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"今、目の前でカレーを食べている男性はあの日の出演者で、チケットをくれたのもたぶんこの人だった。あれから彼らは何かになれただろうか。しばらく懐かしそうにCDを眺めていた男性が、小さくゲップしてからスプーンでカレーをすくう"2024年発刊の本書は、本屋が仕掛ける"ココでしか買えない読書体験"華麗に文学をすくう?シリーズ第一弾。

個人的に本屋として企画に共感した事から、この【書き下ろしの小編+オリジナルカレー】を店舗の物販にしている事から手にとりました。

さて、そんな本書はロックバンド・クリープハイプのボーカル、ギターにして、小説家としても芥川賞候補に2度選出(2024年現在)されている著者による小編で、バンド活動帰りによく立ち寄っていたカレー屋に10年ぶりに訪れた"私"が、コロナ禍でもう潰れてしまったライブハウスでの一夜、全八組の出演者が集まった最初で最後の夜を振り返っていくのですが。

著者の作品は『母影』についで、2冊目となりますが、とても映像的に巧みな印象で。本書に関してもすぐに作中世界。かって行われたライブの参加者気分で誘われました。

また、私自身が若手表現者を応援する活動を微力ながら長年続けていることもあり、盛り上がったイベント後のほろ苦さ。みたいな部分にも強い既視感があって共感しました。(さて、カレーをすくおう)

著者ファンの方はもちろん、カレー好き、本屋好きな全ての方にオススメ。

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