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裏浅草通信2023/03/07 美味しい中華の『浅草華園』

 横浜中華街もだいぶ様変わりしたが、それほど変わらず残っている一角が、いくつかある。其のひとつが「ローズホテル」の脇の道で、ここに美味しい店が三軒並んでいる。一番、右隣がずっと以前からある「慶華飯店」。地元に愛されている。コンクリートの打ち放しの瀟洒なビル。ちょっと中華街っぽくない。美味しいよって云われて始めて行った時…しまった何が美味しいか聞いておけば良かった…メニューをじっと眺めて10分…今は集中力がだいぶ衰えてしまったので余りやらないが、始めての店でメニューを見るのが好きだった。
 選んだのが「巻揚」(網脂で海老や筍などの具を巻いて揚げたもの。網脂の脂が衣に溶けて抜群に美味しい)と「海老雲呑」と「叉焼飯」(切ってある叉焼をまぜまぜして食べる)の三点。ちょっとぶあいそな女将が「あなたいつも来てたっけ?」と首をかしげながらオーダーを聞いた。出してもらったときに「何で?始めてだけど」「うちの人気の三点を恃んだから、常連さんかと思って…でも見たことないからさ」「うん、はじめて」(あたりー。やったー)もちろん美味しい。もう半世紀同んなじオーダー。
 「慶華飯店」の左隣が「山東」。ミッキーロークが日本に来るとは寄っていたと云う店。その頃はバースタイルで、水餃子はちょっとしたサイドメニュ。今はメインメニューでぶいぶい有名だ。有名だけどそこそこ美味しい。で、その二軒の名店に挟まれているのが『東北人家』。ゴシック&少々ロリータの元解剖師の方に教えてもらった。ここは名の通り、中国東北地方の料理がメイン。たぶん横浜中華街で、本格東北料理ははじめてだと思う。中国の北…ということは、蒙古(モンゴル)に近くて、発酵させた白菜をスープに羊肉を茹でた鍋——リブのところを手掴みでがつがつやる。蚕の炒め物、凝固させた血の鍋とか…とにかく美味しい。嵌まってしばらく通っていた。
 話は裏浅草。完全には裏ではなく花川戸公園、産業会館裏だから…裏ではなく表。『浅草華園』。よくある中国廉価料理の店の顔をしている。どうしても入りたいと云われて一緒に入った。まぁこれが大當り。東北料理のメニューが幾皿かある。発酵白菜のスープ具だくさん、ラムのクミン炒め、メニューには蚕の炒め物もある(これは誰も付き合ってくれない)他はノーマルな中華料理の顔をしている。あとは、油淋鶏とか海老マヨも…美味しい!
 とにかく量が多くて、多いの味はしっかり美味、で、安い。カップルで運営しているが、二人は大連の出身。礼儀正しくて明るくて元気いっぱい。食べ物屋さんはこうでなくっちゃ。

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