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浜村渚の計算ノート

"『君たちの隣人が殺人者になる可能性は[同様に確からしい]というわけである。もし、やめて欲しければ、教育の改善を。子どもたちに、再び、楽しい数学を』"2009年発刊の本書はテロ組織vs数学大得意少女を描いた著者デビュー作にして、人気シリーズ一作目。

個人的には主宰する読書会にてオススメされて手にとってみました。

さて、そんな本書は小中学校における教育改革により理系科目が『事実だけを重んじる科目は、心を尊重し他人をいつくしむ人間性を否定しうる』とバッサリと削除された架空日本を舞台に、数学者『ドクター・ピタゴラス』高木源一郎率いるテロ組織『黒い三角定規』と、警視庁が探し出した女子中学生"数学少女"浜村渚(と警察たち)の戦いを描いているわけですが。

まず、可愛らしい浜村渚の表紙イラストが印象に残りますが。彼女を大人たちの中で活躍させる設定として『ドクターピタゴラス』の数学教育ソフトにして【実は催眠プログラム】が『高校の公式教材』として採用されていたために【中学生から選ばれた】というのに工夫が感じられて面白かった。(しかし、それはそうと。結果として『殺人事件』に付き合わされる浜村渚。ぐれたりしないのだろうか?)

また、著者いわく"本当の意味で初学者向け(中略)読んでいるうちに数学の知識が身につく"を意図して書かれた本書。四色問題や三次方程式のカルダノ、フィボナッチ数列、円周率『ルドルフの数』と、数学好きならお馴染みだと思うのですが、数学苦手な私には【初めてのうんちく話】ばかりで、語り部の"僕"こと警察官の武藤龍之介の気分で頷くばかりと勉強になりました。

数学好きな方はもちろん、漫画化もされている読みやすいミステリーとしてもオススメ。

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