見出し画像

こんなときだからこそ、日常を撮る~日常冩眞のススメ~

 新型コロナウィルスの蔓延により、私達の日常は大きく一変した。

 この文章を書いている2020年4月7日、日本政府から緊急事態宣言が出た。

 行動自粛。とにかく感染拡大をさせないこと。そのためには、3密(密閉、密集、密着)を避け、不要不急の外出を避けることが、この局面を乗り切るには重要だと、政府は言っている。

目に映るどんなものも被写体になりうる

 写真を撮るのが好きな人は、この季節、これまでは春の陽気に誘われて、春を撮りにあちこちに出かけていたと思う。出かけたい気持ちはわかる、けれど、今は我慢の時。こんな時に遠出をしたり、人が多い名所に行くことは、皆の努力をふいにしてしまう行いであり、自身が感染のリスクを伴うだけでなく、自分の大切な人にも感染させてしまい、命の危険に晒してしまうかもしれない。
 とはいえ、何もせず、一日中家の中でじっと息を潜めているのも気が滅入ってしまう。写真を撮るのを趣味にしている人の中には、日々の仕事などのストレスなどを、写真を撮りに行くことを楽しみに、発散したり、気分転換にしていたかもしれない。

 観光地や名所、人の密集するような場所でしか、写真は楽しめないのか?

 そんなことはない、と思う。

 目に映るどんなものも被写体になりうると思う。常日頃、ほぼ毎日カメラを持ち歩いている。仕事道具でもあり、ライフワークのツール(何故か横文字)でもある。一枚も撮らない日もあるが、それでもなるべく持ち歩くようにしている。近所のちょっとした買い物の時でもだ。そういう時のほうがいい写真が撮れるときもある。持っていかない日に限っていい被写体に出会ってしまうこともある。(どうしても持っていけない日でも携帯のカメラがあるとちょっと安心する)
 目に映る「日常」を写真として切り取り、表現する「日常冩眞」(“写真”はなんとなく旧字体にしてみた)も十分に日々の楽しみとなりうるのではないか。

 前置きが長くなってしまったが、ここからが本題。では、どんなものが被写体となるのか?

日常冩眞のススメ

 なるべく家にいるようにしていても、被写体はたくさんある。以下は、このような行動自粛の状況になる前に撮った写真だが、3密を避けた、極力外出を控えた生活においても十分に撮れる写真だと思う。

1.家の中で

 皿に水を浸し、そこにニンジンのへたを浮かべておくと、葉っぱ生えてきて、こんなかんじになる。(長持ちさせるコツは、水をこまめに替えて、裏面がヌルヌルにならないようにするのと、適度な日の光だ。)

 家の中で食べ物の写真を撮ってみるのもいいかもしれない。自然光の入る昼間なら、結構いい感じに撮れたりする。下の写真は、スーパーで買った袋入りのパンだが、皿に盛り付けるとちょっと洒落た感じにみえる。

2.庭やベランダで

 換気のついでにベランダや庭に出て、天気のいい日には、陽の光を浴びて、外の空気を吸いながら、被写体を探して撮ってみるのもいいかもしれない。カバー写真にも使ったこの洗濯バサミの写真は、ずいぶん前にベランダで撮ったものだけれど、今の状況でも十分に撮れる被写体だと思う。

 庭やベランダで植物を育てている人は、日々の変化を被写体にしてみるのもいいかもしれない。このマーガレットは、曇りの日にベランダの鉢植えを撮ったものだ。(花は曇りの日だと光が柔らかいのでおすすめ。詳しくは)「雨や曇りだからこそ」を参照)

3.ちょっとした外出の中で

 現時点では、必要最低限の外出(食料や日用品の買い出し意外にも、ジョギングや散歩)も可能なようなので、買い物のついでに(大きな寄り道にならない程度に)散歩がてら撮るのもいいかもしれない。

近所の買い物途中の壁と草。

同じ壁の別の部分を冬に撮るとこんな感じ。
(壁の写真については、こちらにも少し書いています、ご興味のある方は、ぜひ、ご覧ください。)

 近所で素敵なノラさんに遭遇することもあるかもしれない。

 素敵な被写体を求めて、いろんなところに行ったりしたいが、今は、近所で我慢しよう。近所でも面白い被写体はきっとあるはずだ。もし外出がさらに難しくなったとしても、家の中やベランダや庭でも写真はどこででも撮れる。

まとめ:日常冩眞のポイント

 あらためて日常冩眞を撮る際にはどんなことをポイントにおいていたか書き出してみた。もちろん、写真の撮り方や好みの被写体は人により様々なので、これが絶対と言うわけではないし、まずは、自分が撮ってみて「この写真いいかも!」と楽しめることが重要だと思う。

1)日常生活の中で写真を撮ることを意識する
 これを写真に撮ってみたらどうなるかな?と思ったら撮ってみる。そのためには、なるべくいつもカメラは近くに置いておく。

2)切り取るように撮影する
 家の中やベランダなどは、余計なものが入ってしまいやすいので、すべて入れないのもポイント(パンとコーヒーや壁の写真などのような感じに)

3)自然光で撮る
 
昼間の自然光の中で撮った方が、立体感や陰影が出る。暗めの時は、露出補正で明るめにするといいかもしれない。夜でも撮れないことはないが、上からの室内照明だけだと影で暗くなってしまったりする。カメラに付いているストロボだけではのっぺりしてしまうし、ライティングも手軽ではないので。 

 目に映るものはすべて、被写体になり得ると思う。限られた行動範囲の中でも、被写体はたくさんある。撮ろうと思えば何でも撮れるのではないか。
 どんな状況にあろうとも創作は続けられると思う。自分の場合は創作の手法が写真ではあるが、できる範囲の中でもいろんなことができるのではないだろうか。

生活の中に「楽しみ」を見つける

 遠くに出かけたり、人に近距離で会うことが、ウィルス感染を広げてしまう可能性がある今は、個々がそうしないよう心がける時。苦しい戦いは、しばらく続くかもしれないが、こんな状況の中でも、やれる範囲の中で、生活の中に「楽しみ」を見つけることが大切ではないだろうか。
 (いささか不謹慎な言い方かもしれないが)「楽しく」この局面を個々で乗り切るための方法の一つとして、「日常寫眞」について書いてみた。
「楽しみ」があることは、日々のモチベーションにも繋がると思うし、免疫力活性化にも繋がる(かもしれない)。日常の中に楽しみを見つけることが、この困難を乗り切る鍵になるかもしれない。

 もちろん、三密を避け、不要不急の外出は控え、うがい、手洗い、除菌は忘れずに。

この記事が参加している募集

カメラのたのしみ方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?