まえがき
今日は柿の日
いつものように 前回のnoteをみてみると、
新そばの季節らしく蕎麦を、というよりも正岡子規つながりで蕎麦の話になり、柿の話に戻している。
柿
この句は、宝暦7年の「誹風柳多留」に収録された句で、初期の柿の実を近所に配る江戸時代の人々の交流を詠んでいる。ということは江戸の人々たちの間でも柿を食べられていたということで、しかも重要な食べ物であった。
甘柿はそのまま、渋柿は干し柿にして食べるか、渋抜きをして食べられていた。渋柿は防腐剤、防水効果があり、雨傘に塗ったり、生活のさまざまな場面で活用されていた。農村の風景には必ず柿の木があり、人々の暮らしに密着した果物であった。
分子栄養学からみた柿
柿をたべるのは健康にどうなのだろうか、そこを以下に箇条書きにまとめてみよう。
ポリフェノール類
ビタミン類
代謝への影響
細胞保護作用
果物の中でも柿はかなり特殊な栄養組成である。秋は積極的に摂ったほうがよさそうだが、タンニンを含むため、1日1個くらいが妥当であろう。
ジャポニスム
柿は16世紀にヨーロッパに持ち込まれた。フランス語では kaki.
そして、1873年のジャポニスム時代にパリに伝わった。その後、気候が適していた南仏プロヴァンスで栽培に成功した。
柿の木はkakinier という。おかげで、現代のフランスでは、10月ー12月には普通にスーパー(marche)で売られているが、それは、日本産ではなく、南仏、スペイン、イタリアなどの欧州産が主流で、完熟のトロトロの状態が好まれるとのことである。
ところで、ジャポニスムというのはなんだろうか。
ジャポニスムとは、1872年にフランスの美術評論家フィリップ・ビュルディによって作られた言葉で、1860年代のフランスを中心とした西洋美術に対する日本の影響のことをいう。
とくに絵画でその影響が強く、マネ、ゴッホ、ゴーギャンなど印象派の画家達が浮世絵から強い影響を受けた。特にゴッホは浮世絵を模写しアルルでの作品に日本的な要素を多く取り入れたことで知られる。色彩の使い方、構図、平面的な表現方法など新しい芸術表現を生み出した。多くのパリジャンが室内装飾に日本の美術品を取り入れた。一時的な流行というよりも、芸術に革新的な影響を与え、新しい芸術表現の可能性を開いた重要さを持ち合わせるのである。
ジャポニスムについて、ちょっとnoteしてみよう。
Contraste
パリのレストランLe Restaurant Contrasteでは
柿を使った料理をだす。 ミシュラン・ガイドでは、立ち寄る価値ありだと高い評価をされている。
柿の料理
上記は星付きのレストランのお料理だが、ほかに柿を使ったフランス料理のメニューをみてみよう
・前菜
柿と生ハムのマリネは白ワインビネガーで風味づけがされる。
実に合いそうだ、柿とモッツァレラチーズのカプレーゼ風も
トマトの代わりに柿を使う。
また、少し変化球だと、クミンを効かせた柿とコンテチーズの
ブルスケッタもある
・メイン
柿と豚肉をワインで煮込んだ料理や、柿を添えた鴨肉のロースト、
など、ワインが仲を取り持ち、実に柿が味の中核に入り込んだ品がある。
・デザート
柿のコンポートと生姜紅茶のパンナコッタ、
柿とアーモンドのタルト、
など実に季節感を感じさせるものがある。
あとがき
なぜジャポニスムは起きたのか、遠近法の無効化や、色彩の妙など、
いろんな考察すべき課題があがる。次回はここに焦点をあてることとする。
このnoteはさしづめ、頭出しの記事ということになろうか。
フルーツとしての柿はコンフォートにするなど、トロトロの食感が好まれるということであるが、料理の素材として実に斬新な感じもするのである。
そういえば、フランスには柔道家が多い。私もちょくちょく書いているが、いまや、フランスの国民的スポーツと言っていいだろう。柔道の心を理解する感性は実に面白い。