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私には夢がある

"非暴力の余波は愛の共同体の創造である(中略)この戦いにおいてわれわれの手がきれいであるように努めよう。決して偽りと暴力と憎しみと悪意でもって戦うことなく、常に愛をもって戦おう"2003年邦訳の本書はキング牧師の十一篇の講演、説教が時系列に収録された人間愛と情熱に満ちた良書。

個人的には主宰している読書会の課題図書として手にとりました。

さて、そんな本書は誰もが知る公民権運動の指導者"I Have a Dream"のキング牧師の公生涯における十一篇の講演、説教を収録し2001年に海外発刊された一冊をキングの非暴力思想と実践に関心を持つ研究者、市民グループ『日本M・L・キング研究会』が邦訳したもので。1955年のモンゴメリー・バス・ボイコット運動の初期の頃から1968年のメンフィスにおいて39歳で凶弾に倒れるまでに至るまでの間における『行動への呼びかけの声』が、ダライ・ラマ含む同時代人の解題も含めて収録されているのですが。

まず、通常なら15時間を準備に要している説教を『僅か20分の準備で行うしかなかった』最初に収録されたモンゴメリー大衆集会における演説から素晴らしく。まるで当時の聴衆の1人として【キング牧師に直接語りかけられているような感覚】で読み進めながらテンションが急上昇しました。

一方で、キング牧師他の多くの方々の人類愛に溢れた実践により不完全ながらも訪れていた平和がロシアによるウクライナへの侵略戦争によって失われてしまった2022年現在、メディアから伝えられる暴力や憎しみに溢れた情報や映像を眺めては。どうしても人類に失望し深く深くため息をついてしまう。

歴史的人物の足跡を辿る一冊としてはもちろん『私には夢がある』イメージの力を信じる方にもオススメ。

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