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米の日

八十八が米の字になることから、日本健康食育協会が制定。
ちなみに、八十八夜とは立春から数えて88日目を指す言葉で茶摘みの時期を指す。米寿も88歳を表す。また8のつく日はどれも米の日だという記述もある。


◯バルザック
バルザックという作家は、1850年の8月18日に亡くなったのだが、
眼光の鋭さと、意志力があった人物とされる。
次の記事を追いながら、彼の驚異的な偉業についてみていこうと思う。

バルザックの作品群「人間喜劇」という壮大なスケール。
歴史絵巻を一人で0から組み上げたのだ。これだけでも驚くべきなのだが、そういった小説空間の中にさまざまな仕掛けまで織り込んで、編み上げた綿密な心配りに強いvolonté(意志の力)を感じる。バルザックは読む人全員に真摯に問う。社会とは? ーわからない。過去とは? ー漠然とする。
現在とは? ーカオスになる。これでは、当然人々は未来を語ることができない。

Contrairement à ce qu'auront pensé un certain nombre de modernes racornis et précieux, Balzac est plus actuel que jamais. Pourquoi fait-il peur ? Trop d'Histoire et d'histoires. Demandez à un romancier français où en est sa médiation historique, celle de son temps et de tous les temps. Il balbutiera, se dérobera, deviendra vite formaliste, populiste, moraliste ; il vous répondra en se prenant très au sérieux, tout en dissimulant son ignorance. La société ? Connaît pas. Le passé ? Confus. Le présent ? Chaotique. Pas étonnant, donc, qu'on ne puisse pas parler de futur.

 バルザックの伝記は、たしかに、いろいろなことを私達に語るだろう。すべての偉大な小説家同様、本質は作品の中にある。バルザックが現実の世界ではバルッサと呼ばれていたことは重要である。バルザックの父はヴォルテール風の狡猾さを持ち合わせた実務家で、革命と帝国時代をうまいこと切り抜ける理想主義とは程遠かった。バルッサ自体が君主制やカトリシズムの道を歩んだことは、エディプスコンプレックスで説明できるだろう。母はいわゆるモンスターであった。彼女はバルッサが生まれる前から彼のことを憎んでいた。二人の妹は普通に愛情を注いでいたのだから、このことがバルッサの生涯に決定的な影響を与える。

Une biographie de Balzac ? Oui, surtout pour vérifier, comme pour tous les grands écrivains, que l'essentiel est dans l'oeuvre. Certes, il est important de savoir que Balzac s'appelait en réalité Balssa ; que son père, voltairien et rusé, s'est glissé à travers la Révolution et l'Empire (Honoré, en devenant de plus en plus monarchiste et catholique, aura donc été un parfait Oedipe) ; que sa mère _ point capital _ était un monstre (" Elle me haïssait avant que je fusse né ") ; que ses deux soeurs, Laure et Laurence, auront sans doute été ses deux amours principaux. Tout cela compte, infléchit l'ensemble de son aventure.
●monarchiste ... 君主制
●haïsser ... 憎む・恨む

 母は父より30歳年下で神秘主義者だった。しかし母からの影響だけではないだろう。というのも、バルザックに限らず、この時代の風潮として、スウェーデンボルグかメスメルの動物磁気力か薔薇十字のどれか、あるいは、すべての影響を受けているものだ。母の影響については、いわゆる愛情の欠如が、バルザックの女性遍歴にむしろ現れる。
 バルザックの眼光の鋭さはサントブーヴも指摘する。磁気をもっている力として表現される。この時代特有のこの表現を当時の決り文句(Cliché)として処理してしまうことはたやすい。ところが、この表現は当時はメスメル化するといわれ、独特の力を放っていたのだ。人間喜劇を一つの宇宙とみるとき、宇宙の原理・法則を読み取ることが可能だ(※1)。その原理が登場人物の言動や細部まで隈なく支配するし、作者がテクストを編む原動力にもなっているのである。言葉・考え・イデアは作者が生きた時代背景の影響を受ける。それがHistory Of Idea的な見地である。
※1
記事には書いてないが、Wikiにはつぎのようにある。

Honoré de Balzac était un adepte du mesmerisme et du magnétisme animal. Il s'étend longuement sur le sujet dans son roman Ursule Mirouët où l'on voit le sceptique docteur Minoret se laisser convaincre de traiter sa pupille : Ursule.
バルザックはメスメリスムや動物磁気の信者であった。小説Ursule Mirouëtの中で、Minoretが懐疑的なのを彼の瞳によって説得させている。
→ すなわち 眼力により 信じさせるという魔術を使っている。


◯当時の科学
 1780年に解剖学者カルヴァーニが蛙の脚が電気で動くのを発見した。これはセンセーショナル性を伴って世論に流布したのである。メスメルもこれに触発され動物磁気という発想を思いつき、医療や占術に応用する。いわゆるいまでいうトンデモ科学である。さらに当時は、魔術と科学の境界があいまいであった。しかし、バルザックが宇宙を編みあげる中で、
「世の中のすべては現象の共通の基盤として働くエーテル物質、すなわち電気、熱、光、ガルヴァーニ流体、磁気流体など不正確な名で呼ばれている物質によって作られている」と考えていた気配を感じることは大事なことである。
 その上で、バルザックの宇宙の中のエネルギーを次のような法則が支配する。
 「感情を殺して長生きするか、それとも感情の殉教者として早死するか

◯意志の力
バルザックの鋭い視線は世の中のすべてを読み取ろうという強い意志が感じられる。そしてその意志は、やはりなんでも見てやろうとする時代要請からも無縁ではない。それを人間喜劇の中で開陳しているのである。
さらにバルザックは天才的な読解力を示すのである。1度に7−8行を読み通し、そしてそれを再現できるほどの、ものすごい読書力である。

Mais voici, très vite, le personnage majeur : la lecture. Balzac, d'emblée, est une prodigieuse machine à lire, telle est sa vraie naissance, peu à peu transformée en industrie d'écriture. Ouvrons Louis Lambert, c'est une autobiographie à peine déguisée : " L'absorption des idées par la lecture était devenue chez lui un phénomène curieux ; son oeil embrassait sept à huit lignes d'un coup, et son esprit en appréciait le sens avec une vélocité pareille à celle de son regard... Il possédait toutes les mémoires : celle des lieux, des noms, des mots, des choses et des figures. Non seulement il se rappelait les objets à volonté : mais encore il les revoyait en lui-même situés, éclairés, colorés comme ils l'étaient au moment où il les avait aperçus. Cette puissance s'appliquait également aux actes les plus insaisissables de l'entendement...

読書力をインプットの力とすれば、書きつけることはアウトプットの力。その両方を支えているのが、彼のなんでも見てやろうという意志力(volonté)である、さらに、お見通しなんだという思いを書きつける原動力につながり、メスメルの理論がそれを後押しする。バルザックの書く「生理学もの」はそれがわかりやすい形で現れているといえるし、また、生理学の実例、意志の実践の場としてバルザック自身も人間喜劇の中を生きたのだ。

Louis Lambert, le " jumeau spirituel " de Balzac, comme dira Baudelaire, n'a que douze ans. C'est un " théoricien de la volonté " (et donc de la volonté de puissance, thème capital chez l'auteur de la Comédie humaine). Bien entendu, au départ, personne ne remarque rien, on met l'enfant en pension, il n'est ni bon ni mauvais, il poursuit seul ses expériences, rien de ce qu'on lui enseigne ne vaut l'entraînement auquel il se soumet lui-même pour devenir un monde parallèle au monde.


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◯稲と稲妻
米は稲から作られる。
ところで稲妻は電気である。
稲光は稲にエネルギーを与える原動力ともいえる。
そのエネルギーをお米から摂取してアジアの人は生きている。

たとえば牛肉は蛋白質で、お米は炭水化物。栄養学的にはどちらも大事である。牛肉は精がつくという。米は身体の基礎をつくる。
牛肉は瞬発的な印象がある。米は生活の基礎を形成し持久的な印象がある。

ところで、人間の神経系は2つある。交感神経と副交感神経だ。この2つはバランスをとって構成されている。興奮を司る交感神経ばかり働かせると早死してしまう。人生における感情も興奮と安らぎを交互に味わう。

バルザックの小説に「あら皮」がある。
生理学ものと小説の両面からも集大成ともいえる。
ラファエル・ド・ヴァランタンに骨董商が渡した「あら皮」は欲望を叶えてくれる。だが叶えた分、寿命が縮んでいく。この「あら皮」の発想の中にも、エネルギーといった考え方をみることができるのである。
来年のこの日はこのことについて書いてみたい。

麤皮という有名なステーキ屋さん(こういう表現は低俗すぎる一人5万もするのだ)がある。

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<来年の宿題>
・バルザック 麤皮 再読
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●見出しの画像
稲妻と稲穂(画像はお借りしました)



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