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地球感謝の日

語呂合わせにちなんで、青木稚華氏が12月9日に記念日を制定とのことだが、なんの語呂合わせなのかは、私には理解不能。地球の9だという。
そもそも青木稚華氏がもっと不明である。

今日は、フリッツ・ハーバーの誕生日である。化学兵器の父ともいわれる。
 ハーバーの一番の功績は、カール・ボッシュとともに開発したアンモニア生成の方法で、この功績によりノーベル化学賞を授与している。
空気から、肥料をつくるとも評されるのだが、これにより、穀物の収穫が飛躍的に改善された。

Notre deuxième épisode des Héros du progrès est consacré à deux prix Nobel allemands, Fritz Haber et Carl Bosch. Ensemble ils ont créé le « procédé Haber-Bosch », procédé permettant de convertir efficacement l’azote de l’air en ammoniac (c’est-à-dire un composé d’azote et d’hydrogène). L’ammoniac est ensuite utilisé comme engrais pour augmenter de façon considérable le rendement des cultures. L’impact des travaux de Haber et Bosch sur la production alimentaire mondiale a transformé le monde à jamais.

19世紀に渡って、農民は鳥の糞(guano)を用いたが、これは、窒素、リン酸
カリウムなど、植物の成長に欠かせない栄養素である。しかし、20世紀になるとグアノの堆積(dépôts)物が不足しはじめ、価格が高騰しはじめた。もし、不足に対処する方法が見つからなければ、飢饉になっていただろう。

Tout au long du XIXe siècle, les agriculteurs ont utilisé le guano (c’est-à-dire les excréments des oiseaux de mer et des chauves-souris) comme engrais très efficace en raison de sa teneur particulièrement élevée en azote, en phosphate et en potassium – des nutriments essentiels à la croissance des plantes. Mais au début du XXe siècle, les dépôts de guano ont commencé à s’épuiser et le prix de l’engrais a commencé à augmenter. Si une solution à la pénurie de guano n’avait pas été trouvée, la conséquence aurait été la famine.
●pénurie ... 欠乏

1868年にブレスラウで生まれたハーバーは、18歳からハイデルベルク大学において化学を専攻、1894年にKarlsruhe大学で研究を始める。窒素の合成法に焦点をあてた。
窒素はN2でほかの合成物をつくるには、まずはN2を2つに分けなければならない。化学結合には、さまざまな強さがあり、共有結合と呼ばれるものでこれは強い。この結合が二重に組み合わされる場合もあり(二重結合)これはさらに強度が強く、N2は三重結合で自然界に見られる化学結合の中で最強の結合度で、これを壊せるのは、稲妻だけだ。
N2を分解して、Nを取り出すには、温度を1000℃以上に上げないといけないが、それではアンモニアを作ろうにもアンモニアが壊れてしまう。だからすぐさま冷却しなくてはならない。ハーバーは非常に苦労する。さらに拍車をかけたのが、別の研究者であるネルンストが同様の実験を行い、ハーバーの実験数値が違うと批判され、ハーバーは激怒したのである。生まれつき野心が強いと評されたハーバーはこの研究を意地でも進めていくようになる。

1909年(実に研究をはじめて15年)7月3日についにアンモニア生成に成功する。しかし、この当時の工業のレベルにおいて、生成の際に必要な圧力と熱に耐えられる容器は存在しなかった。しかし冶金の専門家であるボッシュのおかげで、圧力をうまく逃がす鋼物を使い生成に必要な容器を開発し成功した。こうして、1913年にアンモニア生成の工業化に成功するのである。

Né à Cologne en 1874, Bosch avait étudié la métallurgie à l’université de Charlottenburg en 1894, avant d’être transféré à l’université de Leipzig où il obtint son doctorat en chimie en 1898. Bosch rencontre Haber en 1908 et après avoir découvert la trouvaille de ce dernier l’année suivante, Bosch relève le défi : développer des récipients appropriés qui pourraient supporter le processus de Haber au niveau industriel.
En moins de quatre ans, Bosch pouvait produire de l’ammoniac dans des conteneurs de 8 mètres de haut. Le procédé Haber-Bosch était né. En 1913, Bosch ouvre une usine qui donne le coup d’envoi de l’industrie des engrais que nous connaissons aujourd’hui.

ネルンストとマックス・プランクは、アインシュタインをドイツに呼び戻した。ドイツの科学の向上と栄光のためだ。アインシュタインは、”2人は
珍しい切手を欲しがっているマニアのようだった”と語っている。ベルリンでハーバーと会ったアインシュタインは、”あいにくそこらじゅうでハーバーの写真がある”と嫌味をいい、さらにハーバーを次のように表する。
”自分の虚栄心に屈してしまった男といわざるを得ない。しかもとても趣味がよいとは言えない虚栄心に・・・”
しかし、科学者としてハーバーに尊敬の念もあったアインシュタインは、世界情勢について語り、ドイツの狂気についても語り軍部への関与を諌める。しかし、ハーバーはすでに軍役に志願していた。

ハーバー・ボッシュ法は、"平時には空気から肥料をつくり、戦時には空気から火薬をつくる"と揶揄されたりもする。また、平時の利用についても、植物が吸収しなかった窒素が、雨水によって海水に流れ込むが、水中で窒素は硝酸塩となる。これが藻などに悪影響を与えるともいわれる。

ハーバーの人格についてよい噂はきかない。
同じ女性化学者のクララと結婚したが、クララには、家庭に入るように命じ、一切の研究をさせなかったわりに、ハーバーは家庭を顧みなかった。
クララがハーバーが指揮した毒ガス兵器開発に反対し続けても、ハーバーはこれを無視した。クララは抗議のために自殺をする。
クララの死後2年経ち、20歳も年下のシャルロッテに求婚したハーバーに誰も驚きもしなかったが、誰も喜びもしなかった。やがてこの結婚も破綻する。

ドイツは第一次世界大戦に敗北し、やがて、ヒトラーが政権を握る。(1933年)公職からユダヤ人が排斥され、ハーバーはケンブリッジへ逃げるが、1935年に死亡する。ボッシュは1937年にはカイザーウィルヘルム研究所の所長になっていたが、ナチスを激しく攻撃したため解任され、1940年に亡くなる。

Lorsque Adolf Hitler arrive au pouvoir en 1933, Haber fuit l’Allemagne pour enseigner à l’université de Cambridge, et meurt peu après, en 1935. De son côté, Bosch est nommé en 1937 président de l’Institut Kaiser Wilhelm – le plus haut poste scientifique d’Allemagne. Critique acharné des politiques nazies, Bosch est rapidement démis de ses fonctions et meurt en 1940.

世界を食料危機から救った二人の化学者の晩年はナチスによって暗黒に染められてしまったのだ。

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本来、化学を研究するのに、対象が毒ガスであろうが、肥料であろうがかまわないと思う。逆に、こうした研究には制限を設けてはいけないとも思っている。しかし、その知識・技術を虚栄的に振りかざしてはいけないとも思うのである。そこにあくまでも必要なのは、科学の正しい理解と、地球への畏怖であり感謝なのかもしれない。

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<来年の宿題>
・事始めについて
・肥料と農業について
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