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もし結婚したら...と言われるのに付き合おうとは言ってくれなかった

もう、連絡とらないね。わたしを好きでない人と一緒にいるのは、わたしが削れてしまうから。

平日の昼休み、LINEを送った。

彼とはふらりとアプリで出会った。きっとおたがいさみしいときだった。初めて会った時はジャングルジムに登って話した。次も会えますか、と言ってもらって、同じ週また会った。

彼は元カノのことが忘れられないみたいだった。振られて、もう一度連絡を送って返ってきていないんです、と話をしていた。

3回目、4回目、そのまま毎週会って、「どうしようもう彼女じゃん」と彼は言っていた。「ねえわたしは中途半端な関係は望んでいないよ、どうするの」とわたしは聞き、「1ヶ月元カノからの連絡を待って、そしたら踏ん切りつけようと思うから、ごめんね待っててね」と彼は言った。

言っていた時期になっても元カノからは連絡が来なかったらしい。なにもいわない彼に、わたしは「あなたの踏ん切りがつくまで会わないね」といった。

二週間連絡を取らなかった。彼からは一度だけ連絡が来たけれど。
だけど生理の時、救急車を呼びたいくらいお腹が痛くなって、誰かに弱音を吐きたくて、いたいの、とLINEを送った。
21時頃だったのに、仕事終わりに一時間弱かけて、家に来てくれた。おうどんが食べたいと言ったらおうどんを買って、おなかをあたためるようにと生姜のチューブも買ってきた。そんなに来るほどじゃないのに。生姜のチューブ、わたしの家にもあるのに。

また連絡をとって、会うようになった。
彼はやさしい。甘えを受け止めてくれる。無言でいても心地よかった。おはようもおやすみも眠いねも疲れたねもLINEした。モーニングに行った、山の上でサイダーを飲んだ、音楽を聴きながらドライブをした。手を繋ぐのが好きだった。身長差があって、抱きしめられるととっても安心した。当時あまり眠れない日もあったのに、一緒のベッドでねむるとよく眠れた。

「ねえ、わたしとの関係どうするの」とたびたび聞いた。「いまは彼女作るって踏ん切りがつかなくて...」と彼は言う。なのに、「家族はどんな人?もしきみと結婚したら挨拶に行かなきゃいけないよね」とか、「冬服きっとかわいいんだろうなきみのコートみたいな」とか、「無くしたリング代わりに買いに行こっか」とか、この先も一緒にいるようなことを、無邪気に、なんの悪気もなく言う。

何度か話をしたけれど、なにも変わらなかった。
そのたびにわたしは傷ついた。わたしは関係性には名前が欲しい。割り切るつもりなら割り切ると言ってほしい。その気がないならきちんと離してくれたらいい。「あなたはわたしのこと傷つけてることに気づいてる?」ときいても、「うーんそうだよね...ごめんね...」とあいまいな答えが返ってくるのみだった。

何度目かの話をして、夜また傷つき、翌日、もうむりだなあと思った。このままいてもわたしは傷つくだけだ。わたしのことを大切にしてくれない人と一緒にいたら、わたしはわたしでなくなってしまう。
家に帰ったら気が抜けて、たぶんまた甘えたくなってしまうから、仕事中の昼休み、「もう会わないね」と送った。「わかった... 色々優柔不断でごめんなさい」と返信が来た。わたしを傷つける奴なんてポイだ。もう知らないと思いたいのに、窓際で涙がほろほろと溢れた。トイレですこし泣いた。

こんなとびっきり可愛くて優しくて凛としてる女の子を逃したこと、いつか後悔してほしい。ごめんなさい、天使なんかじゃないから、それだけは呪いをかける。
ぬるま湯のような時間、出たら湯冷めしてしまうと知っていながら欲しかった。欠けたものが満たされたような気持ちになった。でも、ほんとうに満たされはしないこと知ってるから、このままじゃだめだ。だいじょうぶ、ぬるま湯から出ても、わたしはちゃんと立っていれる。

やさしくしてくれてありがとう。ばいばい。

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