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私の稀覯本〈豆本とその周辺〉

"自分の思ったままの本をつくりたい、読者にも印刷所や製本所にも、また金にも時間にも縛られずにというのが豆本の精神である(中略)私が豆本愛好家になった第一の理由はここにある"1976年発刊の本書は女性誌の編集者にして豆本愛好家でも知られた著者による【自叙伝にして研究書】でもある一冊。

個人的にはフリーペーパーという自由誌の専門店を何年も大阪で運営している延長で、近く【京都で豆本をテーマにしたイベントバーも始める】ことから、勉強のために本書を手にとりました。

さて、そんな本書は著者の自己紹介的な戦争中にオーストリア軍の捕虜になっていた時に【暴動寸前まで荒んでいた同じ捕虜を和ませるために】現地で発刊し、新聞にも大きく取り上げられた『かがみ』『かがみ新聞』の話から始まり、豆本とは何か?あるいは日本、西洋、共産圏の豆本話、そして最後は【著者自身の豆本発刊までのエピソード】が収められているのですが。

まず、豆本話の前に『かがみ』の話や、女性誌発刊の際に女性誌四種の神器【皇室記事、ゴシップ、セックス、実用記事を一切扱わず】に成功を収めた話などは知らなかったこともあり、一人の編集者、社会人としての【筋の通った人柄】に魅力を感じました。

またその上で、やわらかくも丁寧な文章で紹介される豆本話は、趣味性も強く、また残念ながら豆本図書館の閉館もあり私の感覚では資料に触れる機会が少なく困っていた事から本書は【初心者として学べるところが多く】本書をベースに引き続き豆本文化を学んでいこうと決意新たに思いました。

豆本という【伝統的かつ自由な出版文化】を知りたい方へ。またデジタル疲れな誰かにもオススメ。

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