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タクシーの日

 車を持つ時代ではなく、カーシェアの時代だと私は言いたがる。
世代的な圧力というか、車を持つことがステータスであるという圧が少しくはあった時代を生きた人間だからか・・・
 統計で解決を試みるのも私の癖だが、カーシェアの利用推移をみると車両台数は3万台に達する見込みという。そして利用者数は、200万人を突破というが、これだけでは詳細はわからない。私の知りたいことは、いま公道をみて車が10台通ったとすると、このうち個人所有車は何台でカーシェアは何台であるのか。カーシェアの台数が所有車台数を上回るときはいつかを予測すれば解決だ。カーシェアが6台で自家用車が3台になったとすると、ほらみろ!といえるのだが、、、いまのところ自家用車は600万台以上ということから、このままでは太刀打ちできない。都市部に限ったデータなら勝負になるかとか、いろいろ思案してみたが、今日は時間切れであるので、来年までの宿題としよう。
 お金のデータで示すと、車の維持費は年間で平均 約43万円。第一これは車の購入代金は入っていないので、ローンを抱えている人はもっとかかる。
 月にならすと、約3万円以上は家計にのしかかっている。こうなってくると、月3万タクシーを使ったほうがいいなぁとも思えてくる、が、これは個人的な感想である。今日はタクシーの日、大正元年(1912年)8月5日に日本ではじめてタクシーが営業を開始した日にて全タク連が制定した。
 私の世代では、女性をデートに誘うときには車があると有利といわれ、”アッシー(車利用のときに呼び出す男性のこと)”という言葉があったくらいだ。車を持てない(女性にモテない)私のルサンチマンという「重み付け」が働くだろう、さらに、事故や駐車違反などにかかる費用や精神的な負担も盛り付けるのだ。

 さて、数にいろいろな物語を盛ること(繰り込むこと)は実は可能である。数字はそれぞれ物語がある。

さて、次のような問題を考えてみよう。

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(1)の答えは600km だ。 
(2)は、複素平面で表される領域を考えることで解くことができる。このままだと簡単なことをわざと難しくしているようではあるが、この問題を使ってさまざまな説明を試みる。答えを言うと600だ。
同じ600だが、違う物語を込めることもある。

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    複素平面であるが、ガウスが導入したのでガウス平面とも言われる。
複素数とは方程式の解である。高校数学でいえば、判別式が負のとき解は複素数になる。ガウス平面上で考えると複素数の積は回転で表現できるので便利なのである。n乗はn回転したものだとするとわかりやすい。ちょっと話が飛躍するが、たとえば量子力学での状態はガウス平面で表す。
 正則関数というやや専門的なタームが出てくるが要するに微分可能であるということである。微分可能なということは、つまりは”滑らか”ということである。(1)で考えたのは等速直線運動を考えた直線なので一次関数である。(1)はf(z) = az + b 上を通る。(2)で領域Dのの中で、zを通る道というか近づき方は無限に考えられてしまう。でも、滑らかになる(=微分可能)という条件で複素平面で考えると、どんな近づき方をしても微分係数が一致していないといけないというキツイ縛りがある。キツイ条件のおかげで、関数f(z)の形が一つに定まる。このようにzの定義域を複素平面に広げる方法を解析接続という。

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 さて、ここで別の問題を考えてみる。

1+2+3+4+....+∞ = ?

答えはいくつだろう。∞に決まっている。うん、そう考えるのがあたりまえではある。それを数学的には発散するという。

Au début du XIXe siècle, le mathématicien norvégien Niels Henrik Abel formulait cette mise en garde:

«Les séries divergentes sont une invention du diable, et c’est une honte de les utiliser dans la moindre démonstration.»

Or toutes les séries abordées plus haut sont divergentes, c’est-à-dire que la suite de leurs sommes partielles ne converge pas vers un nombre réel. Ce que veut notamment dire Abel dans sa recommandation, c’est que l’on peut faire dire ce que l’on veut aux séries divergentes selon la façon dont on les manipule.

●divergente 発散
●converge 収束

Les arguments sont nombreux, parfois extrêmement complexes, pour démonter le fameux raisonnement du -1/12.

19世紀の最初、ノルウェーの数学者アベールは次のように警告した。
「発散なんて悪魔の発明だ。拙い証明の中でそれを用いるのは恥だ」
と、、、、
実数で考えればもちろん発散なのだが、これを複素平面で考えると -1/12
(マイナス12分の1)になる
のだ。
え? マイナス?・・・・一個もねぇじゃん。そんなもん。。。
私は、アベールほど天才ではないので、別の説明をしたい。

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リーマンのゼータ関数というのがある。フェルマーの定理にも密接に関わっている関数なので、ご存知の方も多いかもしれない。

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この関数のs=2のときの値はオイラーが解いた。"πの2乗  / 6"だ。 
(なんと円周率が出てくる。。。。)
このゼータ関数は本来 s=x+yi (x>1) という複素数であり、s>1以上でないと成立しない式である。この定義域を拡張して
sに-1 を代入すると、ベルヌーイと江戸の関孝和が編み出した公式により、

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−1/ 12が出てくるのである。
ちなみに、種明かしというか、この計算は本来イコール(”=”)では結べない。この−1 / 12 と結ぶことを、先述の定義域を拡張して複素平面に広げる→解析接続したということなのである。物理学では”繰り込み”といったりする。非常に小さな電気の力の計算をしたりする場合に使ったりするらしい。そちらは今後勉強していこう。アベールはアベール級数なるものを考えていたらしいが、それは来年の宿題としよう。
 
 アベールは、1802年の8月5日に生まれた。父は野心家だったらしいが酒乱で、アベールが18歳のときに亡くなる。その後母も精神を病み、貧しい生活を送るが、数学と出会う。なんと5次方程式の解の公式が導けないことを証明する。わずか22歳で300年も不明だったことを解明するのだ。
このまま無事に学業を遂げていれば、フェルマーの定理も証明できたのかもしれない。
 しかし、この証明を大数学者ガウスに送るが、満足に文房具も買えないほど貧窮していたアベールは粗末な紙に書いて送ったため、見向きもされない。ベルリンにて、クレレという友人の雑誌に寄稿し、食費を切り詰めで書籍を求めては数学に明け暮れ、楕円関数論を完成させる。当時同じようなお題でヤコビも論文を書いており、研究の競争も強いられ精神衰弱に陥る、ベルリン大学に論文を送ったのだが全く返事がないので諦め、失意のうちに故郷に帰ってしまう。クレレがおかしいと思い大学に問い詰めたところ、担当官のコーシーが論文を失念していることに気づく。ベルリン大学はあわてて合格通知をだし、クレレがこれをアベールに知らせたときには、彼は結核に侵され、息絶えたあとだった。享年26歳の短い命だった。

La courte vie d'Abel se précipita. Le 6 avril 1829, à quatre heures de
l'après-midi, tout était fini. Abel avait alors vingt-six ans et huit mois.
L'hiver avait été rigoureux, et le manteau de voyage d'Abel, lorsqu'il était parti pour passer la Noël à Froland, insuffisant à cause de sa grande pauvreté. Il avait eu froid pendant le voyage, et quelques jours après son arrivée,il eut des crachements de sang, et dut se mettre au lit pour ne plus en sortir. Vers le commencement de janvier, pourtant, un mieux se produisit, et le 6 janvier 1829, date plus glorieuse dans l'histoire de la civilisation que les jours de fête des rois, des empereurs et des divers pays, Abel, au lit, écrivit pour le journal de Crelle la plus grande pensée de sa vie, le théorème d'addition, aussitôt salué comme un monumentum œre perennhis, et qui, cent ans après la naissance d'Abel, marque encore le plus haut point de développement de la mathématique.

 ノーベル賞には数学の部門がない。その代わりになのか、フィリーズ賞というのがあるが、賞金はノーベル賞よりもだいぶ少ないし、4年に一度だ。
彼の生誕200年を記念して(2003年)ノルウェーはアベールの死を悼み、才能をたたえ、アベール賞を設け、数学の部門で功績がある者に贈ることにした。賞金はノーベル賞と同額だ。

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<来年の宿題>
・アベール級数について
・カーシェア台数の推移
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 1976年の映画タクシードライバーのロバート・デニーロ
(画像はお借りしました)

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