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ジェラートの日

日本での「ローマの休日」の公開日が1953年8月27日であった。
オードリー・ヘップバーンが演じるアン女王がジェラートを食べるシーンが印象的だったので、日本ジェラート協会がこの日に乗じて制定。

それでは、今日は記事「ローマでジェラートを食べるならどこ?」を中心にローマでのお店を含めて紹介してみよう。

Les Italiens ont-ils inventé les glaces ? C'est possible. Comme toutes les inventions gastronomiques simples mais géniales, la glace est née sous des formes variées, à des époques diverses, aux quatre coins du globe. En ce qui les concerne, les Italiens signent l'acte de naissance officiel du gelato en 1565, à la Cour de Cosimo de' Medici, où est inventée la première machine capable de transformer un mélange de lait, zabaione, vin et fruits en crème glacée. Depuis, le gelato a bien évolué. L'ind ustrialisation est passée par là, les glaciers se sont multipliés et le cornet de glace s'est durablement implanté dans l'art de vivre italien. Une touche gourmande et colorée sur la carte postale au parfum de dolce vita. Une glace dite da passeggio, c'est-à-dire que l'on déguste tout en se promenant dans les rues de Rome, dans un cône (cono) ou une coupe jetable (coppetta). Les parfums sont servis à la spatule plutôt qu'à la cuillère, remplissant le pot et non en boule.
●zaboione ... イタリア語 フランス語ならsabayon 卵黄・砂糖、シャンパンなどでつくるムース状のクリームを指す
●passeggio ... イタリア語 散歩すること

イタリア人がジェラートを発明したのだろうか。おそらく答えはYESだ。
すべての美食の発明が単純だけれども天才的なように、ジェラートも多彩な形式とさまざまな時代を通じて、世界のあちこちで作られてきた。ミルク、サバイヨン、ワイン、フルーツをクリームと一緒に混ぜ合わせることができる機械がはじめて作られたのは、ほかでもないイタリアなのだ1565年似裁判所の公式記録にある。以来、ジェラートは進化を遂げ、そこから産業化がすすむ、アイスのあのコーンはイタリア人の生活の中でしっかりと根をおろしたのだ。ドルチェ・ビータの香りに包まれた絵葉書は感覚の鋭いグルメたちを彩り、ローマの街を歩けばどこでもコーンやカップに入ったアイスに出会えるのだ。香りを味わうにはスプーンよりもヘラで、球状でなく器一杯にこすりつけて溢れる。

◯略史
アイスクリームの歴史は意外に古い。ただしクリームと卵と砂糖を撹拌してつくるものでなく、果汁を凍らせたものが最初である。
氷自体を扱う技術は紀元前1100年の中国からであるという、食物を冷たく冷やすだけでなく、凍らせて固形状にする技術はもうひと工夫必要だ。氷に塩を加えると吸熱作用で氷の温度が氷点下まで下がる。この技術を中国が持っていたことから、はじめて凍らせたものは唐が起源であると歴史家はいうが真偽のほどはどうか。そして歴史にロマンを求める者がマルコ・ポーロがヨーロッパに伝えたというが、帰路は南方を通過したため、これをヨーロッパに持ち帰ることは不可能であるという見解だそうだ。同様に、イタリアで発達したことは確かでメディチ家の頃にはアイスクリームは作られていたというが、メディチ家がフランスに伝えたという伝説は裏がとれていないようだ。というのもイタリアではアイスクリームに精を出し、フランスではレシピと喧伝に専念したというのが実情だ。アイスクリームを作るのは非常に金がかかったから富裕層のものだった。新大陸から”新しいもの”が入ってくるとこれを使ってアイスの料理人たちはせっせとレシピを作った。たとえば、バニラはスペイン探検家がメキシコから持ち帰ったものだが、これをアイスクリームに取り入れたのは1768年にMエミーというフランス人が最初で、いまは月並みでも、当時としては、エキゾチックなものであった。
◯アメリカへ
 やがて英国にも伝わり、さらにはアメリカ大陸にも伝わったのは、18世紀後半である。どうやらアメリカはアイスクリームを愛する土地らしい、トーマス・ジェファーソンが絶賛し、ジョージ・ワシントンも大好物だったという。はじめてのアイスクリームパーラーは早くも1790年ごろにニューヨークに登場したようだ。そして、1852年にフィラデルフィアのナンシージョンソン夫人がハンドルを回して作るアイスクリーム製造機の特許を得た。アメリカはこの機械を自動化し大量生産への道をひた走ることになる。
◯ソーダ・ファウンテン
 大量に作って、それを運ぶ技術はますますアメリカの得意とするところとなる。それを加速させたのは、アメリカ独特のソーダ・ファウンテンである。ソーダ・ファウンテンとはいわゆる街の集会所で、そこで市民はアイスクリームを食べたのだ。もっと遡ると炭酸水の給水所だったらしい。薬局にソーダ・ファウンテンが置かれるようになり、1900年には、酒場の数を上回ったという。この年、銀座の資生堂薬局内には日本初のソーダ・ファウンテンが置かれたという記録があるそうだ。薬局だけでなく、デパート、ボウリング場、列車にまで、どこもかしこもソーダ・ファウンテンができ、アメリカのポップカルチャーのアイコンになっていく。フランク・キャプラの「素晴らしきかな人生」(1946)には少年時代のジョージがソーダ・ファウンテンでメアリーにチョコアイスをよそる、ブロードウェイの”ウェストサイドストーリー”(1957)では少年グループが薬局のソーダ・ファウンテンで落合い、薬局の店長は対立するグループの調停に乗り出す。


◯本場イタリア
 アメリカとは対照的に、イタリアでは、小規模事業者が業界の60%を占め実に4万近くの個人経営店がある。レシピは口伝で親から子に受け継がれるのだ。だけれども、工業化の影響はやはり受けてしまっている。職人が作るアイスクリーム店と、工業化されたアイスクリーム店を見分けることは実は困難である。あまりに多い店舗数もその理由にあがる。兄のファビオとともにアイスクリーム店を営むAldo Pasquarellaは、次のように語る「職人的アイスクリームとは何か、これを定義するのに多くの月日を費やしてきた。結果ある種の結論に達した。天然の材料、できれば地域で取れるものを使うこと。あとは、職人の知識と創造性にかかっている。」ここから、目にみえるものでなく秘伝のアイスクリームという定義になってしまうのであるから、ナビゲートは大変難しい。

Avec une telle profusion de glaciers, il est devenu difficile de s'y retrouver, car aucun label ne distingue les glaciers artisanaux de ceux qui proposent un cône aux parfums industriels. Comment être sûr de goûter un produit artisanal ? Une question que nous avons posée à la crème des artisans-glaciers romains. Aldo Pasquarella, qui tient boutique avec son frère Fabio, raconte : «J'ai passé des années à essayer de définir ce qu'est une glace artisanale, et je suis arrivé à la conclusion qu'elle doit être préparée avec des ingrédients naturels de qualité, si possible, locaux. Le reste dépend des connaissances et de la créativité de l'artisan». Ce qui se traduit, à l'œil, par «une glace qui reste discrète».

2000年から2001年にかけて、乳製品が問題になったとき、あるハンバーガーチェーンは、”うちのシェークは問題ありません。なぜならシェークは牛乳を使っていないからです”と宣言した。とても呆れた。サラダ油に香料を混ぜたものだからということなのだ。それで近い味が出せるんだからすげぇ技術なのだが、工業化になると材料をケチり出すのは万国共通世の習いである。こいつは危険なことである。さらに加えて、目には違いが見えないのである。(だからこそ工業化はそこにつけこむのだが)
だからこそ、この記事は重要だ。今日は2店舗だけ紹介しよう。

Al Settimo Gelo
 (Via Vodice, 21, 00195 Roma RM. Tél. : +39 06 372 5567.)
〜グルメたちが天にも昇る〜
ここではアイスクリームを作る工程のすべてをガラス越しに見ることができる。Mirella Fiumanoはがつくる最新作リゾットのアイスクリーム。オリーブオイルに黒トリュフの香りは誰もを圧倒する素晴らしさだ。秋には栗のソルベが味わえる。秘密?それは自分の果実農園を持っているからだ。添加物など不要なのである。

Ici, le client peut suivre toutes les étapes de la préparation des glaces à travers la vitre qui sépare l'atelier de la boutique. Mirella Fiumano y fait goûter sa dernière création, une glace au risotto, à l'huile et à la truffe noire, un parfum surprenant «qui convainc tout le monde !», s'exclame-t-elle. Parmi ses grands succès, un sorbet à la châtaigne, disponible en automne. Son secret ? «des fruits qui viennent de mon verger», et aucun additif.

材料が少ないことがアイスクリームの特徴だ。工業化されたものは保存料、人工の香料、増粘剤、さまざまなものを加えている。果実のみ!あるいは上質で新鮮なミルクなどの材料と撹拌する技術、冷やす技術があれば添加物を加える必要などないのだ。遠くに運ぶ必要もなければ、大勢のために保管しておく必要もないのだから。

◯Otaleg!
〜流行に逆らって〜
(Via di S. Cosimato, 14A, 00153 Roma RM. Tél. : +39 338 651 5450.)
Marco Radicioniは他人と同じことはしない。多くの修行のあと、満を持して40歳でTrastevereに店を構えた。彼は自分の創造性に制限などつけない。
なぜならサーモンからゴルゴンゾーラまで、ピスタチオのもとに、すべてのものがアイスクリームになる可能性があるからだ。毎日、彼のアトリエからは、新たな香りが立ち上る、それがこの界隈に何度も足を運ぶ理由なのだ。

Marco Radicioni n'aime pas faire comme tout le monde. À 40 ans, après des années à faire des glaces dans sa cuisine, il se forme et ouvre boutique dans le Trastevere. Il n'impose aucune limite à sa créativité car «tout peut devenir gelato : du saumon au gorgonzola en passant par les pistaches». Chaque jour, deux nouveaux parfums sortent de son atelier, un prétexte pour revenir à chaque balade dans le quartier.

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 イタリアには一度だけいったことがある。学生旅行にいったフランス旅行のついでだ。ローマでピスタチオのジェラートを食べた。
この旅行で3つ美味いものを見つけた。ヴェネツィアでのTボーンステーキ、リヨンのブイヤベース風スープ、そしてこのジェラートだ。
記事の内容からわかるとおり、イタリアンジェラートを日本で食べられるはずがない。イタリアとは地産地食をでないと実現できないような職人気質なところもある国なのだ。

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<来年の宿題>
・ジェラートの店紹介記事
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●見出しの画像
ピスタチオのアイスクリーム(画像はお借りしました)

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