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土佐堀川 広岡浅子の生涯

"『これは加島屋に伝わっているピストルや(中略)この袱紗の家紋は丸に梅、その昔、仁徳天皇より浪花の梅を守れと仰せつかり、それに因んで定めた紋や。この由緒ある家柄、潰すわけにはいかん』"1988年発刊の本書は不世出の女性実業家を世に広く紹介した一冊。

個人的にはドラマ『あさが来た』そして『小異を捨てて大同につく』大同生命の社内展示で興味を持って手にとりました。

そんな本書は豪商三井家から大坂の両替商、加島屋に17歳で嫁ぐも『蔵の中は空き蔵も同然や』と危機感を募らせた浅子が、商いへの強い思い入れから次第に商才を発揮、明治維新の激動の時代はもちろん、肺結核や乳癌と【何度も危機におちいりながらも】逞しく女性実業家として『加島屋ばんざいっ』と最後まで闘い抜いた姿を綿密な史実精査によって、歴史小説として描いているのですが。

まず、炭鉱に銀行、綿花輸入商会に生命保険会社、女学校と普通だと一つでも大変な事業をいくつも形にしていったバイタリティさ、どんな出来事も前向きに捉えていく姿を【小説という形式で追体験できた事で】あらためて凄さを実感することができた気がします。

また、今でこそ多少はましになってきていると思いますが。まだまだ女性には【自立すら許されなかったであろう】封建的な価値観が残っていた時代背景を考えると、彼女の苦労はどれほどであっただろうか。また、そんな彼女の姿に【どれだけの女性たちが勇気づけられたのだろうか】そんな事を本書のタイトルと同じく土佐堀川を眺めながら、しばし想いを馳せたりしました。

女性実業家のパイオニアに元気をもらいたい誰かへ。また最後までちゃんと生き抜く。そんな姿に学びたい人にもオススメ。

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