見出し画像

ふしぎの国のアリス

"アリスは、あーあ、つまんないなと思い始めていたんだ(中略)『絵ぬき、会話ぬきの本なんて、どこがおもしろいんだよ』アリスは声に出さずにつぶやいた"1865年発刊の本書は、1人の女の子の為に即興的に書かれた後、児童文学を教訓から解放して大きな影響を後世に与え続けている世界的名作。

個人的には名前や登場人物たちこそ他の本や映画、漫画などでの多数の引用で知ってはいたものの、原作は実は読んだことがなかったことから手にとりました。

さて、そんな本書は真夏の昼下がり、チョッキを着た喋る白いウサギを見つけたアリスが『おもしろそーっと』ウサギを追いかけて穴に飛び込んだところから始まり、飲んだり食べたりして【小さくなったり、大きくなったりしながら】全12章にわたって【ナンセンスな言葉遊びやパロディを散りばめながら】シロウサギや青虫、チェシャ猫やニセウミガミ、公爵夫人やトランプ女王といったと個性的な登場人物たちと会話を繰り広げていくのですが。

もともとの原作である『地下の国のアリス』自体が一般に読まれる商業出版向けに書かれたものでなく、著者のお気に入りの少女アリス・リデルにせがまれて『即興でつくられた』ものであり、作品として練られているというよりは【荒唐無稽かつ回収されないエピソード】が続くことから(で、突然夢オチで終わる)率直に言って読後には当惑してしまった。

しかし、多少現在の感覚では危うい部分もある著者が当時わずか10歳の目の前の1人の女の子をとにかく【純粋に喜ばそうとしてつくりだした】キャラクター、物語たちとして捉えれば、その『純度の高さ、イメージの豊かさ』には時間を超えて感動する部分もあり、そういった部分が有名なジョン・テニエルによる挿絵と共に【多くの創り手たちに影響を与え続けている】のだろうかと思ったりしました。

ファンタジーの原典として、また様々な引用作品の元ネタとして広くオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?