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蟹の日

 株式会社かに道楽が制定したが、やや季節はずれとも言えなくはない。
50音で””は6番目、””は22番めの字にあたり、また、蟹座の最初の日がこの日に当たることが理由という。季節はずれというより、オホーツクから空輸で運ぶので、年がら年中、蟹を供することができるとのこと。
 大阪の知り合いの叔母は、蟹が食べたいといっては、金沢までクルマで夜通し走ったなんて話をきかされた。なるほど豪快だ。

中国有中秋前后食用河蟹的传统,由于传统上中医认为蟹性寒,故常用薑茸、紫蘇等配置食蟹使用的调料。而蟹黃又可以做成蟹黃湯包等食物。除中國外,世界其他國家地區也有以蟹為美食者,世界上最大的蟹类进口国和地區是日本、法国、西班牙、香港、美国、加拿大和葡萄牙,它们因此也是蟹类消费大国
試訳)
蟹は中秋の頃に淡水の蟹を食べることが中国の伝統としてある、昔から蟹は身体を冷やすとされ、このため生姜やシソなどを薬味として用いる。また蟹黃湯包を作ることもある。世界で蟹を食べる国は日本、フランス、スペイン、香港、米国、カナダ、ポルトガルである。

中国は淡水蟹を食べる。そういえば、有名な上海蟹も淡水で穫れる。
(上海蟹については、またnoteに書こう)海の蟹を食べるのは、日本、フランス、スペイン、香港、米国だという。世界的にも、また日本でも、年々 カニの消費量は減少傾向ということである。これは意外だったが、日本のそれは、高齢者がけん引している。12月がもっとも消費量が大きいのは正月に食べるのだと推察するが、それも減少していくのであろうと思われる。
 蟹黃湯包については、明・清時代から江蘇料理として有名で、カニ味噌と蟹肉の入ったスープを紙のように薄い皮で包んだ奇異な料理である。
見た目も”映え”そうである。南京では毎年蟹黃湯包祭りが行われる。また景江と揚州の湯包も有名だ。

蟹黄汤包为江苏传统美食,明、清时期已经享有盛誉。其特色是皮薄如纸,以制作"绝"、形态"美"、吃法"奇"出名。蟹黄汤包的制作原料为螃蟹的蟹黄和蟹肉,汤为原味鸡汤。其中龙袍蟹黄汤包和靖江蟹黄汤包较为出名,南京六合区常年举办龙袍蟹黄汤包节,此外靖江、扬州等地的汤包也非常有名

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食べるという観点からみると、大きくワタリガニ、ズワイガニ、タラバガニに分かれるだろう。今日はそのうちのズワイガニについて書いてみよう。
ズワイガニは、水揚げされる場所によって名前が変わる。いわゆるブランド化がされている。山陰地方の京都府から島根県の漁港で水揚げされるズワイガニは松葉ガニ、越前地方の漁港で水揚げされるズワイガニを越前ガニと呼ぶといった具合である。
ズワイガニはラテン語でChionoecetes opilioという。
キリスト教徒たちは復活祭はクリスマスと同じくらい重要な行事であり
当然パーティなどが催されるのであるが、宅配やテイクアウトなど苦心しながら対応したようである。

À défaut de fêter avec sa famille élargie, on peut se gâter, à Pâques, avec un de ces menus préparés par d’excellents établissements de chez nous. Ils sont désormais bien rodés en matière de commandes pour emporter et de livraison. Aussi bien en profiter. Notez également que tous ces restaurants et commerces proposent des vins d’artisans pour emporter.

復活祭で供されるのはケーキやイースターエッグであるが、せっかく集まるのであるから、ワインとそのつまみもというのは人情であることはどこの国でも共通している。カナダでは4月に漁が始まるので、走りの蟹を食べることも多いのだろう。正月前にやたらと蟹を売ってるアメ横と同じような感じだろうか・・・とりわけ、ケベック人にはとても蟹は人気があるということである。蟹がとれるのは、4月上旬から8週間、その後は海老にいくとのこと。ちなみに、越前ガニの漁は11月から3月が解禁期間であるのでだいぶ長い。

À quel moment débute la saison de pêche?
Habituellement lancée au début du mois d’avril, l’ouverture officielle de la pêche aux crabes va varier selon la fonte de la banquise. Dès que les eaux sont facilement navigables, les bateaux des pêcheurs s’en vont en mer pour aller recueillir ce crustacé si prisé des Québécois. La saison de pêche va durer au maximum 8 semaines comme chaque pêcheur a un quota à respecter. Dès qu’il est atteint, la saison du crabe est terminée et on passe aux crevettes nordiques!

カナダ人が食べるのはズワイガニ(les crabes de neiges)だけである。ほかの蟹はあまり食べないらしい。日本ではズワイといってもいろいろあるのだが、それはくくられているようだ。↓の引用のSandra Gauthierとは、Saint-Anne-des-Montsにある科学研究所の統括ディレクターだ。種類は1種しかなく(une seule variété)それに大きさも法的に決められていて、小さすぎると海に戻すそうだ。
大きさも種類も一致しているので味の決め手は、塩分の濃度くらいだそうだ。しかし陳列(l’étalage)をみて、どうやって塩分濃度を測るんだろう。

Comment le choisir?
Est-ce qu’il y a des signes distinctifs qui font en sorte qu’un crabe serait moins bon qu’un autre? À cette question, Sandra Gauthier répond sans hésiter : « Tous les crabes de neiges sont toujours bons! ». Il n’y a pas de différence de goût d’un crabe à un autre comme il n’y a qu’une seule variété principalement consommée au Québec. Les pêcheurs doivent respecter la taille légale de pêche, soit un standard qui détermine la grosseur minimale des crabes des neiges qui seront vendus. Si le crabe est trop petit, ils doivent le rejeter à l’eau. Une section de patte doit faire entre 30 et 40 cm, en plus du corps. Pour les visuels, notre experte vous suggère de faire un cercle avec vos bras devant vous. C’est à peu près la taille souhaitée pour un crabe des neiges! Ce qui va faire varier le goût, c’est la quantité de sel dans l’eau de cuisson du crustacé. Donc lorsque vous arrivez devant l’étalage des fruits de mer, il n’y a pas d’éléments distinctifs à observer en particulier.

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ところで、永井荷風は未亡人の”百合子”(本名 智子)と深い関係になっていくのだが、その決定的な場面で実は蟹を食べている。断腸亭日乗の大正10年10月9日にはつぎのようにある。

雨中百合子来る。吾家にて晩飯を倶にし、有楽座に徃きてオペラを聴く。ロメオジユリヱツトの曲なり。曲終りて劇場を出でむとするや、風雨甚しく自働車人力車共に出払ひて来らず。幸にして平岡画伯と廊下にて出遇ひ、其自働車に乗りて一[#(ト)]まづ花月に徃く。久米松山の二氏も共に徃く。画伯越前の蟹を料理せしめ酒を暖めて語る。雨いよ/\甚しく遂に帰ること能はず。余と百合子と各室を異にして一宿することゝなる。久米松山の二氏は家近きを以て歩みて帰る。余一睡して後厠に徃かむとて廊下に出で、過つて百合子の臥したる室の襖を開くに、百合子は褥中に在りて新聞をよみ居たり。家人は眠りの最中にて楼内寂として音なし。この後の事はこゝに記しがたし。

”この後の事はこゝに記しがたし”・・・なにがあったのだろう。
それは、おいおい探るとして
平岡画伯が頼んだのは”越前の蟹”、しかも10月・・・なんだ?解禁前じゃん・・・漁の解禁制度が制定されたのはいつなのか調べる必要がありそうだ。それは、来年の宿題としよう。
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<来年の宿題>
・禁漁制度について
・上海蟹について
・一門は 蟹と遊女に 名を残し → 平家のこと
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●表題の写真は道頓堀のかに道楽のものである。
(画像はお借りした)
蟹を食べるとき、思わず会話が止まるので、接待には不向きではないか、
とも思うのであるが、親しくしている仲なら話は別で、心置きなく堪能すれば良いと思う。自分としては蟹は好きであるが、旅館や割烹でというより市場で仕入れた蟹を新鮮なうちに自宅で茹でてしまってカニ味噌まで平らげるのがいい。

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