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今日は父の日

1930年にブルトンがシュールレアリスム宣言第2弾を発表した。
超現実、、、その基礎理論の通底には、マルクスとフロイトがいる。
マルクスが明らかにしたのは、資本主義における支配構造である。
有り体にいうなら、雇う側と雇われる人の階層構造のことである。ブルジョアとプロレタリアートのことだ。フロイトは意識には覚えのない意識があることを示した。人間が認識している範囲は脳のごく一部でそれは氷山の一角であり、それ以外のものがあると意識に構造があることを説明したのだ。19世紀末のこの上部構造・下部構造という認識は、それに先立ち、ルイス・キャロルが鋭くも感じ取ったことである。不思議な国のアリスで地下に降りていく物語を作る。その地下の世界を不機嫌の塊のような世界として描いていくのであるが、マルクスは1863開業のロンドンの地下鉄をみる、この地下への意識が共同認識として形成されていったのではないかと、History of Idea風に思いを馳せてみる。
 フロイトの下意識とか深層心理は実はときどき知覚にあらわれる、それは寝ている間の夢がそうである。ブルトンは自動筆記にそれが現れるのだとしたのである。シュールレアリスムは文学だけでなく絵画や音楽など広く文芸活動に影響を与えた。絵画ではダリ、キリコ、エルンストなどがあげられる。
 サルバトール・ダリが若き頃、こんな絵を描いている「父の肖像」である。
この作品はバルセロナに発表された。彼の展示の中で最重要な作品であり、
かつ、彼のシュールレアリスム運動に入る前の最高傑作ともいわれている。
鋭い眼差しや、真摯な面差しが描かれFigaro誌は 父子の難しい関係を表しているなどとしている。陰影の筆使いからダリの確かな技術力が伺える。

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Dalí réalisa sa première exposition à la Galerie Dalmau à Barcelone en 1925 avant son premier voyage à Paris où il rencontra le surréalisme. Une des peintures les plus importantes de cette exposition, et considérée comme l'une des meilleures de sa jeunesse, est celle du portrait de son père. Dalí concentra dans l'expression sévère du visage, et spécialement dans le regard incisif et pénétrant, la forte personnalité du père, notaire à Figueres, avec qui il maintenait une relation difficile. La domination technique du jeune peintre peut s'apprécier dans les profils dessinés avec netteté, le traitement de la lumière et des ombres ou dans la puissance expressive des tonalités sombres.

 学生時代のわたしは、下意識のことばかりに目が向き、上部構造と壮絶な戦いを繰り広げてきた父とは衝突もあったと思うが、実はそれは表面化することはなかった。家族の下意識に沈み込んだというわけだ。
 ひとえに父の包容力のなせる技であったのだと思う。
 今日は父の日である。
モントリオールの記事では父の日の贈り物としてウイスキーを薦めている。

Vous pourriez, bien sûr, y aller avec une bonne bouteille de bordeaux ou donner dans l’originalité en lui offrant un vin orange, mais rien n’est plus classique qu’un bon vieux whisky. Qu’il soit écossais – les fameux scotches –, canadien ou d’ailleurs, il saura réchauffer le cœur de votre papa. En voici six en rafales qui méritent votre attention.
抄訳)
もちろんボルドーのワインを贈るのもいいでしょう。あるいはオレンジのワインを贈るのも独創的でよいおかもしれません。しかし古いウイスキーを送ることほど古典的な方法はありません。スコットランド人だろうが、カナダ人だろうがなかろうが、有名なスコッチはあなたの父のハートをつかむことでしょう。ここに6つのオススメを示します。

それで挙げられたのが
・Marcel Cabelier, Trésor Légendaire Single Malt, Whisky de France
・Bearface 7 Year Old Triple Oak Canadian Whisky
・Aberfeldy 12 Single Malt Scotch Whisky
・Distillerie de La Chaufferie Sugar Shack
・The Deveron 12 ans Single Malt Scotch Whisky
・Ardbeg Uigeadail Islay Scotch Single Malt
の6つである。
最後の説明は飛び抜けている。

On termine avec une folie! Ardbeg est une distillerie culte en Écosse. Uigeadail est le nom de la source qui donne à la distillerie d’Ardbeg son eau si précieuse. Un assemblage de fûts de 10 et de 13 ans auquel s’ajoutent quelques fûts des années 1970. Style tourbé et fumé. Finale interminable. Une merveille!
意訳)
熱狂をもって締めくくりましょう、Ardbegはスコットランドのマニアックな蒸留所です。Uigeadailは非常に貴重な水を与える源流の名です。10年ものと13年ものをブレンド(assenblage)し、1970年の樽を加え仕上げました。ピートか効いてスモーキーな余韻がいつまでも残ります。至極の品です!

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アイラ島の個性が強すぎるウイスキーとして知られる。したがって好みも分かれるが、ファンは根強くいる。アードベッグ蒸溜所は1980年代に閉鎖に追い込まれ、その後買収されて今に至る。その間もずっと職人の情熱は製造をなおも続け、ファンにスモーキーかつピーティーな香り、フルーティーな甘みが織りなす、強いクセがある味わいを届けてきたのだ。
 足元のおぼつかない私を強い芯をもって、変わらず見守ってくれた父へのプレゼントとして最適だと思う。

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