若い女性に多い病気 全身性エリテマトーデス(SLE)とはどんな病気か
全身性エリテマトーデス(SLE)とは
ヒトの体に備わっている免疫システムは通常、危険な感染症や細菌を撃退し、体の健康を保っています。
自己免疫疾患は、この免疫システムが自分の体を異物と間違えてとらえてしまい攻撃をしてしまうことで起こる病気です。
全身性エリテマトーデスはこの自己免疫疾患の一つです。
英語でsystemic lupus erythematosusといい、その頭文字をとってSLEと略して呼ばれます。
lupus(ループス)という言葉はラテン語で狼の意味で、狼に噛まれた痕のような赤い紅斑であることから、この文字が使われています。
このループスという言葉は類似した症状を持つほかの多くの免疫性の疾患にも使われますが、SLEはそのなかで最も一般的なタイプです。
SLEの患者は日本全国に約6~10万人程の患者さんがいると考えられています。
発症の男女比は女性9に対して男性が1で、特に若い女性での発症が多いことが知られています。
また、発症していても、診断されないまま見逃されたままになっているケースも多いとみられています。
症状
SLEの患者さんには、疲労・発疹・発熱・関節の痛みや腫れなどさまざまな症状がみられます。
その他、日光過敏症、口腔内潰瘍、関節炎、肺障害、心臓障害、腎臓障害、発作、精神病、血球・免疫異常などの症状が出ることがあります。
SLEは慢性疾患であり、症状が軽い時期と悪化する時期が交互にやってきます。
ほとんどのSLEの患者さんは、治療により通常の生活を送ることができます。
SLEの原因
今までのところ全身性エリテマトーデス(SLE)正確な原因はわかっていませんが、いくつかの要因が関連していると言われています。
遺伝
この病気に対して原因となる特定の遺伝子があるわけではないのですが、SLE患者の家族には、ほかの自己免疫疾患を恩つ人が多いことが分かっています。
環境
SLEを引き起こす環境因子として以下のようなものが考えられています。
紫外線
特定の薬
ウイルス
肉体的・精神的ストレス
トラウマ
性別とホルモン
SLEは男性より女性に多く発症します。また、女性は妊娠中や月経時に症状が重くなることがあります。
これらのことから、女性ホルモンのエストロゲンがSLEの発症に関与していると考えられています。
治療法
残念ながら現在、SLEの治療法は存在しません。治療の目的は症状を和らげることです。
治療は症状の程度や、SLEが体のどの部分に影響を及ぼすかによって異なります。
治療には以下のようなものがあります。
関節の痛みやこわばりに効く抗炎症薬
発疹用ステロイドクリーム
免疫反応を抑えるコルチコステロイド薬
皮膚や関節のトラブルに対応する抗マラリア薬
重症例には、疾患修飾薬や標的免疫系薬剤を使用します。
SLEの症状は人それぞれです。治療は症状がでてからすぐに開始することが重要です。また、医師があなたに合った効果的な治療を行うこともとても重要です。
気になる症状が出た場合は、すみやかに医師に相談してください。
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