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猫だって夢を見る
"わたしが今かうしてかいている類の、随筆といふか戯文といふか、これはずいぶん書きました。わたしの重要な営業品目になっている"1989年発刊の本書は、セーラー服の由来から汁かけ飯文化論、忠臣蔵と気品とユーモア溢れる独特の文体で幅広く話題が展開、エッセイの楽しさを教えてくれる。
毎日のように読書"感想文"をWEBにアップし続けていると何となくでも"この人の文書は素晴らしいな"と一方的な尊敬の年を抱くことが多々あるわけですが。その1人が【書評をしているなら必読】とも言える『ロンドンで本を読む』と同じく本書の著者であることから。名前で安心して手にとりました。
さて、本書は『オール讀物』に1988年から連載していたエッセイを一冊にまとめたものなのですが。時代は感じさせるものの、ときおり家族の事に触れたりしながら【縦横無尽に展開されるウンチクの連鎖】には、英米文化や歴史への確かな造詣の深さを随所に感じられて流石だなと感心しました。
また『数年』の数とはいったいいくつだろうか?や謎の鉄仮面の囚人の正体は?など様々な考察を研究者らしくも楽しげに語っている様子には【自由な形式で、気軽に自分の意見などを述べた散文】エッセイの持つ魅力はもちろん、知的好奇心を持ち続けることの大切さを教えてくれているように感じました。
旅のお供にウンチクの連鎖を楽しみたい誰かに、またエッセイを書いている誰かにもお手本的にオススメ。
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