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ミャンマー危機 選択を迫られる日本

"なぜミャンマー国軍は、こんなに残虐な市民の虐殺を行なっているのか。なぜそれでもなおミャンマー人は抵抗を続けるのか(中略)ミャンマークーデターのすべてと背景をこれからお伝えしよう。"2021年発刊の本書は現地ニュースメディア経営者による分かりやすくも、緊張感溢れる一冊。

個人的にはワールドカップ(W杯)アジア2次予選でミャンマー代表選手が抵抗を示す3本指を掲げたり大学の後輩学生が街頭募金を行っているのをニュースで見て、気になりつつもどこか遠い話の様に捉えてしまっていたので【ちゃんと理解しよう】と本書を手にとりました。

さて、そんな本書はミャンマーの最大都市ヤンゴン(人口500万人超)で『MYANMAR JAPAN』というミャンマー現地ニュースを主に日本語で配信する会社を2013年から経営するジャーナリストの著者が、2021年2月1日の軍事クーデターにより会社も影響を受ける中、大手メディアニュースだけでは分かりづらい『クーデターのすべてと背景』を時系列に沿って『6年前から計画されていたクーデター』『無抵抗デモを続ける市民を無差別発砲で虐殺』『Z世代を中心に団結する無抵抗デモ』と建国の歴史から10年の民主化を経て、再び【時計の針を巻き戻すかの様な混乱に陥っている】ミャンマーの悲惨な現状ををわからやすく紹介しつつ、後半では日本政府や企業の対応、在日ミャンマー人たちの支援活動も紹介しながら【対岸の火事ではなく、間近に迫った脅威として】日本国民も自覚すべき。と警鐘を鳴らしているわけですが。

まず(あとがきによると)約1か月という短期間で執筆、慌ただしく緊急発刊されたらしい本書。それでも、お恥ずかしながら【アウン・サン・スー・チー氏がノーベル平和賞を受賞した】立派な女性として【『名前だけは知りつつ』しかし背景となるミャンマー事情には全く疎い】そんな不勉強な私でも、とてもわかりやすく軍事クーデターが発生した背景、そして自国の国民を【他国から守るのではなく、虐殺する】軍部の暴走のデタラメさの理由が、この一冊でよくわかる内容になっていて、とても勉強になりました。

また、著者も指摘していますが、個人的にもミャンマーの軍事テロの背景にある中国の台頭は【平和が当たり前と思っている】日本人にとっても既に【他人事ではない脅威】になっているのを日常でもひしひしと実感しているので、徹底的に弾圧された2014年香港反政府デモ(雨傘革命)しかり、地理的にはアジアに位置するも、今はアメリカ(西洋諸国)の実質的な植民地として【利用価値をアピールし続ける】選択をとる政府下の島国に住む一人としても【緊張感ある現実】として捉えて置かなければ。と、やはり思いました。

ミャンマーの軍事クーデターを体系的にわかりやすく理解したい人、また『アジア人』としてちゃんと生きなければ。と思っている人にもオススメ。

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