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チンチン電車の日

1903年の8月22日、東京の新橋-品川間に路面電車が走ったのを記念した。
チンチンと警告のための鐘を鳴らして走ることからこの名前なのだろう。

路線バスが幅を利かすまで、路面電車は健在であった。永井荷風もそのことをよく記している。ただし、例の明治政府へのボヤキ節たっぷりだが。
ときには花電車、いまのラッピングカーのようなものだろうか。装飾された電車が見世物のように銀座を走ったと墨東奇譚にある。

東京の街路には花電車というものが練り出される。今より五年前帚葉翁と西銀座万茶亭に夜をふかし馴れた頃、秋も既に彼岸を過ぎていたかも知れない。給仕人から今しがた花電車が銀座を通ったことを聞いた。そして、其夜の花電車は東京府下の町々が市内に編入せられたことを祝うためであった事をも見て来た人から聞き伝えたのであった。

このほかに、荷風はそこかしこ(200箇所以上)で電車について書いている。実際東京では210Kmにわたり路面電車が走り、最大で41系統あったというから驚きだ。
いまは、東京では世田谷線と荒川線の2路線が残るのみとなってしまった。
ともに馬車鉄道の軌間を踏襲した1372mmの幅の線路である。
沿線の住宅の洗濯ものに手が届きそうに走る。庶民の足として生活に密着している。
世田谷線に乗ると、軌道線の殺伐とした雰囲気と比べて、どことなく、ほっこりとした感覚を覚える。いつまでも残ってほしいと思ってみたりする。

Les réseaux de tramways ne sont plus entretenus ni modernisés, ce qui achève de les discréditer aux yeux du public. Les anciennes lignes, considérées comme archaïques, sont alors peu à peu remplacées par des lignes d'autobus.
●archaïques ... 古語法の 時代錯誤の
トラムはもはや維持ができず現代的でもなく公共の目からは消えゆくもののように映る。いわゆる古い路線として時代錯誤であり、少しずつ路線バスに取って代わられると考えられる

パリでもトラム電車は、消えゆく存在。
逆にベルギーのブリュッセルでは健在である。市民の足を支えている。
デメリットとして、路面電車は自動車と交錯する場所も多い。
このため道路が混雑すれば、路面電車も遅れてしまい、例えば東京のように、電車が最も時間に正確な交通手段となっているような役割を果たせない。
この問題も政府主導で解決しつつある。なんと、路面電車を自動車よりも優先したのだ。

Cependant, pour remédier à ce problème, des améliorations sont en cours comme la mise en site propre de sections de ligne comme sur la rue Gallait.Cette nécessaire politique est cependant largement à l’arrêt du fait du blocage des Communes qui refusent le ré-aménagement des voiries au profit du tram et au détriment de la voiture. D’autres solutions plus secondaires sont néanmoins mises en place comme la généralisation de nouveaux véhicules à plancher surbaissé (T2000, T3000 et T4000) sur les lignes, afin de faciliter l’accès aux tramways depuis le quai et par conséquent, de permettre la réduction de la durée d’arrêt en station pour avoir des temps de parcours plus compétitifs.

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路面電車を優先して専用の道路のエリアを確保し、また、車高の床をギリギリまで下げて駅をフラットにすることにより、乗降時間を短くして停車する時間を最短にして対策をしている。

こうした努力もあってか、
ブリュッセルでは17路線ものチンチン電車が走る。

そういった側面も、もちろんあるのだが、都市開発において、そもそも根本的に違う選択肢を採用しているという面もある。
都市機能としてどういった移動手段をインフラを仕込むかは様々な選択の中で考え抜かれているのだろう。

こうした選び取りの一つ一つが都市を形成する重要な要素となり、
その景観なり、都市に暮らす人々のライフスタイルにも影響を与える。

ベルギーでは、自転車も主要な移動手段で、東京の比ではないという。

今の時代は、自宅勤務などが推奨されたり、
フレックスを導入して、働く時間帯をずらして混雑の分散化を
図っているので、また事情が変わってくることだろうし、
今年初春からの感染症流行による影響もあるであろう。
本当にフレックス&テレワークが定着するなら、満員電車というのは過去の遺物になるやもしれぬ。

鬱病の人が一番怖がるのは、満員電車である。
このボトルネックを克服すると普通に出勤できる人もいる。

ベルギーと同様に、香港もトラムが走る。

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香港にいったときの旅行記の一部を引用してみよう
2018年10月18日の記事である。

香港での交通手段について
台湾のタクシー代は安いので、
台北ではほとんど交通手段はタクシーにしてしまったが、

それだと地理的な居場所がつかめない。
自分が台北のどの辺にいるのかわからないのである。
今回はそんなことがないようにしようと
トラムを使った。
トラムは香港島の東西を結ぶ路面電車である。
これで移動することで
能動性がつき、自分の居場所を体感できるのである。
どこまで乗っても 50円くらいなのもうれしい

時間に余裕があるので、
(GoogleMapのおかげでもあるのだが)
移動手段はこれで十分である。
八大達カードは買わないといけない。
メトロもトラムもスターフェリーもこれで乗れるし、
飲食店でも使える店もある。

私は空港で買った。(というか教わった(笑))
コンビニでチャージできるので実に便利である。
キャッシュレスがかなり進んでいる。
財布はホテルに預けっぱなしでだいたい大丈夫だ。
(WeChatと銀聯カードまたはクレカがあれば大体どこでも使える)
お金について考えさせられる。

通貨はこれから使われなくなっていく一方であろうと思う。
いちいち銀行に行くのも面倒だし、
殊に海外ではレートの問題がいつも付きまとう。
ブロックチェーンの戦慄的な未来がある
仮想通貨なるものはこの技術の一端にすぎない。

これから、証明する機関は必要なくなってくる。
権威が奈辺にあるのか気にしなくてよくなる。
取引の公正化に公証役場などに行く必要がなくなるのだ。
国や行政との取引を仲立ちする仕事は消えていくであろう。

実は私の予想では大企業も少なくても、今までの役割を終えていくと思う。
個人が自分の役割をしっかり担う時代に向かっていくと思う。

たしかに大企業に属していないと不安であろう。
しかし、それも慣れの問題だと思う。

ヘンなしがらみは無用になるのだ。
それでなおかつ不安であれば、個人でなく
”ヒエラルキーなきコミュニティ”を形成すればよし。
と個人的には思う。

 香港はキャッシュレスが日本よりも進んでいて、現金(香港ドル)は、ほとんど必要なかった。SOHOの集まっているビルにもいってみた。とても進んでいる部分が多いという印象を受けた。
 トラムがある町に共通なものってなんだろう・・・ベルギーの街にも今度いってみたいと思った。
 自転車のシェアがはじまっている。自動車のシェアよりも金額が安い分、普及も早いかもしれない。そうなると都市部はトラム&サイクリングで、石油を一滴も使うことなしに、どこにでもスムーズにいける。渋滞も解消されてくるだろう。運動不足も解消するかもしれない。交通事故も減るかもしれない。
 駅が小さくて済む分(バス停と同じ雰囲気だ)、トラムは、なんというか道路から乗り物までがとてもシームレスな感覚だ。抵抗がない。
 駅構内の雰囲気はしてみると、国のイメージと重なった。時間通りに離発着させるための膨大な組織 ・・・なにか権力じみた圧力みたいのを感じる。
国民みんな同じ時間に出勤せよ。とでも言っているような・・・
(参考Note:キャラメルの日
もはや、時間通りに動くことを少なくとも私は期待していない。もしかして、それを取り払えば、風通しがよくなるのではないだろうか。
逆にチンチン電車がなぜ廃れていったのか、もう少し研究してみる必要がある気がする。

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<来年の宿題>
・世界のトラム
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モロッコ共和国最大の都市、カサブランカを走るチンチン電車
(画像はお借りしました)

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