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官邸の暴走

"菅氏が安倍政権から『継承』したものは何か。(中略)『官僚支配』『マスコミ支配』『地に堕ちた倫理観』『戦争のできる国づくり』の四つだ。"2021年発刊の本書は、元通商産業省(現経済産業省)官僚の著者が、自身の経験から安倍・菅政権の官僚心理を分析、提言している一冊。

個人的に政治には『一切期待しておらず』また『右でも左でもない』のですが。そんな意識の低い私でも、平然と法律を破るようになってきた現政権に生活者として【身の危険を感じ始めてきた】ので。勉強と自衛の為に手にとりました。

さて、そんな本書は元官僚にして、退職後はテレビ『報道ステーション』のコメンテーターや政党アドバイザーを務めたのち、現在は政治・経済評論家としてラボなどを主宰している著者が、これまでの官僚としての経験、前安倍政権を批判してきた立場から。現菅政権がどのような『負のレガシー』を引き継ぎ【官邸の暴走(不祥事、法律違反)が続く体質になっているのか】を、安倍・菅総理周辺の官僚で自身の元同僚たちの実名をあげて批判、現政権も発足当時はふわふわに見えたパンケーキも実は中身スカスカ、いまでは【干からびたパンケーキ】として『力不足で思考停止している』と指摘。結果としての斜陽日本の現状をあらためて紹介、著者なりの改革を提言しているのですが。

経歴を見るに当然に優秀な方だと思いますが、とは言え、著者の官僚時代に取り組まれた改革や、現在の政権批判活動については【よく知らないので留保するとして】それを差し引いても、あらためて前安倍政権下での、いわゆる『森友学園・加計学園問題』他、多数のスキャンダルもみ消しを、本書で披露される【官僚心理をイメージしながら】経緯や現状などを調べると、コロナ禍、オリンピックでの無法ぶり、ドタバタが理解できて(納得はしない)怒りを通り過ぎて呆れてしまいます。

また『政治に詳しくない』一生活者としては、今起きているのは右や左といった思想話ではなく、国民より自分たちの利益や既得権利をなりふり構わずに守ろうとする官僚周辺(上)と、その負担を将来世代にわたって押し付けられる国民(下)といった【単純な利益問題】で。さりとて【野党も含めて政治家は無能・無力】さらには(私も含めて)多くは香港やミャンマーで起きていることは他人事として、公園で黙ってちびちびお酒を呑んでるだけと【有効な声をあげることもなく】と、なかなかに絶望的だな。と思いました。(アメリカか外部から優秀な人材を送り込んでもらった方がマシかもしれない)

現政権の意思決定に不満や生活での不安を抱えている人にオススメ。右とか左とかにこだわっている方には特にオススメしません。

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