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舞面真面とお面の女

"影が近付くに連れて、電球の明かりが少しずつ当たっていく。そして人形のシルエットが徐々に拭われていった。現れたのは、お面を被った少女だった。"2010年初版、2019年新装版となる本書は財閥の遺産?を求めてテンポよく展開していく伝記ミステリ。

個人的にはデビュー作にして前作?【[映]アムリタ】が面白かったので、引き続いて手にとりました。

さて、そんな本書は大学院生の舞面真面(まいづらまとも)が、いとこの舞面水面(まいつらみなも)や調査員の三隅秋三(みすみしゅうぞう)と共に山奥に住む叔父から先祖の『遺言』解読を依頼されたことから、謎の『面』をつけた少女、"みさき"と出会ったりしつつ、物語は(前作と同じく)予想外の解決を迎えるわけですが。

まず、前作と同じく個性的な登場人物たちが今度は語り部の真面をツッコミ役に【掛け合い漫才のように会話していく】テキストスタイルは、やはりリズミカルで読みやすいな。と感じました。(特にお手伝いさんの"熊さん"こと熊佳苗が本作では味があっていい。再登場あるかな?)

一方で【[映]アムリタ】と同じく、ラストは『これにて解決!』と思わせつつ【もう一度ひっくりかえしてくる】のですが。真面や三隅と一緒に依頼を受けた3人のうち、本書での一応のヒロイン?『水面』が【あまり活躍しないままにフェイドアウト】してしまうのが少し残念でした。

[映]アムリタシリーズ二作目として、またエンタメ色の強いミステリを探す方にもオススメ。

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