見出し画像

老人と宇宙

"七十五歳の誕生日。わたしは妻の墓参りをして、それから軍隊にはいった。キャシーの墓参りは、このふたつのうちでは地味なできごとだった。"2005年発刊にしてヒューゴー賞候補、ジョン・W・キャンベル賞受賞の本書はWEBでのブログ連載から人気を得て書籍化、21世紀の『宇宙の戦士』とも評される正統派戦争SF。

某極東の島国政府は過去の政治的失策から、どうやら75歳まで国民を現役でバリバリ働かせる事を望んでいるようですが。どうせならやれやれではなく【75歳以上になっても血湧き肉躍る時間】を過ごしたい。てなわけで【75歳以上でないと入隊できない宇宙防衛軍】を描く本書を手にとりました。

さて、そんな本書は、宇宙にまで植民地を広げ、多種族と存亡を賭けた戦いをしている時代。老人たちは【兵士になるのを条件に若い身体を得る事ができる】わけなのですが。その方法とは?を集まった老人たちで『オイボレ会』と名付けて、わいわい(たまに途中でお陀仏する人もいる)話し合っている第1部も老人会的で癒されるのですが。第2部以降になると、あれ?とびっくりデジャブ的に『宇宙の戦士』(+アバター?)バージョンアップ的な【鬼軍曹シゴキを得て一人前の戦士として成長していく】王道的な熱い展開になるのには驚きを通り越して(良い意味で)唖然としてしまった。

一方で、宇宙各地の植民地惑星に開拓民として送り込まれるのは、人口増加に悩む国々の人々として描かれているのですが。某ガ◯ダムではありませんが、やっぱり異星人に美味しそうに食べられたりと危険が隣り合わせの未来の宇宙進出第一陣って【棄民政策的になるのかなあ】いや、なるか。と想像してみたり。

宇宙の戦士、エンダーのゲームといったSF小説、スター・トレックやスター・ウォーズといったSF映画好きな人へ。またエンタメ的に読みやすく楽しめる作品を探す人にもオススメ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?