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真の独立への道

"世界にまだこれほど多くの人間がいることは、世界の基礎は武器でなく、真理、慈悲、つまり魂の力であることを伝えています(中略)戦争の力よりもほかの力が世界の基礎なのです。"1909発刊の本書は船上で書かれた著者の主著。対話形式による著者自らの『思想と運動』の基本理念。

個人的には、戦争話が日常となってしまった2022年現在。著者の事を思い出して手にとりました。

さて、そんな本書は家族の期待を受けて弁護士となるも、訴訟事件を引き受けて滞在中だった南アフリカで人種差別を受けたことがきっかけで公民権運動に関わり、帰国後は『非暴力・不服従』を提唱、イギリスからのインド独立運動を指揮したことで知られる著者が、40歳の時に書いたもので。『国民会議とその指導者たち』から始まり『解放』まで、二十章で【読みやすいように】『編集者』(ガンディー)が『読者』(急進的な若者)と対話する形式として構成された【著者自身の自問自答】なのですが。

まず『インド独立の父』として名前はもちろん、ライフ誌に掲載された『糸車を廻す』老年期イメージはすぐ浮かぶものの、著者自身の言葉に触れたことがなかったので、翻訳を経ているとはいえ【本書自体が新鮮】なのですが。かつ、内容に関してもSDGsなどでエコロジー指向が共通認識でなっている現在を先取りしたかのような【徹底した近代(西洋)文明批判】に驚かされました。(=明治以降の日本は『西洋の爪に捕らえられてしまった』と残念扱いに。。)

そして、さらに著者は、インドの独立に関しては、イギリスやイギリス人といった『国家』や『人』が敵なのではなく近代(西洋)文明こそが敵であるとし、そこからの脱却と真の文明として【インド人魂の自覚による自治】を再三促しているのですが。明治維新を美化し、すっかり西洋"常識"に適応し染まってしまった島国の1人としては、どうしても『もし?そうなってなかったら』を考えてしまいます。

マーティン・ルーサー・キング・ジュニアやダライ・ラマ14世といった指導者にも影響を与えた『非暴力、不服従』思想理解の一冊として、また『世界の眺め方』を考える一冊としてもオススメです。

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