのではなく『他人を頼って、世話になってもいいんだな』と勇気づけられる感覚でした。

ベトナム好きな方はもちろん、介護について考えている方にもオススメ。

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