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『舞姫』の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本

"本書は、この大衆から愛されていたにも関わらず現代ではほとんどないことになっている『明治娯楽物語』の全容をひもときながら、現代の創作物に与えた影響、そして明治人が一度は捨てた虚構を楽しむ技術を取り戻すまでの流れを知ることを目的に書かれている"2019年発刊の本書は明治エンタメ読書を追体験できる貴重な一冊。

個人的には、以前から【長すぎる。かつ、インパクト大なタイトル】が気になって仕方がなかったこともあり、今回ようやく手にとりました。

さて、そんな本書は明治期の文学と言われて思い浮かべる夏目漱石や森鴎外といった純文学作品よりも、はるかに庶民に読まれていたにも関わらず【現在では忘れ去られた】娯楽物語にスポットを当て、講談速記本、最初期娯楽小説、犯罪実録と分類して物語を【ざっくりかつ魅力的に】紹介してくれているわけですが。

主宰する読書会で丁度、明治の純文学及び文学史を調べているタイミングだったので。本書はまさに【批評や評論すらされていない】作品を詳しく知る機会となり、補完的にとても勉強になりました。

また、タイトルにもなっている"バンカラがゲンコツで虎退治"【世界鉄拳旅行】他、"身長と肩幅が同じ【豆腐人間サーガ】"魔法少女の原点"【戸澤雪姫】などなど、こちらも現在では知名度はそれほど高くはないと思われる【当時の個性的な人気キャラ】を思い入れたっぷりに解説してくれていて。童心にかえって、へー!と楽しませていただきました。

現在にもつながるエンタメ、サブカルチャー史に興味がある誰か。また『日本文学史では取り上げられない』明治・大正の大衆小説を知りたい方へ、オススメします。

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