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Hのサンダルを前にして、我がビルケンシュトックを抱きしめた。


娘の託児所の、あるお母さん。

多分わたしと同じくらいの年で
大きなベンツに乗っている。


駐車場の線からはみ出そうなベンツ。ちょっとはみ出てる。
韓国ドラマに出てきそうな車。

見かけるたびにすごいねぇと
夫と話すけれど、

わたしはあまり車に興味がないし
「ほ〜」くらいなもの。

大きい車は運転できそうにないし
大変そうだなぁと思う。


娘が託児所に通い始めて半年が経つけれど
今日送りの際、はじめて
わたしとそのお母さんの2人になった。


「バッグもグッチなんだな〜。」
「ほ〜。」と何気なくみていたら
玄関に脱いである
サンダルが目に入った。

少し経ってから
ん?あのHの形、、もしかして、、



こんなの


何故か少しドキドキして
確かめるためにそのお母さんよりも気持ち早く
娘を預け玄関へ。

(わ!ロゴ。やっぱり!エルメス!!!)

HERMESのH。


エルメスのサンダルがどんなものか
元々知っていたわけではない。

東大王のクイズを当てた時のような
知らないものを勘で当てた高揚感と、
隣にある自分のサンダルとの差に
ちょっぴり落ち込んだ。

こういう、人と比べて落ち込む経験は
これまであまりなかった。

それは比べて自分が秀でているからではなく
比べること自体あまりしてこなかった。

エルメスの横に並ぶ
3年目のビルケンシュトックは
実物よりもボロボロに見えて
ビルケンに申し訳ない。


そのエルメスは、
履き古したエルメスではなく
綺麗なエルメスだった。

ベンツの車も
グッチのバッグも欲しいとは思わないのに

「サンダルまでエルメスなんだ〜」

これだけは何故か自分にダメージがあった。

調べてみると(調べていることもなんだか情けない)
わたしの結婚指輪と同じくらいの値段。

サンダルなんて一夏で履き潰してしまうのに。
ここまでくると拍手をしたくなる。


同じ託児所に通わせていて、
年も同じくらいで、
多分同じ専業主婦で、
髪の毛も長くて
同じくインナーカラーを入れていて

こんなに同じなのに、こんなに違うのか。

普段から、幸せかどうかは1つの物事では決められないと思っていて。

サンダルがこうも違っていても
やっぱりわたしも同じくらい幸せなのだと感じることは出来る。

それでも事実として
わたしはエルメスのサンダルに憧れた。


来年はもう少し女性らしいサンダルを履こう。


そしていつか、
わたしもよく見たらハイブランドじゃんと思われるようなサラリとしたものを身につけたい。
(詳しい人からしたらよく見なくても分かるだろうけど)


その日がくるまで、この秋も、大事にビルケンシュトックを履くからね。


何故だかまた片付け意欲が湧いてきた。
エルメスのお母さんありがとう。

その人になりたいわけじゃなくとも、
わたしは今よりも誇らしい自分になりたい。

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