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桃を巡る物語

むかしむかし、

あるところに、

おじいさんとおばあさんが住んでいました。

おじいさんは山へ芝刈に、

おばあさんは川へ洗濯に行きました。 

おばあさんが川で洗濯をしていると、

ドンブラコ、ドンブラコと、

大きな桃が流れてきました。

「おや、これは良いお土産になるわ。」

おばあさんは、桃を籠に入れました。

洗濯は途中でしたが、

一旦大きな桃を持ち帰ることにしました。

帰る途中で

おじいさんと会いました。

大きな桃を見てビックリ。

そんな桃を家族のために持って帰ってくれた

おばあさんへの感謝の気持ちと嬉しい気持ちで

よりおばあちゃんを愛らしく思いました。

ふとおじいさんは森の中を見ました。

「山に行って探してくる。」

とおじいさんは言いました。

「いいえ。」 

おばあさんは言いました

 「おじいさんが死んでしまったら、

 それ以上に悲しいことなんてないよ。」

おばあさんは、桃を籠に入れました。

「山は険しいし、何があるか分からないよ。

 死ぬのは悲しいし、

 それよりもこの桃を美味しく頂きましょう。

 桃を洗ってくるよ。」

自分のためを考えてくれるおばあさん。

おじいさんは

感謝の気持ちでいっぱいになりました。

(いつかばあさんに恩返しをしなければ

 そうだ。明日は山に行って調達してこよう。)

とおじいさんは思ったのです。

その日食べた桃の美味しさといったらもう

今まで食べたどんな食べ物よりも

甘く、みずみずしく、幸せな気持ちになったよう

おじいさんは

こんな桃を持って帰ってくれたおばあさんに

より一層何かしなくては

という思いでいっぱいになりました。

おばあさんが寝静まった夜

おじいさんは

月夜に照らされながら、家を出て

山へ向かっていくのでした。

明け方

目を覚まし、隣を見た

おばあさんはビックリ

そこにいたはずのおじいさんがいないのです。

おばあさんは山や川

辺り一帯を探し回りましたが

おじいさんの足跡さえも見つかりませんでした。

そういえば昨日のおじいさんは

どこかソワソワしていた。

もしかしたら

私のことを嫌いになったのかもしれない。

桃を拾ってきたから様子がおかしかった

もしや桃が嫌いだったのかもしれない

あんなに大きな桃を安易に拾ってきてしまって

桃を食べたことで

おじいさんがおかしくなってしまった

桃のせい

いや、私のせいだ

おばあさんは

自分を責め、その場で崩れ落ちました。

泣いても泣いても、

おじいさんは

戻ってくることはありませんでした。


一方、

おじいさんは、

川のそばの森に入り、

うっそうとした森の中

道もない中で途中迷ったりもしながら

どうにかこうにか

桃の木を見つけていました。

小高い山登って、近づいてみると

桃の木には桃の花が咲いていました。

彼は登って見てみました。

桃の木は

「取らないでください」と語りかけました。

"Please don't take the peach. 

 お願いだから取らないで。"

おじいさんは桃を見ました。

そういや

おばあさんに取りに行くことを嫌がられたっけ。

一生懸命探しに探した桃

おばあさんの笑顔が見たくって

毎日の感謝の気持ちを添えたくって

探しに探したわけだけども…

おじいさんは何も言わず、空の籠を拾いました。

ふと

振り返り

おじいさんは桃の木を見つめました。

おばあさんに話してやろう。

そう心に決め

帰路につきました。


帰りは行きより気持ちが違ったからか

非常に早く家に着きました。

「ただいま ばあさん。」

おばあさんは

夢でも見るかのように

ぱちくり目を瞬かせ

濡れた目を擦りながら喜びました。

村中探してもいなかったおじいさんが

そこにいたのです。

"おじいちゃん、お帰りなさい。" おじいちゃんは微笑んだ。"今日はいい天気だね" "そうだね、おじいちゃん" 彼女はそう言って、とても元気に、とても愛情を込めて言ったのです。おじいさんは彼女を見て、さらに笑みを浮かべて、「お前は俺の人生の桃だ。」。そう言いながら、おじいさんはおばあさんの手を取って、微笑んだ。おじいさんは、「こんな日が来るとは思わなかった」と言いました。"I never thought I'd see the day." "I knew it," とおばあちゃんは言いました。"おじいちゃん、本当に帰ってくれたんだね" おじいさんは微笑んで、"もう二度と離れないよ" と答えた。

サポートがなんなのかすら理解できていませんが、少しでも誰かのためになる記事を綴り続けられるよう、今後ともコツコツと頑張ります!