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京都思想逍遥

"歩くことが、破砕なのだ。だから京都を逍遥するとは、歴史の諸行無常という悲哀を追体験しながら、権力者がつくりあげる秩序正しい『歴史』に抗うことなのです。"2019年発刊の本書は韓国研究者ならではの縦横無尽の視点で物語る京都の思想的案内書。

個人的には、京都のまち歩きの企画相談をしていた時に本書をすすめられて手にとりました。

さて、そんな本書は韓国哲学、韓国文化社会論、東アジア比較思想などを専門にしている著者が京都の東側の北から南"大きくいえば比叡山延暦寺と伏見稲荷という仏教と神道の二大聖地を結ぶライン"を思想的創造力が炸裂する地点が縁となっている【創造性限界ライン】と名づけて、藤原定家や西田幾太郎、紫式部に三島由紀夫、親鸞に西行と【出町柳から深草まで】順番に歩きながら大胆に自論を展開しつつ、ときおり『知らぬ。』とうそぶくのですが。

さすがに『京都市内の土地勘』が頭に入っている在住の私にとっては、読み進めながら【追体験するかの様に楽しめました】が、一応の地図もあるとはいえ、全く土地勘がない人には【レイヤーが深すきて】本書以外に自分で検索したり、サブテキストを用意しないと大変じゃないだろうか。なんてお節介気分にもなりました。(それはそれで『読書の楽しみ』ですが)

また、著者が韓国の大学院に学び、今は京都大学で教えている経緯から当然と言えば当然?なのかもしれませんが【朝鮮半島】と日本の歴史の深い関わり、そして【京都大学】に関しては強くこだわりをもって語っていて。それが本書の【思想的跳躍としての魅力になっている】一方で、こちらも【人によっては賛否がわかれるのでは?】と思いました。(これもこれで『刺激的な楽しみ』ですが)

京都に縁がある方、好きな方へ。また京都まちあるきの文化的ガイド本としてもオススメ。

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