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ドン・キホーテ前編1

"ドン・キホーテ・デ・ラ・マンチャ』と、サンチャ・パンサが答えた。『冒険を求めて歩きまわる遍歴の騎士様でね、大昔から今日までにこの世に現れた、いちばん強くて、いちばん立派な騎士方のおひとりだよ。』"1605年発表の本書は『史上最高の文学百選』で1位にも選ばれた自称騎士の物語。

個人的には名前こそ知ってはいたものの未読だったので、えいや!と思い切って読み始めました。

さて、そんなシリーズ一作目。前編の始まりである本書では、長い序文と詩のあとに騎士道物語にどっぷりつかり"睡眠不足と読書三昧がたたって正気を失ってしまった"郷士あらため、ドン・キホーテの(勘違いしまままの)騎士としての旅立ち、(だまくらかしての)旅の道連れ、サンチョ・パンサとの出会い、そして旅先での(勘違いしっぱなしの)勝利と敗北の日々が短い物語の連続で描かれているのですが。

郷士が読書三昧で正気を失った。との始まりには本好きとしてはぶるぶる震えつつも、豊富な注釈解説でも補足される、従来の騎士物語を意識的、徹底的にパロディ化【諷刺や批判精神に富んだ自由な内容】にまず時代の古さを全く感じなくて驚かされました。

また、ドストエフスキーが【人類の天才によって作られたあらゆる書物の中で、最も偉大で最ももの悲しいこの書物】とも評したらしいですが。そこまで大袈裟に捉えなくても、本書は若者達に人気の『異世界転生ライトノベル』の延長線上でも読める【気軽さ、滑稽さがあって】どんなに(自分のせいで)不幸な目にあっても挫けないドン・キホーテ、それを冷静にツッコむサンチョのコンビは非常に魅力的。続きが気になって仕方がない読後感でした。

楽しく読める世界文学古典を探す人、あるいは騎士道物語が好きな人にもオススメ。

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