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シャドー81

"戦闘爆撃機の位置を旅客機の尾翼後方半マイルにすえる。十三時二十二分、二機の航空機のうしろに本土の姿が急速に消えていくころ、グラントはマイクのボタンを押した。『PGA81便、貴旅客機はただいま乗っ取られたことを通告する』"1977年発刊の本書は国内ミステリー1位にも輝いた冒険活劇の傑作。

個人的にはメタルギアシリーズで知られる著名ゲームデザイナー、小島秀夫が本書を紹介していた事から興味をもって手にとりました。

さて、そんな本書は美しい青空が印象的な表紙通りに、ロサンゼルスからハワイへ向かう旅客機が盗まれた最新鋭戦闘爆撃機により空中でハイジャックされる中、地上を巻き込みながら【最初から最後までテンポよく進んでいく】わけですが。些かうまく運びすぎではないか?と思わないこともないですが。やっぱり、あえて【誰も殺さずにきっちりとまとめている】事から、読後感はとても良かったです。

また、本書が舞台のベトナム戦争や冷戦といった時代が過去のものになった現在【あの時代がもっていた特異な緊張感や非日常の空気感】が政治的なメッセージはそれほど強くなく伝わってくるのも良かったです。小島秀夫作品にもつながる普遍的な魅力を持った良質エンタメ作だと思いました。

テンポの良い、また男性的な冒険活劇を探す人へ。また何かしらの創作活動をしている人のお手本としてもオススメ。

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