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「事務ミス」をナメるな!

"原因を、作業者個人の能力不足に求めることは、あまり適切ではないのです(中略)職場の体制を改革することでミスの鎮圧を目指すことが、企業のミス対策のあるべき姿と言えます"2011年発刊の本書は事務ミスとは何か。どうすれば防げるかの方法論を提案している良書。

個人的には同じ著者の『マニュアルをナメるな! 』が面白かったので、本書も手にとってみました。

さて、そんな本書は『人間のミスと安全に関する』研究者である著者が、今度は【工業系の会社に比べて文系会社はミスへの免疫が弱い傾向にある】と『事務ミス』や『間違い』自体を第一部【理論編】としてアリストテレスや各種理論、ディックのSF小説『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』などを引用して分析。その上で第二部では【実践編】として、分業体制が仕事の主流となった現在、個人の『作業確認実行力』ではなく、組織としての『異常検知力』を高めるのが重要として、因果律に沿った手順、書式レイアウトの見直し、イラストを用いる心理的効果といった具体策を提案しているわけですが。

『マニュアルをナメるな! 』同様、ミスを発生させた個人の『当事者責任を追求』反省文を書かせたり、むやみやたらと検証作業を増やすことに違和感、率直にいって【現実逃避的なムダしか感じない】私にとって、本書で指摘していることの多くに共感しきりでした。

また、行政や大企業の方が設備更新の負担や煩雑さ、外注への丸投げから、PCなどのシステムやマニュアルなどが往々にして【信じられないくらいに古臭いまま】なのを『知っている』私としては、第二部の実践編で『悪い例』でとりあげられる事例にあははと乾いた笑いしかなかった。

事務ミスに関わるビジネスパーソンはもちろん、すぐ『個人責任や精神論ににしてお茶を濁して逃げる』日本の多くの経営組織にモヤモヤしている方にもオススメ。

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