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お土産の減り方から、会社の性格がみえてくる。

お土産のカルチャーは、会社によって様々だ。

例えば、配り方。
前職では、本人から配給するスタイルだった。人数が少なかったこともあり、お土産を買ってきた人が全員のデスクに配っていた。このスタイルの良いところは、会話が生まれるところだろう。お土産を渡す時に「あ、ちんすこう!沖縄行ってたんですね、いいなぁ」「えへへ」なんて、平和なコミュニケーションが自然と生まれるところが好ましい。

ただこの配給制はデメリットも多い。
第一に、職場の人数が多いと全員に配るのは手間だ。それに加えて、お土産の個数は必ず職場の人数より多く買わなくてはいけないし、そのためには正確な人数を把握する必要もある。
お土産をもらう側も気を遣うもので、甘いものを控えている人や、甘いものが好きではない人にも、平等にお菓子は配られる。

今の会社、TOWNでは「ご自由にどうぞ」スタイルをとっている。現在オフィスは3フロアに分かれているので、お土産を配りたい人は各階の休憩スペースにお土産を配置する。その後、Slackで社内に向けて「沖縄に旅行に行ってきました!お土産にちんすこうを買ってきたので、よろしければどうぞ」的なことを書き込む。すると、お菓子を食べたいメンバーが各々取っていく。

配る手間も省けるし、お土産の個数も気にしなくていい。もらう側も、食べたい人だけが取ればいいので、余計な気を遣わなくてよい。画期的なシステムだ。

TOWNに入社して1年経ち、私自身もお土産を渡す側に回ること数回。この「ご自由にどうぞ」スタイルにも慣れてきたのだが、ずーっと感じている疑問がある。

「8階だけお菓子の減り方、異様に早くない!?」

お菓子の減り方に、何か各フロアの傾向を感じるのだ。
前置きが長くなったが、アドベントカレンダー14日目の記事は、TOWNのお土産お菓子事情について。「お土産のお菓子の減り方から考察する、各フロアの特徴」について書いていく。

※念のために補足すると、TOWNにはお土産を用意しないといけない文化は全くない。私も旅行や帰省の度にお土産を買っている訳ではない。気が向いた時に、体感4割くらいで買ってます。


実験の目的

今回の実験の目的は以下の3つだ。
①どのお菓子が人気なのか
②お菓子の数によって、減り方に特徴はあるか
③フロアごとに特徴はあるのか

実験内容

各実験の内容

(実験①)
チョコレート、クッキー、おせんべいを、フロア人数の1.1倍(6階は20個、7階と8階は13個の合計46個)配置し、お菓子の種類によって減り方に差異があるのか調査した。

みんな大好き無印のお菓子を用意した

(実験②)
チョコレートをフロア人数の1.1倍(同上)と0.5倍(6階は9個、7階と8階は6個の合計21個)配置し、お菓子の個数によって減り方に差異は出るのか調査した。

(実験③)
実験①、②を全てのフロアごとに行い、フロアによってお菓子の減り方に特徴が出るのか調査した。

共通条件

・観測時間
午前9時に各フロアの休憩スペースにお菓子を置き、その減り方を12時・13時・18時・翌日9時の合計4回観測する。

・お菓子の個数
配置するお菓子の数は各フロアの平均出社人数(6階は18人、7階と8階は12人)に合わせて調整した。なお、平均出社人数は、展示会等の特別なイベントのない2023年11月6日週の各フロアの出社人数をもとに算出した。

実験結果

実験①お菓子の種類によって減り方に差異はあるのか。

結果
せんべいは、チョコとクッキーに比べ不人気のようだ。
(翌日9:00まで残っていたお菓子の個数は、チョコ3個、クッキー5個、せんべい10個だった。)

実験② お菓子の個数によって、減り方に差異はあるのか

フロアの人数に対して1.1倍と0.5倍のお菓子を配置し、減り方を比べた

結果
少しある。
(1.1倍の実験では12時時点で-21個だったが、0.5倍の実験では-14個だった)
お菓子の個数とフロア人数を比べた上でお菓子を取るかどうか決めている人も一定数いるようだが、今回の実験だけでは断定できない。

実験③ フロアによって、お菓子減り方に差異はあるのか

フロア人数の1.1倍のお菓子があった時の、フロアのごとのチョコ・クッキー・せんべいの減り方の平均値

結果
非常に強く特徴が現れた。

6階の特徴
・9:00-12:00に第一波、13:00-18:00第二波がある

7階の特徴
・他のフロアに比べて減りが少ない
・18:00から翌日9:00の間に大幅に減る

8階の特徴
・13:00までには全てのお菓子が無くなっている

考察

フロアごとの結果を詳しく見ながら特徴を考察する。

6階の特徴:人間らしい

6階の特徴は出社からお昼休み前の9:00-12:00に第一波がきて、お昼休み後から退社前の13:00-18:00に第二波がくる。

出社してお菓子を見つけて取る人と、午後の小腹が空く頃におやつとして取る人が多いのだろうか。すごく共感する。

また、せんべいはあまり好まないようだ。

7階の特徴:シャイか、少食か・・?

他のフロアに比べて減りが極端に少ないのが特徴だ。
7階は他のフロアより平均年齢が高いため、そもそも少食なのだろうか。

また不可解なのが、18:00から翌日9:00の間に大きく減ることだ。仕事終わりに食べているのか、それとも自宅で食べるように持って帰っているのだろうか。いずれにせよ、どうせ取るのならそんな遅い時間ではなく、お土産を見つけた時に取れば良いだろう。

また、この表をみてほしい。これは実験②「お菓子の個数による比較実験」の7階のみの結果だ。

18:00時点での個数に注目すると、お菓子がフロア人数の1.1倍の時も0.5倍の時も、いずれも元の個数より-3個だ。しかし翌日の9:00の時点では、-8個と-5個でばらつきがみられる。

これらのことから推測すると、18時までは「お菓子を食べたい」という素直な気持ちから減っているが、1日の終わりの18:00以降に急激に減るのは「1日経ってもお菓子はあまり減ってない。これじゃあ用意してくれた人がかわいそうだから、自分が貰っておこう」と考える人がいるからではないだろうか。

8階の特徴:腹ぺこ配給制度

クッキーの黄色が消えているのは、クッキーとせんべいが全く同じ減り方をしており、グラフが重なっているためだ。

当初の予測通り、8階は他のフロアに比べて減り方が異様に早い。13時の時点で全てのお菓子がなくなっている。

8階の住民の噂を聞いていると、どうやら8階では独自の配給制があるらしい。自ら配給役をかってでている人がいて、その人が8階にお菓子を見つけた時点で、それをフロアのメンバーに配っているらしい。チョコが他のお菓子より無くなるのが遅かったのは、配給役の人がチョコを見つけたのが12:00-13:00の間だったというわけだ。

その配給役のメンバーに、それなく理由を聞いてみた。

「お土産って時間が経っても減ってなかったら、用意した人が悲しいでしょ。でも貰う方も他のメンバーまで渡るかとか、いろいろ気を遣っている。だから自分はお土産を見つけたら配っています」

なるほど、確かにその通りかもしれない。
しかし実験としては・・・うーん、ちょっとつまらない。

実験を終えての感想

今回の実験から各フロアの性格・キャラが見えてきたように思う。

6階
可愛い。一番好き。朝出社してお菓子を取る人と、午後のおやつに食べる人。人間らしくて非常に好感が持てる。せんべいが不人気なのも可愛らしい。「どんなお菓子が好きなのかな?」とお菓子選びが楽しくなる。お土産のあげ甲斐があるというものだ。

7階
シャイなのか、少食なのか、気遣いなのか、そのいずれもなのか。とにかく色々な思惑がありそうだ。素直な食欲よりも、何かしらの考えが先行しているようだ。

8階
配給制なので詳細な傾向が読み取れなくて、つまらない。
しかし、8階の民の話を詳しく聞いていると、配給制の中にもどうやら傾向があるようだ。例えば配給者と関係性の近い者から優先的にお菓子が配られる。また配給時に自席にいる時は配られるが、いない時には配られないなど。今回の実験ではそこまで深くは読み取れなかったが、この点については今後の研究課題とする。

正直に打ち明けると、今回の実験は「8階の早食い・食いしん坊」の特徴が、他のフロアに比べて顕著なのでは?と思い、それを炙り出そうという思惑があって企画した。しかし蓋を開けてみて驚いた。実験の結果、最も特徴的だったのは私自身がいる7階の異常性だった。中にいると気づきにくいものですね。

謝辞

本論文の作成にあたり、多くの方々にご協力を賜りました。

特にSaaS事業部の林先生には「『理系っぽさ』を演出したいから、実験の監修してくださーい!」という私の無理な要望にも、「いじってますよね?」と言いながらもご快諾いただき、終始適切なご指導を賜りました。ここに深謝の意を表します。

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