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少女パレアナ

"『どんなことの中からでも喜ぶことをさがしだすという遊びなんです。それはね、いまも言ったでしょう、あたしと松葉杖から始まりましたの』"1913年発刊の本書は、強い意志と努力で行う『何でも喜ぶ』ゲームが街を変えていく、日本でもかって『愛少女ポリアンナ物語』としてアニメ化もされた【全編に希望と温かい心に溢れた】児童文学古典。

個人的には、こんな時だから。大人も子どもも、嘆いたり、非難するのではなく『何でも喜ぶ』ゲーム的振る舞いが求められるのでは?と思って手にとりました。

さて、そんな本書は孤児となった少女、パレアナが母親の妹にして気難しく、また孤独に暮らしているパレー叔母さんに引き取られるところから始まって、お手伝いさんのナンシー、心を病んだスノー夫人、無愛想なペンデルトンといった大人たちを、そして【遂には街全体を】大好きなお父さんから教わった『何でも喜ぶ』ゲームで癒していくのですが。正直、登場シーンの【まくし立てるような台詞回し】には"うわ。ちょっと苦手かも?"と思ったのですが。それが【彼女なりの意志と努力であったこと】が徐々に、また行間からも感じられて、ちょっとうるっと来てしまいました。

とは言え、後半の【突然車にはねられる展開】には唐突すぎて、ちょっとびっくりしました。それでも、物語とはいえ、それをキッカケに今までのパレアナのしてきた振る舞いが【全て回収され、大団円にいたる流れ】は、パレー叔母さんの変化も含めて、とても気持ち良い読後感でした。続編に『パレアナの青春』があるらしいのですが、どうしようかな?本書でとても上手にまとまっているので悩みます。

自分が正しい!と非難合戦を繰り広げる【二項対立的な空気感】に疲れを感じている誰か、また子供だけでなく【拗らせてしまった関係を放置してしまっている】大人にもオススメ。

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